THE FINAL GAME OF DEATH(Blu-ray UK)|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

THE FINAL GAME OF DEATH(Blu-ray UK)|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

ディスク仕様

THE FINAL GAME OF DEATH Blu-ray UKジャケット 邦題
レーベル Arrow Video UK
制作年度 2023年
上映時間 223分
監督 ジェームズ・フラワー
出演 ブルース・リー、カリム・アブドゥル=ジャバー、ダン・イノサント
画面 2.35:1/SDR
音声 dts-HD MA 2.0ch 英語
字幕 英語

あらすじ

ブルース・リーが「ドラゴンへの道」の次の作品としてクライマックスのアクションシーンだけ撮影していた「死亡遊戯」。この作品は「燃えよドラゴン」の撮影のために中断し、「燃えよドラゴン」撮影終了後に撮影再開予定だったが、ブルース・リーの突然の死去により未完の作品となってしまう。「燃えよドラゴン」の大ヒットによりスーパースターになったブルース・リーの新作が見たいというファンの声に押されて、1978年にロバート・クローズ監督で生前のクライマックスシーンを流用した「死亡遊戯」が公開されるが、ファンは1978年版「死亡遊戯」で見られなかったカットを見たいという希望を映画会社に寄せていた。2000年前後に1978年版「死亡遊戯」でカットしたシーンを復元したドキュメンタリーが公開され、ファンの溜飲を下げることになるが、そのドキュメンタリーにも発表されていなかったカットがいくつかあった。ブルース・リー没後50周忌に改めてArrow Video UKが、ブルース・リーが考えていた「死亡遊戯」を生前の記録から可能な限り復元し、映画会社の倉庫に眠っていた未使用カットを大量に使用したドキュメンタリーを製作したのが、この「THE FINAL GAME OF DEATH」である。

レビュー

ブルース・リー没後50周忌を記念した「BRUCE LEE at GOLDEN HARVEST」BOXセットの目玉の一つが、このドキュメンタリー「THE FINAL GAME OF DEATH」です。3時間43分という大作ドキュメンタリーになっており、ブルース・リーが生前撮影していた「死亡遊戯」のカットがおそらく存在するものは全て使用しているのが特徴になっています。

ブルース・リーが構想していた「死亡遊戯」は、クライマックスの格闘シーンだけ撮影していたものの、前半のドラマ部分を撮影する前に本人が死亡してしまい、未完の作品となってしまいました。ロバート・クローズが監督した1978年版「死亡遊戯」では撮影済みのクライマックスシーンのうち10分だけ使用していますが、ファンから未使用シーンを見たい、という声が高まり、2000年近辺で「BRUCE LEE in G.O.D」と「BRUCE LEE:A WARRIOR’S JOURNEY」という2本のドキュメンタリーが公開され、日の目を見なかった未使用シーンを使用してクライマックスシーンを再構築しています。

しかし、2本のドキュメンタリーでも使用されなかったシーンはまだ残っていました。今回制作された「THE FINAL GAME OF DEATH」では、チェン・ユアンがダン・イノサントと丸太を持って戦うというシーンが復元されていたり、わずかなシーンですが香港のニュー・テリトリーで撮影された格闘家のデモンストレーションシーンも復元されていたりと、珍しいシーンが収録されています。今まで存在していなかったと言われていたシーンですので、貴重な収録になります。

ドキュメンタリーとしては、ブルース・リーが「死亡遊戯」を撮影するときの状況を時系列に解説していくもので、クライマックスの撮影シーンでも、最初がカリム・アブドゥル=ジャバー、続いてダン・イノサント、最後に池漢載の順で撮影されたことがわかりますし、一人の格闘家と戦うシーンの撮影も日々の撮影順まで説明していますので、作品の成り立ちが明確です。その説明にはテイクを重ねたことがわかるようになっており、おそらく映画会社に存在していたフィルムはOKテイク、NGテイク含め全て使っているのではないかと思います。

その証拠にブルース・リーがヌンチャクを振り回すシーンでは、ブルース・リーがヌンチャク振り回しに失敗する様子が何回も出てきますし、その他のシーンでもアクションシーンをトチる部分が結構見受けられて、興味深い内容になっています。

また、ドキュメンタリーとしても映画の成立から周囲の状況まで詳細に説明しているので、「死亡遊戯」に関わる50年の歴史が理解できるというのも面白いところです。ブルース・リーが撮影した「死亡遊戯」やロバート・クローズ版「死亡遊戯」、「BRUCE LEE in G.O.D」、「BRUCE LEE:A WARRIOR’S JOURNEY」だけにとどまらず、パチモノカンフー映画についてまで説明が及んでいるのは、この作品に対する集大成のような感触を受け、ユニークです。

ドキュメンタリーとしては長いですが、OKシーンだけで構成されたブルース・リー版「死亡遊戯」を見たければ、チャプター8を見ればこれまで未使用だったカットも含めOKカットは全て見られますので、時間のない方はチャプター8を鑑賞すれば、最低限のカットは見ることができます。チャプター8だけならば40分程度で視聴が終わると思います。ただ、今回のドキュメンタリーの特徴はNGカットも全て公開という方針だろうと思いますので、3時間43分かけても全てを視聴することをお勧めします。

映像はHD/SDRで収録しています。ブルース・リーが撮影した「死亡遊戯」のカットは多分元フィルムは傷んでいたと思うのですが、レストレーションを施しているためにかなり良好な画質になっています。解像度もHDではありますが不満は感じませんし、フィルムグレインも多少乗っているぐらいであまり気になりません。フィルムの傷やぶれは若干ありますが、これも味はあるかと思います。色ノリも十分で、「BRUCE LEE:A WARRIOR’S JOURNEY」のような質の悪いフィルムではないです。

音響はdts-HD MA 2.0chの英語です。ドキュメンタリーですのでサウンドの効果をとやかく言う必要はないのですが、基本的にBGMは一定の音色がずっとなり続けています。ブルース・リーの撮影した「死亡遊戯」のOKシーンで構成された復元シーンは吹き替えをやり直しており、効果音もリアル感が出ているようになっています。復元シーンでは他のドキュメンタリー作品では存在していなかったブルース・リーのモノローグが入っていたりして、ニュアンスはかなり変わっています。

なお、このBlu-rayは、リージョンBロックがかかっていますので、リージョンフリーのBlu-rayプレイヤーがないと、視聴は無理です。かなり貴重な映像ですが、日本での視聴には相当の困難があります。「BRUCE LEE at GOLDEN HARVEST」BOXセット自体が売り切れていて入手困難という状況もあります。

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