TO DIE FOR(4K UHD Blu-ray/CRITERION)|誘う女|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

TO DIE FOR(4K UHD Blu-ray/CRITERION)|誘う女|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

TO DIE FOR 4K UHD Blu-rayジャケット 邦題 誘う女
レーベル CRITERION COLLECTION
制作年度 1995年
上映時間 106分
監督 ガス・ヴァン・サント
出演 ニコール・キッドマン、ホアキン・フェニックス、マット・ディロン
画面 1.85:1/DOLBY VISION
音声 dts-HD MA 5.1ch 英語
字幕 英語

あらすじ

ローカルテレビ局の天気予報のキャスター、スザンヌが夫であるラリー殺害の黒幕として、世間を騒がしていた。マスコミはスザンヌに対して色々書き立てていた。

事件の後、スザンヌについて、当のスザンヌ、ラリーの兄弟であるジャニス、スザンヌにドキュメンタリー映像を撮られていたリディア、ラリーを殺害したジミーが、過去を振り返る形で経緯を話し始めた。

レストランの経営を行う父を持ったラリーは、店内にいたスザンヌを見初め、彼女にアプローチをかけていく。スザンヌはラリーと結婚することになるのだが、スザンヌ自身はラリーに対して大した好意も持っていなかった。

スザンヌはとにかく有名になりたがっていた。そのため、全米のテレビ局の責任者が集まるコンファレンスに忍び込み、責任者の一人にアプローチする。その結果、スザンヌはローカルテレビ局に採用されることが有名になる第一歩だと教えられる。

スザンヌはローカルテレビ局を訪れ、自身をアピールして深夜の天気予報のキャスターの地位を手に入れる。ラリーやその家族たちは、スザンヌがテレビで天気の予報をすることを喜ぶ。

スザンヌはそれだけでは満足せず、自身で高校生の姿を取材してドキュメンタリーを作ろうとしていた。高校を訪れたスザンヌはそこでジミーという男の子とリディアという女の子と知り合う。

ジミーやリディアたちとの交流を重ねたスザンヌは、次第に自分のキャリアに邪魔になってきたラリーを排除しようと考える。ジミーとも肉体関係を結んでしまったスザンヌは、ジミーにラリー抹殺の指示を与える。それも、自分に疑いの目がかからないようにして。

スザンヌの虜になっていたジミーは、友達と共にラリーの家に押し入り、強盗のふりをしてラリーを殺害してしまう。ラリーが殺害されたことはすぐに家族たちに伝わり、警察も動く。ジミーとリディアも逮捕され、スザンヌが背後にいることを察するが、リディアに盗聴器をつけてスザンヌと接触させるも、スザンヌは馬脚を表さなかった。

しかし、マスコミはスザンヌに疑惑があることを報道し、スザンヌにも容疑がかかる。ただ、スザンヌの容疑は不十分であり、すぐに保釈される。そして、スザンヌは自分が意図した通りに有名人になる。

レビュー

映画制作当時は人気俳優であるトム・クルーズの妻としての認知度しかなかったニコール・キッドマンが、その美貌を生かして魔性の女として有名になっていく様を描いたスリラー映画が、この「誘う女」です。興行収入は制作費とトントンですので、成功したとはいいがたいですが、評価は比較的好意的で、Rotten Tomatoesでは批評家評価は88%、観客評価は66%と、映画評論家には高い評価を得ています。

この映画は、事件の後の関係者、殺害されたラリーの家族であるジャニスや、スザンヌの被写体であるリディア、ジミーたちの証言から過去の経緯を遡っていく展開になっています。よって、物語冒頭でラリー殺害の容疑をかけられたスザンヌ、という設定は生きたままで、スザンヌがどういう生き方をしてきたかを振り返る構図になっています。事件は冒頭で描かれているので、事件の真相がどう展開していくのかの過程の話を中心に描いています。

また、スザンヌが自分をハリウッドに売り込むためのカメラ撮影も随所に挟み込まれています。そのシーンは、白をバックにスザンヌの顔が画面いっぱいに広がってモノローグを語っていますので、スザンヌという人物の正体を観客に印象付けるには効果的です。他のキャラが普通の背景をバックに事件を語っているのに対し、スザンヌだけが白バックですので、そのギャップ感は相当なものです。

1995年制作の映画ですので、まだインターネットが普及する前の話であり、有名人になるにはテレビや映画に出演するしかない頃の話ではありますが、有名人になりたいという強烈な欲求を持ったスザンヌがどうやって有名人に成り上がっていくかを描いた展開は、現代の世の中にも共通するテーマです。今はYouTube等で、素人がなろうと思えば有名人になることができる時代ではありますが、そのためにはバズる必要があるため、どうしても過激な行動に出るきらいがあります。それを踏まえると、メディア論と倫理観について語った映画だと言えます。今の時代の方が、有名人になるためにはより過激な行動を起こす人が多く、スザンヌが今の時代に存在していたとすれば、もっと別の方法論で有名人になっていたでしょう。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターは35mmフィルムでビスタサイズですので、ネイティヴ4Kでの収録になっています。フィルムの解像度限界まで表現している4Kの映像は大変細やかで、立体感を感じさせます。また、フィルムグレインも極小で、目立たないです。DOLBY VISIONによる色彩表現は鮮やかで、映像の魅力に取り込まれる感覚を受けます。暗いシーンが少なく、晴れた外の映像や華やかなテレビスタジオの映像が多く、光の描写が秀逸です。

音響はdts-HD MA 5.1chサラウンドです。AVアンプのサラウンドモードをdts Neural:Xにして鑑賞したのですが、サラウンドチャンネルの使い方がうまく、また、擬似的に頭上方向にも音場が広がりますので、音に包み込まれる感覚が強いです。5.1chではありますが、音の定位もはっきりしていて、映像と同期したサウンドトラックになっていて、魅力的です。

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