SE7EN(4K UHD Blu-ray)|セブン|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

SE7EN(4K UHD Blu-ray)|セブン|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

SE7EN 4K UHD Blu-rayジャケット 邦題 セブン
レーベル Warner Bros. Home Entertainment
制作年度 1995年
上映時間 127分
監督 デヴィッド・フィンチャー
出演 ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロー
画面 2.39:1/HDR10
音声 dts-HD MA 5.1ch 英語/Dolby Digital 2.0ch 日本語
字幕 日本語、英語

あらすじ

アメリカのとある街。この街では絶えず雨が降っていて、廃退的になっていた。定年を7日後に迎えるサマセット刑事も、この街の廃退的なところに嫌気がさしていて、定年が来るのを心待ちにしていた。そんなサマセット刑事の新しい相棒として、他の街からミルズ刑事がやってくる。ミルズ刑事は若く、廃退的な街を浄化しようと意気込んでいた。

そんな二人の前に猟奇的な連続殺人事件が発生する。連続殺人事件は、それぞれが一見何の関わりもないように見えたが、捜査をしていくうちに、サマセットが犯人はキリスト教の七つの大罪、つまり、暴食、強欲、怠惰、憤怒、傲慢、色欲、嫉妬になぞらえて殺人事件を行っていることを発見する。

犯人の目的はわかったのだが、犯人そのものの目星がつかなかったので、サマセットはFBIに賄賂を渡し、図書館でキリスト教の七つの大罪に関する書籍を借りた人物のリストを提供してもらう。

その一方で、ミルズの妻であるトレーシーがサマセットを自宅に呼び、トレーシーとサマセットの交流が始まる。夕食の会話の中で、サマセットが街をなぜ嫌っているかをミルズも理解し始める。その後、トレーシーはサマセットと二人きりで面会し、ミルズの子供を宿していることをサマセットに話す。トレーシーもこの街を嫌っていて、サマセットだけが信頼できる人物だったからである。サマセットはトレーシーを諭す。

FBIから賄賂で得た情報により、連続殺人事件の犯人の居場所を突き止めたサマセットとミルズは、犯人の自宅を訪れる。しかし、二人に気づいた犯人は逃走し、二人は犯人を追跡する。犯人は一人になったミルズを強襲するが、なぜか殺さずに逃げていく。犯人に逃げられたミルズは、強引に犯人の家に侵入し、犯人が名無しのジョン・ドゥという男であることまで判明させる。

ジョン・ドゥの家を捜索していたミルズは家の電話が鳴っているのに気づき、電話に出るとジョン・ドゥからであり、ミルズやサマセットに強襲されたため、連続殺人事件のターゲットを変えると宣言する。その後、ジョン・ドゥは警察に出頭し、自身が行なっている連続殺人事件のうち、残り2つについて、ミルズとサマセットの二人だけが郊外にジョン・ドゥと一緒にくれば、真相がわかると宣言する。

ミルズとサマセットはジョン・ドゥの話を聞いて、万全の準備をしながらジョン・ドゥと共に夕方に郊外に向けて車を走らせる。そこで、計画を変更したジョン・ドゥの残り2つの殺人事件の真相が判明し、想定外の事件が発生する。

レビュー

「エイリアン3」で映画監督デビューしたものの、興行的、批評的に失敗してしまったデヴィッド・フィンチャー監督の評価を一変させ、その名を一躍有名にしたサイコサスペンス映画の傑作が、この「セブン」です。映画情報サイト、IMDbでは8.6/10の高スコアを誇り、「Top rated movie」の20位に位置するぐらいに高評価を受けています。また、Rotten Tomatoesでも高評価で、批評家評価は84%、観客評価は95%と高い数値を示しています。もちろん、興行的にも大成功を収めており、北米だけで制作費の3倍、全世界では制作費の10倍という興行収入を得ています。今回、劇場公開30周年を記念して、満を持しての4K UHD Blu-rayのリリースとなっており、また、IMAXシアターでのリバイバル限定上映も行われています。

この作品の最大のポイントは、キリスト教における七つの大罪に沿った連続殺人事件を犯しているジョン・ドゥという男が、最終的にはサマセットやミルズを巻き込んで連続殺人事件を成就させてしまうところにあり、その後味の悪さは、僕がこの映画を輸入盤レーザーディスクで初めて見た時に強烈な印象として残っています。その後も輸入盤DVDで再鑑賞していますが、今回、4K UHD Blu-rayで改めて鑑賞しましたが、作品全体を貫く重いトーンは改めて強烈なインパクトを与えうるものになっています。本来、正義の味方であるはずのミルズ刑事が最終的には連続殺人事件に加担せざるを得ない状況に追い込まれていくのは、作品を通して描かれる重苦しいトーンをさらに悪化させるクライマックスとなっており、衝撃を受けること間違いなしでありますが、映画としての完成度は上がっていると言わざるを得ません。

また、アメリカのどの街という明言はないですが、絶えず雨が降り続いているどこかの街で起こる連続殺人事件という展開は、物語のトーンを強調させる演出として、作品世界に没入させる要素の一つとして機能しています。主人公のサマセットは、この街で生きていくことに辛さを感じていますが、絶えず雨が降りしきる街という演出は、サマセットのセリフの端々から廃退的な世界であり、生きていくのが辛そうな世界という部分を強調しています。そして、この世界観は、映画が制作された1995年より、劇場公開30周年を迎えた2025年の世界の方がより作品の世界観に近づいています。

キリスト教における七つの大罪というテーマを連続殺人事件のモチーフにしていることから、キリスト教に縁の遠い日本では多少理解しづらいところもあるのですが、ジョン・ドゥが行っている連続殺人事件はどれも猟奇的な殺人事件ですので、そのビジュアルな表現だけでも異様な世界観を表現するのに十分で、ジョン・ドゥの選民意識が見え隠れするのには十分です。

サマセット自身は廃退的な街で暮らすことに疲れ果てていますが、相棒であるミルズの妻であるトレーシーも同じ感覚を持っていて、サマセットとトレーシーのあいだにある種の共通認識が芽生えていきます。逆に、自分が廃退した街を救うのだと意気込んでいるミルズは、サマセットとはソリがあっていないのですが、それでも2人はジョン・ドゥの犯した連続殺人事件については協力して挑んでいます。

映画は、オープニングクレジットがジョン・ドゥがキリスト教における七つの大罪をベースに連続殺人事件を犯すまでの綿密な計画を映像表現するという異様な演出になっていて、また、エンドクレジットも通常とは逆に上から下にスクロールするようになっていますので、通常では考えられない独特の演出効果は絶大です。

映像は4K/HDR10で収録されています。監督のデヴィッド・フィンチャーが自ら監修をして、マスターである35mmフィルムから8Kスキャンを行い、8Kのままフィルムの埃や傷を取り除き、当時の35mmフィルムで撮影した時には気づかなかった撮影のアラや褪色した色合いをAIも駆使して修復しています。1年がかりで修復した8Kマスターからこのディスクの4Kマスターを作ってますので、35mmフィルムの限界解像度を最大限再現していて、大変クオリティの高い映像になっています。若干フィルムグレインが見える箇所もありますが、ほぼクリアな映像で、高精細な映像を堪能できます。また、この映画は1995年の劇場公開時には一部劇場用上映プリントを「銀残し」とよばれる手法で現像し、独特の色彩表現を施していますが、今回の4K UHD Blu-rayのディスクではその監督の意図した色彩表現をほぼ再現できるように記録していますので、監督の意図した映像がホームシアターで再現できるようになっています。暗いシーンが多いですが黒潰れはなく、また、色彩もどことなくくすんだ感じが意図されていて、作品の雰囲気を見事に作り上げています。

音響はdts-HD MA 5.1chでの収録です。フロント寄りのサラウンドですが、要所要所ではサラウンドチャンネルにも音が回り、全般的に視聴者が映像に没入できるようなサラウンド効果を挙げています。AVアンプのdts Neural:Xモードで視聴すると音場感が頭上にも広がりますので、擬似的にdts:Xっぽい効果が得られ、作品への没入感が高まるようになっています。また、低音の響きも十分にあるため、視聴者に対する不安感を増大させるようになっています。

なお、この4K UHD Blu-rayは、全世界共通版です。日本語字幕や複数の日本語吹き替え音声トラックを収録しており、4K UHD Blu-ray Playerの言語設定を「日本語」にしておけば、メニュー画面から日本語でコントロールすることができます。そのため視聴は日本語字幕の英語音声で視聴できて、楽でした。

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