TWISTER(4K UHD Blu-ray)|ツイスター|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
邦題 | ツイスター | |
レーベル | Warner Bros. Entertainment | |
制作年度 | 1996年 | |
上映時間 | 113分 | |
監督 | ヤン・デ・ボン | |
出演 | ヘレン・ハント、ビル・パクストン、ジェイミー・ガーツ | |
画面 | 2.39:1/HDR10 | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語/DOLBY DIGITAL 5.1ch フランス語、スペイン語 | |
字幕 | 英語、フランス語、スペイン語 |
あらすじ
ジョーは幼い頃、実家が竜巻に襲われ、地下室に避難したものの父が竜巻に巻き込まれてしまい、竜巻に対してトラウマを背負っていた。
大人になったジョーは、科学者として竜巻の研究を行っており、仲間の科学者とともに竜巻観測器のドロシーを開発した。竜巻はオクラホマ州で多く発生していて、ジョーもオクラホマにいて、竜巻を追い続けていた。
そのジョーの元に夫であるビルが、新しい恋人であるメリッサを連れてやってきた。ビルもかつては竜巻研究家としてジョーとともに竜巻研究をしていたのであるが、ジョーとの関係は冷え込んでいて、ジョーと離婚の協議をしていた。ビルはジョーに離婚届の不備を指摘し、書き直すよう指示する。ビルの新しい恋人であるメリッサはセラピストであり、ビルも別の仕事に就こうとしていたが、ジョーたちがドロシーの開発に成功したことを知り、ジョーたち科学者とともに竜巻を追いかけることになる。
竜巻を追いかけていた科学者はジョーたちの一団だけではなかった。ジョナスという科学者も仲間とともにドロシーに似た竜巻観測器を開発して、竜巻の実態を調べようとしていた。そのため、ジョーと仲間たちとの間で、竜巻を追いかける競争が始まることになる。
ジョーとビルは竜巻に接近し、ドロシーを投入しようと何度も試みるが、その度に失敗する。そして、都度竜巻に襲われることになるため、メリッサはビルたちの行為に恐怖を抱き、ビルとの交際を打ち切ることになる。
また、ジョーの叔母であるメグも竜巻の犠牲になり、怪我を負ってしまう。それでも父の仇とばかりに竜巻を追い続けるジョーと、ジョーとの間の絆を復活させつつあったビルは、過去最高の巨大竜巻に接近し、最後のドロシー投入を試みる。
レビュー
キアヌ・リーヴス主演のアクション映画「スピード」で一躍人気監督になったヤン・デ・ボンが、当初予定していたハリウッド版「ゴジラ」の脚本をそのまま竜巻の脅威とそれを調査する科学者の物語に変更したのが、この「ツイスター」です。1996年のサマーシーズン・ムービーとして公開され、全世界で大ヒットを記録し、制作費を軽く回収できるほどの興行収入を得ていますが、映画の評価としてはあまり高いものではなく、Rotten Tomatoesでは批評家評価は66%、観客評価は58%と芳しいものではありません。2024年に28年ぶりの続編「ツイスターズ」が公開されたこともあり、本国アメリカでは4K UHD Blu-rayがリリースされていますが、配給会社の関係からか日本では未発売になっています。
ストーリーは元々ハリウッド版「ゴジラ」の脚本を前提として書かれたものが要因ですが、竜巻の脅威を全面に打ち出したものになっており、ILMによるCGで作られた竜巻が主人公として、物語における恐怖感を煽るような展開になっています。ジョーやビルといった竜巻チェイサーたちの個人的問題も描かれていますが、話の筋としてはかなり薄いです。映画では登場人物に感情移入できませんので、ジョーとビルの離婚と和解の話や、ジョーが幼い頃に父を失った竜巻によるトラウマの話も、一応は描かれていますが、観客に訴えかけるだけの強みがありません。
映画としては、人間が制御できない竜巻の恐ろしさを観客に共有してもらうことを全面に出していて、その面では成功しています。元々は、ハリウッド版「ゴジラ」の脚本として書かれたものを「ゴジラ」から「竜巻」に変えただけのストーリー展開ですので、竜巻の脅威はゴジラの脅威と重なって見えます。
この映画の公開後、28年が経過した2024年夏に続編と言ってもいい「ツイスターズ」が公開されましたが、アメリカでは大ヒットしたものの、世界興行収入では惨敗しています。日本でも酷い扱いを劇場で受けたようです。「ツイスター」と「ツイスターズ」は、竜巻を追いかける話という意味では共通点はありますが、登場人物は全く違いますので、続編と言ってもいいのか疑問に思う部分もあります。それでも、オリジナル制作の28年後に、続編が作られるというのは、この「ツイスター」の影響が大きいと言えるでしょう。
映画の中で、竜巻観測器の名前がドロシーなのは、「オズの魔法使い」から取られていることがイラストでわかりますし、竜巻に破壊されるドライブインシアターで上映されていた映画が「シャイニング」と、結構ワーナー・ブラザースの過去の映画からの拝借が多い映画でもあります。映画自体はワーナー・ブラザースとユニバーサル・ピクチャーズの共同制作なのですが、アメリカではワーナー・ブラザースが配給していますので、その関係もあります。
映像は4K/HDR10で収録されています。IMDbでは情報が書かれていないので確証はないですが、マスターが35mmフィルムですので、ネイティヴ4Kでの収録だろうと推測できます。マスターがフィルムなのですが、解像度はそんなに高いわけではないです。フィルムグレインも目立たず、その分解像度が落ちているかのように感じます。解像度が低い分、竜巻のCGの粗が見えづらく、迫真の映像に仕上がっています。HDR10による色彩表現は嵐のシーンが多いので、そんなにカラフルでもないですが、要所要所で光の輝きや薄暗い竜巻内部のシーンなどの表現で効果を発揮しています。
音響はDOLBY ATMOSでミックスされています。劇場公開時はDOLBY DIGITALやdts、SDDSといったチャンネルベースの5.1chサラウンドだったのですが、今回の4K UHD Blu-rayリリースにおいてオブジェクトベースのイマーシヴサラウンドに生まれ変わっています。竜巻の効果を最大限、音で表現するために天井方向やサラウンド方向からのオブジェクトが映画冒頭から満載であり、竜巻に接近していないシーンでも絶えず雷の音が頭上や後方で鳴り響いていますので、臨場感は満載です。低音の響きも十二分にあり、まさに竜巻の中にいるかのような音響演出が堪能できます。
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