ブラックホーク・ダウン(HD/Netflix)
No Image | 原題 | BLACK HAWK DOWN |
レーベル | SONY PICTURES HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2001年 | |
上演時間 | 144分 | |
監督 | リドリー・スコット | |
出演 | ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモア | |
画面 | 2.40:1/SDR | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
1992年のソマリアは、いくつかの部族で激しい争いが起こり、その結果国内の国民に飢餓が広がる。特にアイディード将軍率いる部族は、主導権を握っていた。争いが起きてから数ヶ月も経過してから、国連軍が紛争鎮静化に取り組み、アメリカ軍もそれに参加する。一旦は争いが収まるのだが、国連軍が引き上げると、再び内戦は激化していた。1993年になって、アメリカ軍はアイディード将軍配下の部下を拉致して、アイディード将軍の民兵の勢力を削ごうと作戦を実行する。その作戦はほんの30分から1時間で終わるはずの作戦だった。しかし、作戦途中で民兵の攻撃を受け、アメリカ軍のヘリコプター、ブラックホークが墜落し、搭乗していた兵士がアイディード将軍配下の民兵に取り囲まれる。また、地上でアイディード将軍配下の部下を拉致する予定だった兵士も、民兵の予想外の攻撃を受け、前に進むも退却するもできなくなった。戦場に取り残された兵士たちは、決死の戦いを強いられるのだが、仲間が次々に負傷してしまい、身動きが取れなくなった。あまりの事態に作戦本部はパキスタンに駐留する国連軍の応援を依頼する。
レビュー
1993年のソマリアで実際に起きたアメリカ軍とアイディード将軍の民兵との戦いを、映像の鬼才、リドリー・スコットが原作本を元に映像化したのが、この「ブラックホーク・ダウン」です。この映画は製作費を興行収入が上回る成果を出していますが、決して大ヒットというわけではなく、製作費を少しだけ上回っている状態になっています。また、Rotten Tomatoesの映画評論家の評価は76%とそこそこの成績を残していて、観客評価の88%と合わせると、成功した映画の一つであると言ってもいいのではないかと思います。
実話の映画化ということですが、映画はソマリア内戦の様子と、それに関与したアメリカ軍がソマリアの民兵とやむなく戦いを強いられ、負傷者を多数出してしまうという、アメリカ軍が負けたような展開の話に、衝撃を受けるところであります。世界の紛争にアメリカ軍は参戦をしますが、ベトナム戦争以降、アメリカ軍がすっきり勝つという紛争は少なくて、さらに紛争地を混乱させていくという展開が多いような気がします。もちろん、アメリカ軍の負傷者も多数出ますが、それ以上にソマリアの民兵の犠牲者が多いので、他人事ではない話に見えてきます。
元々ソマリアの内戦を抑えるために、頭一つ抜き出たアイディード将軍率いる民兵の幹部を拉致して、勢力を削ぐ、という予定で作戦実行をしていたアメリカ軍ですが、民兵の力が予想以上に強く、アメリカ軍のヘリコプター、ブラックホークが2機も撃墜させられ、その搭乗者を救助しなければ、という使命感から泥沼の戦いに陥っていく様が、克明に描かれているのが特徴です。
作戦本部と現場とのやりとりも現場の困難さを作戦本部にはうまく伝わらず、現場がますます危機に陥っていく様が描かれていますが、現場では犠牲者が増え続け、アメリカ軍の負けを予想させるかのような展開には、リアルさを感じさせます。作戦本部も最終的にはパキスタンの国連軍に救援を依頼しますが、それがもっと早かったら、犠牲者も抑えられたのではないかと思わせるところがあります。
アメリカ軍の兵士たちのキャラの描写は、当たり障りのない描き方で、途中から誰が誰なのかわからなくなっている弱点はあります。その為、アメリカ軍の危機感が強く伝わってこない箇所もあります。それでもアイディード将軍配下の民兵たちが、次から次へと途切れることなくアメリカ軍を攻撃してくるので、その分の恐怖感は相当ストーリーに現れていると思います。
画質はHD画質でSDRでありますが、解像度は比較的良好な映像を届けてくれます。ただ、ドキュメンタリー調にしたかったのか、色調は意図的に偏った色合いを放っていて、それが緊迫感を強くしている感はあります。SDRなので色の輝きは抑えられていて、また黒つぶれは結構ありますが、その分ドラマからの脱却を目指した感じはします。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chですが、戦闘シーンやブラックホークの飛行シーンなどで終始音が視聴者を取り囲むかのようなサラウンドが演出され、リアルな演出になっていると思います。リドリー・スコットにしては「プライベート・ライアン」に影響を受けたかのような映像と音響に驚くところがあります。
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