DUNE/デューン 砂の惑星(4K UHD/iTunes Movies)|Apple TVで観た映画のレビュー
配信仕様
No Image | 原題 | DUNE |
レーベル | WARNER BROS.HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2021年 | |
上映時間 | 155分 | |
監督 | ドゥニ・ヴィルヌーヴ | |
出演 | ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・ハイザック | |
画面 | 2.39:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
ハルコンネン一族は、惑星アラキスで砂漠に埋まっている香料を採掘し、大儲けをしていた。香料は惑星アラキスに住むフレメンにとっての媚薬であり、帝国にとっては惑星間を航行するために欠かせないものだった。
何十年に渡る採掘の後、帝国の皇帝はハルコンネンがアラキスを支配するのをやめさせた。そして、帝国内で地位を築いていたアトレイデス一族にアラキスの統治権を与えることになる。
皇帝の意図は不明だったが、アトレイデス一族はアラキスの統治に向かうことになる。一族の若い息子であるポールは、しばしば惑星アラキスとそこに住むフレメンの若い女性の姿を夢に見ていた。
そして、ポールの母はポールに人を操る「声」の使い方を教えていた。しかし、ポールは完全には「声」を使う術を学び切っていなかった。
アラキスに着いたアトレイデス一族は、ハルコンネンが残して行った機材を使って香料の採掘を再開するのだったが、機材不備のため採掘ができない状態に陥っていた。
その頃、ハルコンネンと帝国の皇帝は、密かにアトレイデス一族を抹殺すべく企みを企てていた。アトレイデスの主治医の妻を拉致して主治医にアトレイデスを殺害するよう指示し、ハルコンネンと皇帝の部隊がアトレイデスの部隊を消滅に追い込んでいく。
ギリギリのところで生き延びたポールと母は、砂漠に逃亡し、フレメンと遭遇する。そして、対立の後の和解でフレメンと行動を共にすることになる。
レビュー
SF作家のフランク・ハーバートが生み出した一大SF叙事詩を、「ブレードランナー 2049」を制作したドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務めた大作映画が、この「DUNE/デューン 砂の惑星」です。過去にも何回か映画化されていますが、いずれも未完の大作となっており、完全映画化されるのは今回が初めてです。
制作費は165百万ドルもかかっているの対し、興行収入は北米だけでは109百万ドルと賄いきれず、全世界で434百万ドルを稼ぐことになって、ようやく制作費回収といった状況です。ただ、評価は高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は83%、観客評価は90%と高水準をつけています。
原作が壮大なSFドラマのためか、物語はこの作品だけでは完結していません。物語自体も途中で終わってしまいますし、映画の冒頭のタイトルクレジットも「DUNE Part 1」と最初から続編を予告しての展開になっています。過去の映画化が中途半端なストーリー展開で出来が悪かったのを考えると、この続編ありきの制作は理にかなっているかと思います。それに、この作品自体の上映時間も155分とかなり長いです。そこまでしないと原作小説の映像化は不可能なのだろうと推測できます。
また、CGやロケーションによる原作小説の世界観の映像再現が素晴らしい効果を上げていて、映像に魅了されます。物語の舞台となる惑星アラキスの砂漠の荒々しさや、ガジェットのショットなど、見どころが多数あります。特に惑星アラキスに生息するサンドワームの存在感の強大さは、SFならではの造形で圧巻です。
物語自体は、一族を滅ぼされたアトレイデス一族の生き残りであるポールとその母が、身内を殺したハルコンネンに復讐をする、という展開で単純な話ではあるのですが、それにハルコンネンの香料採掘によって被害を受けているフレメンという種族の逆襲も加わり、単純なようで複雑な作りになっています。
そして、ポール自身が予知夢を見ることができるという能力を持つことにより、彼が将来を予見しているところが物語上大きな意味を持っています。前半でポールが見る予知夢の中ではフレメンの少女チャニを見ていて、彼女との関係性が続編の中でクローズアップしてくるものと思われます。
映像は4K/DOLBY VISIONで配信されています。DIが4Kですので、ネイティヴ4Kでの配信になっています。4K UHD Blu-rayでもこの配信版でも画面のアスペクト比は2.39:1固定ですが、劇場ではIMAXの1.90:1、もしくは1.43:1のシーンもありましたので、いくつかのシーンは映像の上下が切れていることになります。映像は高精細ですが、配信のビットレートがディスクより低いことが起因の砂漠の砂の映像破綻シーンなど多少クオリティが下がっているシーンもあります。DOLBY VISIONによる色彩表現は圧巻で、砂漠の荒々しさや、光と闇の表現の秀逸さなどが挙げられます。
音響はDOLBY ATMOSで配信されています。DOLBY DIGITAL PLUSベースのDOLBY ATMOSですので、音質はディスクメディアほど高くないはずですが、音の密度はかなり高く、映画冒頭からサラウンドチャンネルと頭上で低音が唸り、その後も終始三次元空間に音が充満する恐ろしいイマーシヴサラウンドを展開しています。まさに映像に没入できるサウンドデザインを構築しています。
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