HEREAFTER(Blu-ray)|ヒア アフター|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
邦題 | ヒア アフター | |
レーベル | Warner Home Video | |
制作年度 | 2010年 | |
上映時間 | 129分 | |
監督 | クリント・イーストウッド | |
出演 | マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス、フランキー・マクラレン | |
画面 | 2.40:1/SDR | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語/DOLBY DIGITAL 5.1ch フランス語 | |
字幕 | 英語、フランス語、スペイン語 |
あらすじ
フランスのテレビ人気キャスターであるマリーは、同僚と共にバカンスに来ていた。マリーは同僚の子供にお土産を買うべく街に出るが、そこに巨大津波が襲ってきて、マリーは津波に巻き込まれる。マリーは津波に巻き込まれたために一時は死後の世界に行くのだが、奇跡的に息を吹き返す。しかし、死後の世界を見てしまったマリーは現実の世界との折り合いをつけることが難しくなり、契約により書いていた自叙伝の内容を一部、自分が見た死後の世界の話に書き換える。そのため、予定されていた自叙伝の出版は御破算になり、同僚との不倫も破局を迎える。
サンフランシスコに住むジョージは死後の世界を見ることのできる能力を、幼少期から持っていた。それを知っている兄弟は、親しい人を失った人物から金銭をとってジョージにその人の親しい人の死後の世界を読み取らせて、生き延びた人に話すように仕向けていた。ジョージは死後の世界を見ることのできる能力を忌み嫌っていた。そんなある日、ジョージはイタリア料理のレクチャーを受けることになり、メラニーという女性と親しくなる。ジョージはメラニーを自宅に招待するのだが、ふとしたきっかけでメラニーの身内に起きた不幸を読み取ってしまい、それをメラニーに話ししたことでメラニーは離れていってしまう。
ロンドンに住むジェイソンとマーカスの兄弟は、自分たちを世話しない母を庇いながら、なんとかソーシャルワーカーの目を掻い潜っていた。ジェイソンは母の薬を買うために街に出たのだが、途中で不良たちに捕まり、逃走する途中で交通事故でこの世を去ってしまう。残されたマーカスはソーシャルワーカーの手によって里子に出されるのだが、ジェイソンの死が受け入れられず、ネット上で死後の世界について調べ出す。そして、死後の世界を話す人たちの会合に出たりしていた。そんなある日、地下鉄に乗ろうとしたマーカスはジェイソンの帽子を風で飛ばされ、取りにいったために地下鉄に乗りそびれる。しかし、その地下鉄は事故で大きな犠牲者を出してしまった。
マリーは、アメリカの出版社が彼女の自叙伝を出版してもいいと打診する。そのために、ロンドンで開かれるブックフェアに参加してほしいと依頼する。ジョージも、彼の能力を金儲けに利用しようとする兄弟に嫌気がさし、ロンドンに旅立つ。そして、マーカスは死後の世界を知りたくて、ブックフェアに参加する。そのブックフェアで3人はそれぞれ接点を持ち、次第に漠然としていた死後の世界について折り合いをつけ始める。
レビュー
スティーヴン・スピルバーグが制作総指揮を、クリント・イーストウッドが監督を務め、マット・デイモンを主演に迎えて、死後の世界の話を生者の側から淡々と描いた秀作が、この「ヒア アフター」です。映画の内容が死後の世界というテーマだったためか、全世界興行収入では制作費を回収できていますが、北米だけでは赤字になっています。また、評価も芳しくなく、Rotten Tomatoesの批評家評価は48%、観客評価は38%と低評価になっています。
物語は3つの登場人物を交互に描きつつ、死後の世界を生者の側から見た視点で描写しています。親しい者がこの世から去った後、残された者たちが死とどう折り合いをつけるのか、また自身が死後の世界を見てしまったために、現実の世界と死後の世界の折り合いをどうつけるのかがメインテーマです。Blu-rayのジャケットでは「マット・デイモン主演」と派手に謳ってはいますが、マット・デイモンが主役の話ではなく、死後の世界に取り憑かれたフランスのテレビキャスターであるマリーと、マット・デイモン扮する死後の世界が見える能力を持ったために苦悩するジョージと、兄弟が不慮の事故で亡くなったために喪失感を強く感じるマーカスという少年の3人の話が均等に割り振られています。そのため、派手なスター映画ではなく、シリアスであり考えさせられる内容になっています。
僕の場合、最近母を失いましたので、この作品を見たことで死後の世界に対するある種のイメージがこの作品で形作られ、生き残った者としてどう生きていけばいいか、考えさせられるところが大いにありました。死者をどう偲び、どう死と折り合いをつけて人生を歩んでいくかの参考になりました。
死後の世界の話ですので、物語自体がはっきりと結論を出しているわけではありません。物語のクライマックスでは主要登場人物3人がそれぞれに接点を持つ展開にはなっていますが、彼らの心が癒されたという保証は何も描かれていません。ただ、死に対する折り合いの付け方については触れていますので、そこはかとないニュアンスのラストですし、鑑賞した者がどう自身で死を考えたらいいのか、という提示はしています。
映像は2K/SDRでの収録です。撮影プロセスそのものは35mmフィルムで撮影していますが、マスターとして完成したのは2KのDIですので、ネイティヴ2Kです。マスターが2Kの解像度ですので、このBlu-rayの解像度には不満を感じることはありません。フィルムのグレインノイズはわずかに乗っています。Blu-rayですので色彩表現はSDRに限定されます。クリント・イーストウッド作品で共通するような冷たい雰囲気のするモノトーン系の色が支配的です。
音響はdts-HD MA 5.1chで提供されています。物語で派手な音響を演出しているのは、物語序盤のマリーが巻き込まれる津波のシーンと、マーカスが難を逃れる地下鉄事故のシーン、そして3人が見る死後の世界への突入シーンです。これらのシーンの重低音の効果と、サラウンド感は素晴らしいものがあります。AVアンプのサラウンドモードをdts Neural;Xモードで試聴したのもありますが、試聴位置で音に飲み込まれる感覚を受けます。ドラマパートのシーンも映像で提供される環境の音がサラウンド感を出していますので、物語に没入できます。
コメント