ウルフズ(4K UHD/Apple TV+)|Apple TVで観た映画のレビュー
No Image | 原題 | WOLFS |
レーベル | Apple Studios | |
制作年度 | 2024年 | |
上映時間 | 107分 | |
監督 | ジョン・ワッツ | |
出演 | ブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー、エイミー・ライアン | |
画面 | 2.39:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
ある豪華ホテルの一室で、若い男性が死んでいるのを一緒にいた女性が発見する。女性は慌てふためき、iPhoneで氏名が不明な者に電話をかける。その電話番号は使われていなかったのだが、折り返し謎の男から電話がかかってくる。その男は一匹狼のフィクサーで、片付け屋でもあった。フィクサーは、女性のいる部屋を訪れ、死んだ若い男性を片付けようとする。
しかし、そこにもう一人の一匹狼のフィクサーが現れる。そのフィクサーは、ホテルの室内に取り付けられてあった隠しカメラの映像を見ていたホテル王のパメラから指示を受けて、死んだ男の始末をつけにきたのだった。パメラとの会話から、女性は検事長であり、若い男性とバーで意気投合してホテルの室内に入ったことがわかる。また、パメラはホテルの悪評が立つのを嫌っていて、フィクサーに若い男性の始末を依頼したのだった。
二人のフィクサーは反目するのだが、一人が室内から麻薬を見つけたことで事態は意外な方向に向かい出す。麻薬を元の持ち主に返すのが無難だというところで意見は一致したのだが、死んだと思われていた若い男性が息を吹き返してしまったことで、二人のフィクサーはチャイナタウンの闇医者のもとに若い男性を連れていく。
若い男性はチャイナタウンの闇医者の治療中に逃走するが、二人のフィクサーが彼を追い詰め、最終的には確保する。そして、若い男性は女性検事長と一緒になるまでのあらましを話し始める。彼は、学生であったが、友達の母が亡くなったことから、友達が引き受けていた麻薬の運搬を代わりに行う約束をしてしまった。麻薬を運ぶ仕事をしている途中、バーで女性検事長と意気投合し、ホテルの室内に一緒に入り、そこで麻薬を決めたため、一時的に死んだように見えていたというのである。
麻薬は実はアルジェリア人のものであり、若い男性はラグランジュに届けることになっていた。そして、その届け先にはポケベルでの連絡になっており、ポケベルは二人のフィクサーにとって鬼門であるディミトリがいるバーだった。
三人はディミトリのいるバーに行き、問題は起きたもののなんとか若い男性はポケベルを手に入れることができた。ディミトリも二人のフィクサーの姿を認めて捕まえるものの、解放したので、三人は麻薬の届け先の連絡が入るのを待つ。
ポケベルが鳴って、麻薬の届け先がわかった。若い男性に仕事を完結させるべく、麻薬を若い男性に託して、三人で麻薬の届け先に赴く。しかし、そこにはアルジェリア人たちが押し寄せており、麻薬の奪取を狙って三人に襲いかかる。三人は、ピンチを切り抜けようと必死で防戦する。
レビュー
ブラッド・ピットとジョージ・クルーニーが共演する豪華ミステリー・アクション映画が、この「ウルフズ」です。当初は劇場公開を念頭に制作されていた作品ですが、土壇場になってApple TV+での配信オンリーになってしまった不憫な作品でもあります。劇場公開では利益が上げられないという問題が潜んでいると言われています。映画の評価も高くはなく、Rotten Tomatoesの批評家評価は67%ですが、観客評価は51%と低迷しています。
物語は、二人の一匹狼であるフィクサーが、ある事件の始末で顔合わせをしてしまい、事件の始末をつけるために渋々共同で行動していくうちに、次第にお互いを認め合うという、バディ物の一種です。それをブラッド・ピットとジョージ・クルーニーという一人でも主役を張れるスターが顔合わせして共演しているところにこの映画の魅力があります。
基本はブラッド・ピットとジョージ・クルーニーの二人のフィクサーの半目し合いながらもしだいにお互いを認めていく展開ですが、それに加えて、物語冒頭では死んでいたはずの若い男性が、途中から息を吹き返して生きていることから、彼も加えた3人としてのバディ物になっています。この3人のコミカルなやり取りは、結構面白いです。
その一方で、この映画は謎解きの展開に終始している部分もあり、物語冒頭から、謎だらけの設定に首を傾げることになります。その謎解きは物語が進むにつれて徐々に明かされていくのですが、真相はラストに至るまで分からず、ラストのところでようやく真実が見えてくるという展開に、少々焦ったい感覚を覚えたのも事実です。
二人のフィクサーの名前が物語全編を通して一切明かされないのも、ユニークですが、焦ったい部分でもあります。スター二人の共演ということで存在感は抜群なのですが、キャラクターの名前がないので、視聴者としてはブラッド・ピットが演じるフィクサーと、ジョージ・クルーニーが演じるフィクサーという認識しか出来ず、キャラクターにではなく、スターに感情移入してしまっている面は否めません。
物語ラストの真相解明の部分は、二人のフィクサーが罠にはめられたという展開になっていて、それが物語全編のストーリーそのものに当てはまりますので、意外なオチだったなと思う部分はあり、そしてラストシーンは名作「明日に向かって撃て!」的な終わり方をしています。
映像は4K/DOLBY VISIONで配信されています。IMDbにも詳しい情報がないので断定はできませんが、ネイティヴ4Kだと思われます。映像が4Kならではの高精細であり、全編、抜けのいい映像になっているのがその理由であります。DOLBY VISIONによる色彩管理は、ラストシーンを除いて終始夜のシーンか、室内のあまり明るい照明のないシーンばかりですので、暗いトーンでの人物や物体の描き分けに長ける方向に走っています。夜の照明が光り輝く方向性の描写ではないです。映画のエンドクレジットでは当初はIMAXシアターでの上映も考えられていたようで、IMAXロゴも見えています。
音響はDOLBY ATMOSでミックスされています。オブジェクトの配置が素晴らしく、まさに映像の外にオブジェクトが実在しています。映画冒頭のiPhoneの着信音が右後方で鳴り響くシーンなどはリアルすぎて驚きました。オブジェクトの移動感もリアルですし、頭上方向の音も臨場感はあります。クライマックスの銃撃シーンは、まさに視聴者を取り囲むかのような着弾音が鳴り響きます。
なお、Apple TV+の場合、この映画が始まる前に別の映画の予告が流れるので、配信サービスとしては意外でした。Apple TV+の視聴者は多くはないので、こういう宣伝も必要なのでしよう。
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