THE CALL(Blu-ray)|ザ・コール[緊急通報指令室]|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
邦題 | ザ・コール[緊急通報指令室] | |
レーベル | SONY PICTURES HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2013年 | |
上映時間 | 94分 | |
監督 | ブラッド・アンダーソン | |
出演 | ハル・ベリー、アビゲイル・ブレスリン、モリス・チェスナット | |
画面 | 1.85:1/SDR | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語、フランス語 | |
字幕 | 英語、デンマーク語、フィンランド語、フランス語、ノルウェー語、スペイン語、スウェーデン語 |
あらすじ
ジョーダンはカリフォルニアの緊急通報指令室で、日々かかってくる911の電話緊急通報の対応に追われていた。ある晩、ジョーダンは自宅に一人でいる少女、リアからの緊急通報を受ける。リアの電話によれば、正体不明の男性が家に押し入ろうとしている、という話だった。ジョーダンはリアに家のどこか隠れられるところに隠れるよう指示する。リアは一旦はベッドの下に隠れて家に押し入った正体不明の男性の目をくらませることに成功したが、ベッドの下に隠れたために電話回線が切れてしまった。そのためジョーダンは折り返し電話をかけてしまい、呼び出し音によって正体不明の男性はリアの居場所に気付き、彼女を拉致する。そしてリアは死体となって発見された。
半年後、ジョーダンは緊急通報指令室で働くことになる研修生たちの講師をしていた。オペレーターとして一線で働いていなかったのだが、ジョーダンが研修生たちに緊急通報指令室を紹介した時に緊急通報が入る。電話の主はケイシーという少女で、ショッピングモールで友達と別れた後、友達が忘れていった携帯電話を持って駐車場に行ったところ、正体不明の男性に誘拐されて、車のトランクに閉じ込められているという。その話を聞いたジョーダンはオペレーターと変わり、自らケイシー事件の対応にあたる。
ケイシーが持っている携帯電話のGPS機能がうまく動作しなかったため、ケイシーの居場所が特定できなかった。そのため、ジョーダンはケイシーに様々な指示を出して自分の居場所を他者に伝えるよう依頼する。ケイシーもそれに従って様々な指示をこなして自分の居場所を他者に伝えようとするのだが、他者がそれに気づくと正体不明の男性は気づいた他者を殺害したりして、居場所の痕跡を消していこうと試みる。
それでも正体不明の男性の正体は徐々に判明していく。名前はマイケルと言い、ごく平凡な家庭持ちの男性だった。ただ、マイケルには悲しい過去があり、親しい肉親を失った悲しみを乗り越えられず、それを埋めるために少女たちを次々に誘拐し、ある目的を達成しようとしていた。そして、ジョーダンは半年前にリアを殺した犯人がマイケルであることを確信する。
マイケルと電話で会話したジョーダンは、録音したトラックからかすかに環境音が聞こえるのを発見する。それとケイシーの携帯電話と通信していた最後の基地局から、ジョーダンは一人ケイシーがいる可能性の高い場所に赴き、そこで驚愕の事実を知る。
レビュー
アカデミー賞受賞の人気俳優、ハル・ベリーが主役の緊急通報指令室のオペレーターを務め、誘拐された少女を救うべく奮戦するサイコスリラーが、この「ザ・コール[緊急通報指令室]」です。制作費が低いこともあってか、興行収入は制作費を軽く超えて稼ぎ出しています。ただ、映画の評価は微妙で、Rotten Tomatoesの批評家評価は45%と腐っています。観客評価は65%と水準並みの評価は得ていますけれど、試聴した限り、並の出来の映画です。
物語は、アメリカ警察の緊急通報指令室、911のオペレーターが、正体不明の男性に誘拐された少女を救うために奮戦する話です。上映時間が94分と短いので、テンポよく話は進んでいき、特に前半の物語の進みの良さは特筆に値するものがあります。
ただ、少女であるケイシーを誘拐した正体不明の男性がマイケルという表向きごく平凡な家庭持ちであることがわかり、マイケルが何のためにケイシーを誘拐したかというのがわかってきて、ケイシー解放のためにジョーダン自身が単独で首を突っ込むあたりから、その展開は無茶でしょう、というような話に変わってしまいます。ここは、最後まで警官がマイケルを追い詰め、マイケルを逮捕し、ジョーダンは最後まで緊急通報指令室から離れない、というのが王道の展開ですし、そうなっていないところが評価が微妙になっている点です。
さらに、ラストの終わり方は、それでいいのですか? と唖然とする展開になってしまい、法を超えたオチの付け方に空いた口が塞がらない展開になってしまっているところも、物語の無茶振りが見えてきます。特に前半のテンポの良さからすると、突然クライマックスだけがスーパーヒーローものに変わってしまったかのような逆転劇になってしまっているのは惜しいです。
少女誘拐犯のマイケルが、なぜ少女を連続して誘拐し続けているのかというオチは、どことなく「羊たちの沈黙」のバッファロー・ビル的意思を感じさせますが、無表情な顔で殺人を行うマイケルは、かなり怖いです。それも表面的にはありふれた一般人の顔をしているだけに余計です。
映像はHD/SDRで収録されています。制作年度からしてDIは2Kとなっていますので、Blu-rayの解像度で全く問題はありません。色彩も魅力的ですが、気になる点が一つあり、黒が締まっていないところが引っ掛かります。画面が暗転するシーンでも若干の黒浮きを起こしているぐらいですので、全般的に締まりのない映像になってしまっているところは残念です。
音響はdts-HD MA 5.1chサラウンドで収録されています。AVアンプの設定でdts Neural:Xモードで試聴しましたが、擬似的ながら三次元に広がるサラウンド効果は素晴らしいものがあります。元々の5.1chサラウンド自体が臨場感を高める音の配置になっていて、スリリングさを感じさせるようになっていますが、dts Neural:Xモードで聴くと、ヘリコプターの音などが頭上で移動するかのように聞こえ、さらに臨場感をアップさせる効果を出しています。
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