佐野元春 & ザ・コヨーテバンド 佐野元春30周年アニバーサリー・ツアー・パート2
全国クラブ・サーキット・ツアー「ソウル・ボーイへの伝言」
横浜BLITZ
2010年12月14日
10月の渋谷の初日公演からはや2ヶ月、全国を回っていた佐野元春とコヨーテバンドは最終公演である、横浜BLITZにやってきた。ツアー最終日ということと、横浜という佐野元春デビューの地でのライブということで何かサプライズがあるのではないかと、思われた。
会場である横浜BLITZはみなとみらい線の新高島駅から歩いて1分という立地のよいところにある。GENTO横浜というアミューズメント施設の一角に位置していて、収容人数はスタンディングで1000人規模を誇るという。通常、平日に佐野元春のライブがあるときは、会社を有給休暇をとって休み、行くのが常であったが、今回は定時に上がれば十分間に合うという判断から、会社帰りに行くことにした。横浜BLITZに着いたのは、6時16分ぐらいのことで、既に入場が始まっていた。僕の整理番号は150番台と早かったのだが、既に500番台ぐらいまで入場は始まっているようだった。
荷物があったので、初めてコインロッカーを使用して荷物を収納し、ドリンクを受け取りにいく。これまでこういうライブハウスのときは、持病持ちなので、アルコールによる副作用を恐れて、ソフトドリンクを購入していたのであるが、今回は、仕事疲れの解消と、ライブを陽気に楽しみたいという動機から、初めてビールを注文した。購入したビールは量も少なく、あっという間に飲んでしまい、なかなかうまかった。多分Asahi Super Dryだと思う。
ビールを飲んで会場内に入ると、前のほうはもう既に満杯で、ステージが見えない感じだったので、ミキサーのある段のついた場所に位置取り、開演を待った。最初何か違和感があるなと思ったら、場内SEが流れていなくて、18時30分ぐらいになって流れ出した。会場内は平日だから、スーツ姿のサラリーマンが多いのかと思いきや、皆私服でちょっと驚いていた。ステージ前で、「撮影禁止」の札を持って歩き回っているスタッフを見て、なんだかおかしくなった。そういえばツアー最終日だからビデオクルーが入っているのかなと思ったが、ステージ袖のハンディカメラしか見つけられなかった。
19時を回って少ししてから、ステージ上方に設置されたスクリーンに映像が流れ出した。前回の渋谷と同じく、WOWOWスペシャルドラマ「コヨーテ、海へ」のプロモーション映像である。このドラマを見るために、実はWOWOWに加入してしまったので、今から期待はしている。この映像が終わったあと、バンドメンバーが登場してきて、演奏が始まった。ごりごりのロックサウンド言った感じで前奏が続き、ようやく佐野元春が登場して、ライブ本編が始まった。
本編
- 星の下 路の上
- 荒地の何処かで
- 気味が気高い孤独なら
- Us
- 夜空の果てまで
- 世界は誰の為に
- ジュジュ
- 月と専制君主
- レインガール
- 僕は大人になった
- 約束の橋
- ヤングブラッズ
- サムデイ
- ダウンタウンボーイ
バンドのメンバーは、ギター・深沼元昭、ドラム・小松シゲル、ベース・高桑圭、キーボード・渡辺シュンスケという構成である。
渋谷のときと同じく本編前半は「COYOTE」からの曲が続く。しかし、渋谷のときと違って、よりロックに、よりポップにされているような気がした。キーボードの渡辺シュンスケの奏でる音色がその効果を発揮しているような感じである。また、深沼元昭のディストーション風のギターもそういう雰囲気を醸し出しているのかもしれない。「荒れ地の何処かで」の後はMCがあった。「今夜はツアー最終日、この良き日に皆さんに会えたことをうれしく思います。」と話していた。
「夜空の果てまで」のときに歌詞を完全に間違えていたようで、1番と2番のバースをひっくり返して歌っていたようだが、その歌い方が完璧に自信を持って歌っていたので、聞いているこちらも安心して聞くことが出来た。「世界は誰の為に」の後にMCがあり、セルフカバーアルバムが完成したことを告げる。タイトルは「月と専制君主」であり、「新作を作るつもりで作りました。僕の過去の曲を今の声、アレンジで歌い直しました。よかったら聞いてください」と話し、「ジュジュ」、「月と専制君主」、「レインガール」が歌われた。「ジュジュ」はオリジナルから比べると、ポップ色が強く、一時期アコースティックで歌われていたころのことを考えると、意外に感じる。「月と専制君主」は結構複雑なアレンジをしているのであるが、ツアーを通じて佐野元春もなれてきたようで、いいアレンジだなと思っていた。「レインガール」は「20th Anniversary Tour」のときと同じようなスローなアレンジで、気に入ってしまう。
「レインガール」が演奏された後、「僕は大人になった」のイントロで、「このザ・コヨーテバンドで過去の曲も演奏してみたいと思います。」と告げ、バンドのメンバー紹介をした後、歌が始まった。ここからは元春クラシックスの演奏だが、いい具合に成熟を重ねた演奏をしていたと思う。「ヤングブラッズ」の演奏後、MCが入り、「僕は横浜でデビューをしました。初めてのホールコンサートは横浜のもみじ坂でその後何回も横浜で演奏してきました。今日来てくれた方の中には、そのころからのファンも居るかもしれない。そのころから何回も演奏してきた曲を歌います。よかったら一緒に歌ってください。」と話をして、「サムデイ」が演奏された。前回の渋谷がアンコール扱いだったことを考えると、ランニング・オーダーが変わっているのだな、と思った。「ダウンタウンボーイ」で、本編のライブは終了。怒涛の演奏だったと思う。
アンコール1
- ヤァ!ソウルボーイ
- ヤング・フォーエバー
アンコールの拍手の仲、スタッフたちは、暗闇の舞台の中、なにやらセッティングをしている様子。しばらくして照明が点灯すると、佐野元春と深沼元昭の二人が舞台に登場してきて、「90年代の曲をやります。」といって、「ヤァ!ソウルボーイ」と「ヤング・フォーエバー」をアコースティック・ギターで演奏した。この2曲がすばらしかった。「ヤァ!ソウルボーイ」はなんか演奏をミスったかのような感じもあったのだが、大事に至らず、無事演奏を続けた。
アンコール2
- クリスマス・タイム・イン・ブルー
- アンジェリーナ
再び舞台は暗くなって、スタッフたちは再度舞台をセッティングしなおしている。照明が点いてバンドメンバーが登場し、佐野元春のMCがあった。「街にはクリスマスのイルミネーションが飾られている。僕は、クリスマスの歌を書いた。もし知っている人が居たら一緒に歌おう。」と言って、「クリスマス・タイム・イン・ブルー」を演奏した。ここでサプライズがあり、舞台上方のダクトから、雪が降ってきたのである。その雰囲気作りに感動してしまった。やはり横浜でツアーファイナルだと何かがあるといったところである。曲の後半では、バンドメンバーのソロパートがあり、これもご機嫌な演奏で心地よさを演出していた。その後、佐野元春の「まだ踊り足りない?」との発言から「アンジェリーナ」が演奏され、会場のボルテージはヒートアップした。演奏が終わっても観客は盛り上がったままだった。佐野元春がしゃべり始め、「これからも新しい曲を作って、皆さんの元にやってくるよ。」と話していた。それでも会場の盛り上がりは収まらない。佐野元春は「なんかステージから去りたくないんだ。」と話し、バンドメンバーと相談の上「このバンドは新しいバンドだからレパートリーがないんだ。リプリーズでもいい?」と話し、今回のライブ2回目のサプライズ、3回目のアンコールが始まった。
アンコール3
- 僕は大人になった
何故「僕は大人になった」がアンコールに選ばれたのか、いろいろ考えてしまうが、大盛り上がりの会場も、このサプライズアンコールで満足したようだった。終演時間は8時55分。約2時間のライブを駆け抜けたと言う印象だった。佐野元春の初期に持っていた荒々しいロックが蘇ったかのようなツアーだったと思う。
コメント