クワイエット・プレイス:DAY 1(HD/Paramount+/Amazon Prime Video)|Apple TVで観た映画のレビュー

クワイエット・プレイス:DAY 1(HD/Paramount+/Amazon Prime Video)|Apple TVで観た映画のレビュー

No Image 原題 A QUIET PLACE:DAY ONE
レーベル Paramount Pictures Home Entertainment
制作年度 2024年
上映時間 99分
監督 マイケル・サルノスキ
出演 ルピタ・ニョンゴ、ジョセフ・クイン、アレックス・ウルフ
画面 2.39:1/SDR
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
字幕 日本語

あらすじ

ホスピスで終末期を過ごすサム。彼女の唯一の生きがいは飼い猫のフロドだけだった。ホスピスのグループで、ルーベンに促されたサムは自作の詩を朗読するが、それは生きることに対する悪態をついたものだった。

そんなサムに対して、ルーベンはニューヨークのマンハッタンに連れ出そうとする。サムは、前回マンハッタンに行った時が最後の外出だと思っていたので、今回、またマンハッタンに行けることになったのは想定外だった。それほどまでにサムの死期は近付いていた。

マンハッタンで他の終末期の患者と共に人形劇を見たサムだったが、街に異変が起きて、急遽ホスピスに帰ることになる。帰りのバスに乗り込んだサムたちは、街の異変をつぶさに見る。大量の隕石が空から降り注ぎ、そして怪物が物音を聞きつけて人間に襲いかかる、というものであった。

サムたちは建物内に避難するのだが、サムは「ハーレムにあるピザ屋でピザを食べる」と主張してやまなかった。その意見を却下しようとしたルーベンは、物音を立ててしまったために怪物に襲われ、絶命する。

サムは一人、ハーレムのピザ屋に向かって歩き出す。サムの飼い猫フロドは街中を歩き回り、水没した地下鉄の入り口から出てきたエリックという男と出会う。エリックはフロドの後を追って歩き、サムの元に辿り着く。サムはエリックに「街を出るよう」指示するが、サムがハーレムに行くことを知ったエリックは、サムと行動を共にする。

サムが終末期で身体中に痛みが走るので、エリックは薬局から痛み止めの薬を持ってきて、サムに手渡す。そして、二人と一匹はハーレムに向かって歩み出す。

サムたちはハーレムのピザ屋の前にたどり着くのだが、ピザ屋は壊滅していた。ショックを受けるサムだったが、ピザ屋のそばにあるサムの父がよくピアノを弾いていたジャズバーは健在だったので、ジャズバーに入り込んで、二人は親交を交わす。エリックは近くの健在だったピザ屋からピザを持ってきて、サムと一緒に食する。

終末期のサムは、自分の願いが叶えられ、亡き父が演奏していたジャズバーにも来られて、心の解放がはかれた。そして、エリックをマンハッタンから脱出させるべく、意図的に騒音を出して怪物の気を逸らせ、エリックとフロドをマンハッタンから脱出させる。

レビュー

新感覚のホラー映画としてヒットした「クワイエット・プレイス」シリーズの第3弾が、この「クワイエット・プレイス:DAY 1」です。興行収入は全世界で制作費の3.5倍を売り上げており、ヒット作となっています。また、評価も高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は86%、観客評価は72%と高評価を得ています

シリーズ前2作が厄災が起きた後に、主人公一家が怪物に襲われる過程を描いた物語になっているのに対し、この作品は厄災が起きてニューヨークが壊滅し、人々が逃げ出す中、不治の病で死期の近い黒人女性サムが、死ぬ前に自分の生を取り戻したい、と行動をする話になっています。

ホラー映画だった前2作に比べると、実はホラーとか世界の終わり的な展開は存在はしていますが、要素としては薄いです。終末期で死期が近いサムの投げやり的な心の持ちようが、最終的には生きていることへの喜びを噛み締めるという人生の幸せを描いたエピソードになっているのが特徴です。

投げやりな人生を歩んでいたサムに生の喜びを与える役割を持ったのが、途中からサムやフロドと行動を共にするエリックの存在です。。着ている衣装から会社員と推測できるエリックがサムと行動を共にして、サムの心の内を見透かし、サムの心境に変化を与える存在として、大きな役割を果たしています。

その分、物語前半で死亡するルーベンは、サムの投げやりな人生に対して影響を与えることができなかったキャラクターです。ルーベンが死亡し、サムに寄り添うキャラがエリックに変わったことで、サムの心境に変化が生じるのは、面白い展開です。

もう一人、というか一匹なのですが、サムの心境の変化に関わる重要なキャラクターは、猫のフロドです。サムの飼い猫であるフロドが予想外に活躍をして、水没していたエリックを見つけ出し、サムとエリックを近づけるのは、フロドがサムの分身であり、もう一人のサムとして描かれていますからです。だから、最後にはエリックと共にマンハッタンを脱出して生き延びます。

舞台設定上はホラー映画ですので、怪物が人々に襲いかかる恐怖というのは描かれていますが、物語の本質ではありませんので重要ではありません。厄災の発端を描いた物語ですので怪物は暴れまくりますが、それでもサムやエリックに対する脅威としてはあまり強く描写されていません。

映像はHD/SDRで収録されているようです。Amazon Prime Videoの表示だとUHD/HDR10+で提供という表記はありますが、視聴している限りではHD画質に落ち着いているようです。解像度に不満はないのですが、転送ビットレートがあまり高くないのか、時折画像が破綻している部分もあります。色彩効果もHDR10+ならでは、という表現に乏しく、SDR的な表現に終始しているように見えます。ただ、暗いシーンでのキャラクターの描き分けは結構微妙なニュアンスを出していると言えます。

音響はDOLBY DIGITAL 5.1chです。4K UHD Blu-rayやAppleのデジタル配信ではDOLBY ATMOSで収録されていますが、Paramount+/Amazon Prime Videoでの配信だと5.1chが限度です。しかし、5.1chのサラウンド感は素晴らしいものがあり、自分が映画の中に没入した感覚を覚えます。サラウンドチャンネルを積極的に使っていますので、DOLBY ATMOSで配信されていたならば、その効果は絶大だっただろうと推測できます。重低音もかなり強力に出力されていますので、恐怖感を煽られること請け合いです。

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