DUEL(4K UHD Blu-ray)|激突!|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
ディスク仕様
邦題 | 激突! | |
レーベル | UNIVERSAL PICTURES HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 1971年 | |
上映時間 | 90分 | |
監督 | スティーヴン・スピルバーグ | |
出演 | デニス・ウィーヴァー、キャリー・ロフティン、エディ・ファイアストーン | |
画面 | 1.85:1/HDR10、DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語、ドイツ語/dts 5.1ch スペイン語、フランス語、イタリア語、日本語 | |
字幕 | 英語、スペイン語、中国語、デンマーク語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ノルウェイ語、スイス語 |
あらすじ
セールスマンのデヴィッド・マンは車を走らせていた。前の晩に妻と喧嘩をして険悪な状態になっていたデヴィッドは、家に電話をかけて妻に詫びようとするのだが、妻からは「今晩帰ってくるのでしょうね?」と念押しされてしまう。しかし、商談がデヴィッドを待っていたため、妻に確約できなかった。
デヴィッドは田舎の道路で前を低速で走行していたトラックを追い越した。そのトラックはすぐさまデヴィッドの車を追い越し返して、また低速で走行を続けた。イライラしたデヴィッドは再びトラックを追い越すのだが、トラックはホイッスルを鳴らしてデヴィッドに警告を発し、デヴィッドの車を追い詰め始める。
激しいカーチェイスの末、デヴィッドは田舎のレストランに一旦逃げ込み、一呼吸をつけるが、そのレストランにもトラックはやってきた。トラックのドライバーが誰かはわからなかったが、デヴィッドはレストランにいる男の誰かが対象とする人物だろうと当たりをつけ、話しかけるが話しかけた相手はトラックドライバーではなかった。
レストランを離れたデヴィッドは、再びトラックが彼を待ち受けており、悪夢のようなカーチェイスを繰り広げざるを得なくなる。デヴィッドはカーチェイスの途中で出会った人々に助けを求めるのだが、トラックにことごとく邪魔され、死時に追い詰められていく。
追い詰められたデヴィッドは車のトラブルに巻き込まれながらも、必死の形相で彼を追い詰めるトラックとの戦いから逃れようとしていた。そして、ついに最後の戦いにかけることになる。
レビュー
SF作家として有名なリチャード・マシスンの原作小説を映像化した作品で、今や伝説になっているスティーヴン・スピルバーグが最初に監督したテレビムービーが、この「激突!」です。アメリカではテレビムービーとして公開されましたが評判が良かったので、世界配給時に再編集を施して劇場公開されたという逸話が残っており、スティーヴン・スピルバーグの才能の高さを端的に表す作品になっています。評価も高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は89%、観客評価も84%と高評価を得ています。
物語は極めて単純な展開になっています。低速で走行するトラックを追い越した主人公のデヴィッド・マンが、その追い越したトラックから命を狙われるという物語です。登場人物もデヴィッド・マン以外の脇役キャラは本当に脇役でしかなく、カメラは終始デヴィッドを中心に撮影しています。
この映画が優れているのは、デヴィッドを付け狙うトラックドライバーの姿を映し出さないところにあります。トラックドライバーはデヴィッドに対して「追い越せ」という指示を腕の振りで見せたり、デヴィッドが疑心暗鬼になっている際にトラックから降りてきて足元だけ姿を見せますが、その正体は最後まで明かされることがありません。そのため、トラック自体がデヴィッドに襲いかかる怪物であるというホラー的要素を持った作品に仕上がっていて、緊迫感の高さは特筆すべきところです。
物語の骨格を成しているのは、デヴィッドがトラックを追い抜いたためにトラックから付け狙われるという話ですが、これは現代の社会で問題になっている煽り運転にも共通する問題です。たかが追い抜かれただけで命を狙うトラックドライバーの姿は、まさに煽り運転で被害者に恐怖心を与えるドライバーと同じであり、1971年の映画ながら、現代の社会にも通じる内容になっています。
また、トラックドライバーは自身を追い抜いたデヴィッドだけをターゲットにしていて、他の自動車の運転手には何の危害も加えないところも不気味です。正体を最後まで明かさない展開といい、デヴィッドに執着するところと言い、まさにホラーです。そのため、視聴者はデヴィッドの恐怖を共有することになり、物語に没入して恐怖を体感していくことになります。
映像は4K/HDR10/DOLBY VISIONで収録されています。オリジナルは35mmフィルムですので、ネイティヴ4Kでの収録になっています。1971年のフィルムということもあり、高精細な映像とは言い難いですが、フィルムグレインがそれなりに見えているところから、フィルムの解像度限界まで表示できていると言えます。DOLBY VISIONによる色彩表現はまさに1971年のフィルムを家庭用メディアで再現できている感じがあり、臨場感あふれる色彩になっています。
音響はDOLBY ATMOSでミックスされ直しています。映画の舞台が田舎道ということもあり、オーバーヘッドのサウンドデザインはそんなに多くはないのですが、物語冒頭の市街地を走行する際の頭上の橋を通過する際の空間表現や、トラックのホイッスル音が頭上で鳴り響くところで、効果を発揮します。DOLBY ATMOSでミックスされたことでトラックや車といったオブジェクトの移動感は素晴らしいものがあり、また、トラックのエンジン音の低音の唸りはかなり強烈で、恐怖感を煽る演出になっています。
なお、このディスクは日本語字幕、吹き替え音声が収録されています。メニュー画面は英語のままですので、全世界共通マスターとは言い難いのですが、字幕、音声の設定画面でそれぞれ日本語を選択できますので、視聴はかなり楽です。また、アメリカで放送されたテレビムービーバージョンもHDですが収録されているので、かなりお得な内容になっています。
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