土岐麻子 SPECIAL LIVE STANDARDS & BEST ~Peppermint Sunday|恵比寿ザ・ガーデンホール
2024年11月3日
はじめに
今年は、土岐麻子のライブを、ゴールデンウィークにビルボードライブ東京に見に行っている。ソロデビュー20周年ということで、大都市中心にライブを精力的に行っているのだが、この秋、恵比寿ザ・ガーデンホールでスペシャルライブが開催されることを知った。
恵比寿ザ・ガーデンホールでのライブ開催前には、10月にビルボードライブ東京でEPOのライブにゲスト出演する、という話も聞いていたが、そちらはEPOの楽曲に疎かったので、チケットは取らず、この恵比寿ザ・ガーデンホールでのチケット獲得に向けて、動いた。e+でのチケット先行予約に申し込んだら、運良くチケットは確保できてしまった。それで、11月3日の日曜日、祝日でもあるのだが、恵比寿まで足を伸ばした。
恵比寿ザ・ガーデンホールは初めての会場である。ファンである佐野元春が2011年からコロナ禍の時期を除いて毎年クリスマスライブをここで行っているので、会場名だけは知っていたが、2011年から2024年まで会社の都合で福岡在住だったので、恵比寿を訪れることすらなかった。恵比寿ザ・ガーデンホールのある恵比寿ガーデンプレイスは、元々サッポロビールの工場跡地であることぐらいは知っていたが、初めて恵比寿ガーデンプレイスを訪れると、なんかお上りさんになったような気分になってしまった。
昼間、別のところで用を済ませていたので、恵比寿ザ・ガーデンホールに着いたのは開場時刻の16:30を少し回っていた。すでに入場は開始されていたが、結構多くの人が入場しているので驚いた。チケットはソールド・アウトになっていたので、ファンが駆けつけたのだな、と思っていた。
入場時に1ドリンク制でドリンク代別料金を取られた。サッポロビール工場跡地であることもあってか、ヱビスビールとかのサッポロの缶ビールが提供されていたので、ヱビスビールをもらい、会場内で開演を待ちながらヱビスビールを楽しんでいた。
17:05に場内注意アナウンスが流れ、17:10からライブは開始された。
セットリスト
- My Favorite Things
- NEON FISH
- ソルレム
- 夕暮れよ
- Lonely Ghost(新曲)
- Singin’ in the Rain
- Just One of Those Things
- Cheek to Cheek
- Destination Moon
- HUMAN NATURE
- Perfect You
- Norwegian Woods
- ZANZIBAR
- It Don’t Mean A Thing
バンドメンバーは、ピアノとサックスの2人だけのミニマルな構成だったので、驚いた。最初の楽曲は、ジャズ・スタンダートナンバーの「My Favorite Things」だった。楽曲名は知らないが、楽曲自体は知っていたので、アダルトな選曲とその演奏にうっとりしてしまった。
MCが入り、「ライブへようこそ」と話しながら次の楽曲のイントロが流れ始めていた。続いての楽曲は、個人的に好きな「NEON FISH」だった。アルバムのトーンとして暗い「Twilight」の中でピンとくる楽曲である。ピアノとサックスだけでこの楽曲を再現するのは素晴らしいと感じた。
再びMCが入り、「文化の日にライブに来てくれてありがとう」という趣旨を話し出し、「ソロ活動20周年ということでライブをやってきましたが、ジャズ・スタンダードの活動もやってきたので、そちらに焦点を当てて開催しました」という趣旨の説明をした。そして、最初の2曲の曲名紹介をして、「落ち着いた演奏をしたいと思います」、「自由に楽しんでください」と言って、「20年の活動の中で、コロナ禍の影響が大きかったと思います。その中でできた曲を聴いてください」と言って「ソルレム」を歌った。
「ソルレム」も「NEON FISH」もアルバム「Twilight」収録の楽曲だが、アルバム「Twilight」自体がコロナ禍の影響を受けて暗いトーンのアルバムなので、なんかしっくりくる時と来ない時がある。
続けて初期の楽曲である「夕暮れよ」を歌った。この楽曲をライブで、しかもミニマルな演奏で聴くのは初めてなので、しっとりとしてしまった。
MCが入り、楽曲名を紹介する。「これらの楽曲は人生の秋を感じさせる歌です。20代の頃から実はこういう楽曲を書いていました。若い時から自分の終わりを考えていました。そんなこと考えなくていいのですが。でも、楽曲は皆様のものですから、どう感じ取っていただいてもいいのですが」
そして、次の楽曲は何と新曲である。12月18日にリリースされる「Lonely Ghost」というアルバムからアルバムタイトルナンバーである「Lonely Ghost」を歌ったのである。まだ、ほとんどの人は聞いたことすらない楽曲である。最初は重い感じだが、サビで転調する複雑な楽曲だなと思った。
続けてジャズ・スタンダードに戻り、「Singin’ in the Rain」を歌った。この楽曲は映画の歌として有名なので、僕も「よく知っている。いい感じの歌だな」と思いながら楽曲に浸っていた。
続けて「Just One of Those Things」というジャズ・スタンダードを歌った。この楽曲は知らなかったのだが、サックスの演奏が素晴らしく、ご機嫌になれる楽曲だった。
MCが入り、楽曲名を紹介し、「バンド構成もいいのですが、この構成だとまた面白く感じます。楽曲の印象も変わると思います。今日はゲストをお招きして一緒に歌おうと思います。実は小学校から一緒でした。相手は私のことを覚えていなかったのですが、私は知っていました。大人になって一緒に楽曲を作るにあたって、共に戦ってきた仲間という印象です。」などと話し、ゲストのTRICERATOPSの和田唱を呼んでジャズ・スタンダードである「Cheek to Cheek」を一緒に歌い出した。
このあと、和田唱と土岐麻子のトークが炸裂した。高崎音楽祭でも共演し、話題になったので、今日のライブでゲスト出演してもらったとのことである。で、二人の出身校は渋谷の西原小学校であり、小学校時代の話がどんどん展開し、爆笑の渦に巻き込んだ。和田唱が芯がぶれていない、という話を昔話から始めて、笑いを誘っていた。和田唱はロケットにこだわっている、という話であった。大人になって好きなジャズの楽曲は、という話でまた宇宙の話になったのには爆笑した。この二人が今年度49歳になるというのには驚いた。そして、和田唱がジャズにハマったので数日前にジャズ・ギターを買った話までしてしまった。今日が初披露なのだそう。そして、ハマっていたビヴァリー・ケニーの話とビートルズの話まで飛んでいった。
和田唱が買ったジャズ・ギターをバックに、「Destination Moon」を披露した。ジャズ・ギターとピアノ、サックスのシンプルな編成ではあるが、いいノリの演奏であった。
また、二人の話に戻り、二人で2曲をかつて録音した、という話をしていた。二人のスターがマイケル・ジャクソンである話もしていた。小学校で和田唱が「マイケル・ジャクソンが好き」と言うと同級生の女子に嫌われた、という話をしていて笑いをとっていた。でも、土岐麻子のクラスではマイケル・ジャクソンは好きなスターだったそう。で、同級生や先生の名前を出したりしていた。で、マイケル・ジャクソンの歌を歌おうとして、和田唱がギターのピックを色々落とした話に飛んで、「Destination Moon」のソロで失敗した話からその部分だけやり直しという場面まで及んだ。
二人の爆笑トークはさらに続いたのだが、最終的には二人がコラボしたマイケル・ジャクソンの「HUMAN NATURE」を和田唱のギターと土岐麻子のマラカスだけで二人でボーカルを取って歌った。
和田唱がゲストで出る最後の楽曲の話になって、それが「Perfect You」だった。和田唱からすると作曲だけして作詞を別の人にするというのは初めての体験だったそうである。和田唱の才能を土岐麻子は褒めていた。そんな話から西原小学校の校歌の斬新さに触れて、何と校歌を歌うという意外な展開まで繰り広げられた。同級生には土岐麻子に初期楽曲を提供していた川口大輔の話にも及んでいた。
そして、「Perfect You」をまた二人で歌った。この歌の後、和田唱はステージから去った。また、ピアノとサックスに戻ってきてもらい、ビートルズの話をして、彼らの楽曲から「Norwegian Woods」を歌った。邦題は「ノルウェーの森」。この楽曲も聞いたことはあるので、親しみやすい楽曲だった。
続けて、「ZANZIBAR」を演奏する。途中でサックスとピアノのソロが入り、盛り上がる。その後、最後の曲ということで、「It Don’t Mean A Thing」が演奏された。ここで観客から手拍子が入る。歌い終わった後、メンバー紹介をして、ステージから去った。ピアノはハタヤテツヤ、サックスは田中邦和である。
アンコール
- Lady Traveler
- Little Girl Blue
- (I Can’t Get No)Satisfaction
アンコール1曲目は、「Lady Traveler」という楽曲だった。土岐麻子の父が作った楽曲であり、これを歌うと父を側に感じる、という趣旨の話をしていた。そして、来年の2月にツアーがあるのだが、チケットの予約が今日の夜9時からなので、ぜひ、予約してほしい、という話はしていた。ツアーは「Lonely Ghost」のプロモーショナルツアーである。そして、恒例のグッズ紹介で、風呂敷を作ってきました、ということで新たなグッズである風呂敷を紹介していた。
アンコール2曲目は、ミュージカル映画で歌われていた楽曲で、ライブで歌う人が少ないのだそうである。すでにスタジオ録音版もあるそうだが、今回、ライブで披露ということで、「Little Girl Blue」を歌い上げた。スローなナンバーである。
「20周年を振り返るということでライブを進めましたが、縁に恵まれて素晴らしい時間を過ごせました」という話をしてから、最後にもう一回和田唱をステージに呼び、TRACERATOPSのライブの宣伝をしていた。最後に歌ったのは、ローリング・ストーンズの「(I Can’t Get No)Satisfaction」だった。和田唱が観客を煽って椅子から立ち上がらせた。観客も立ち上がって手拍子で答えた。
ライブ終了後は、ステージ後方から土岐麻子たちと観客の集合写真を撮った。
ライブでお馴染みの「Gift~あなたはマドンナ~」がないのは意外性あったが、ジャズ・スタンダードとカバー中心の選曲だったのは、面白いと思った。ライブ自体は和田唱とのトークが長すぎの感はあったが、面白いライブであった。2時間10分以上のライブは楽しいの一言に尽きた。
次は、ニューアルバム「Lonely Ghost」を聴き込むのと、ツアーに行くことだろうか。チケットの先行予約は申し込んだ。多分当たるとは思うが。
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