GAME OF DEATH(4K UHD Blu-ray UK)|ブルース・リー/死亡遊戯|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
ディスク仕様
邦題 | ブルース・リー/死亡遊戯 | |
レーベル | Arrow Video UK | |
制作年度 | 1978年 | |
上映時間 | 100分 | |
監督 | ロバート・クローズ | |
出演 | ブルース・リー、ギグ・ヤング、ディーン・ジャガー | |
画面 | 2.35:1/DOLBY VISION | |
音声 | dts-HD MA 1.0ch 英語 | |
字幕 | 英語 |
あらすじ
カンフースターであるビリー・ローは、シンジゲートとの契約を迫られていた。シンジゲートとの契約を断った芸能人たちはシンジゲートに潰されていた。しかし、ビリーはシンジゲートとの契約は断っていた。シンジゲートはビリーだけでなく、ビリーの恋人でシンガーであるアンにも魔の手を伸ばしていて、契約を迫っていた。それも断ったビリーに魔の手が迫り、映画の撮影中にシンジゲートによって殺されかける。奇跡的に一命を取り留めたビリーは、表向き死んだことにして、シンジゲートに対して復讐を誓う。ビリーが生きていることを知らないアンは心労のあまりに倒れ、シンジゲートに恨みを抱くようになる。唯一ビリーが生きていることを知っている記者のジムは、アンとビリーの間で立ち回りながら、ビリーの復讐の手助けをする。
レビュー
ブルース・リーの死後5年が経過した後に、彼が生前撮影していたクライマックスの格闘シーンと彼の過去の映画のカットを流用して、1本の映画として仕上げたのが、この「ブルース・リー/死亡遊戯」です。ブルース・リー本人の出演しているシーンが少ないため、物語大半は代役がブルース・リーに扮して演じていますが、代役と本人のアクションシーンの格差が大きく、ブルース・リーの映画として見るには少々きつい作品になっています。
映画の評価は批評家と観客の間で分かれていて、Rotten Tomatoesの批評家評価は46%と低いのですが、観客評価は63%と比較的満足している様子が伺えます。
前述のようにブルース・リーが生前撮影していた「死亡遊戯」というタイトルのクライマックスのシーンと、彼が出演した過去作のクローズアップショットだけを流用して、その他の物語は代役がブルース・リーに扮して演じているために、その落差が大きい作品になっています。ブルース・リー本人のアクションシーンが素晴らしすぎるのが原因ですが、代役のアクションシーンがどうしてもパチモノに感じられてしまいます。ブルース・リーと比較しなければ代役のアクションシーンも見られるものなのですが、ブルース・リーという偉大な格闘家のアクションが映えてしまっているがゆえに、期待外れな部分は散見されます。
物語自体はブルース・リーの死亡原因の一つと噂されていた、裏社会による暗殺説をそのまま物語に取り入れるという暴挙に出ているために、主人公ビリー・ローの死去シーンでは本物のブルース・リーの葬儀シーンの映像をそのまま流用するという、信じられない展開を見せています。実際のブルース・リーの死亡原因は薬物の過剰接種によるショック死なので、裏社会の暗殺説はあくまで噂レベルでしかないのですが、それを物語に取り入れてしまうところは大胆な発想だと思います。
物語前半では、クライマックス等でビリー・ローに立ち塞がるカール、パスカル、ハキムといった敵が前振りで登場し、彼らへの復讐という形でビリーが対決するという展開がきちんと生きているようになっています。カールを演じたボブ・ウォールはともかく、パスカルを演じたダニー・イノサントや、ハキムを演じたカリーム・アブドゥル=ジャバーといった人たちもオリジナルの「死亡遊戯」だけでなく、この完成版「死亡遊戯」でカメオ出演しているのは、意外性があります。
また、物語はビリーと恋人でシンガーであるアンとのラブストーリーとしてもある程度は成立しています。アンもシンジゲートとの契約を迫られており、ビリーは自身の問題だけでなく、アンの身も案じなければならない状況に置かれていますので、二人の恋の行方が気になるところであります。ただ、クライマックスに行くにつれて、アンの存在が消え去ってしまうので、この二人の恋の行方がどうなるのかが見えないのは残念です。エンドクレジットでアンの歌う歌が流れるのは彼女の存在感を示していると思いますが。
物語自体はブルース・リーのアクション映画であると同時に、ある種のサスペンス映画としても成立しています。ビリーとアンがシンジゲートとの契約を迫られて断ったためにビリーは殺されそうになり、その復讐に立ち上がるという展開は、どう物語が展開していくのかというサスペンスを繰り広げていることにもなり、ラストの展開には決着がつけられることになります。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。ディスクジャケットによればフィルムの要素からレストアした、と書かれています。ネイティヴ4Kでの収録になっています。ブルース・リーの代役が演じているシーンは比較的良好な精細感のある映像になっていますが、ブルース・リー本人の映っているシーンでは画素が荒く、解像度も低いシーンが多いです。DOLBY VISIONによる色彩管理も代役が演じるシーンは臨場感がありますが、本人のシーンでは色が飛び気味で保存状態の良くないフィルムを使っているようです。
音響はdts-HD MA 1.0chの英語トラックのみです。モノラル音声ではありますが、物語に溶け込む要素はあります。サラウンドするわけではありませんが、物語を盛り上げる要素にはなっています。1978年当時の音声にしては比較的良質な音声になっていて、聞き取りやすいです。
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