クレイジー・リッチ!(4K UHD/iTunes Movies)/Apple TVで観た映画のレビュー

クレイジー・リッチ!(4K UHD/iTunes Movies)

No Image 原題 CRAZY RICH ASIANS
レーベル WARNER BROS. HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2018年
上演時間 121分
監督 ジョン・M.チュウ
出演 コンスタンス・ウー、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ヨー
画面 2.40:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
字幕 日本語

あらすじ

 ニューヨーク大学で経済学を教えている中国系アメリカ人の女性、レイチェル・チュウは、同じく中国系の男性ニック・ヤンと交際していた。ある時、ニックは実家のあるシンガポールに帰ることになった。親友のコリン・クーが結婚するので、そのお祝いに駆けつけるためだった。そのニックの帰国に合わせ、ニックはレイチェルもシンガポールに連れていくことにする。自分の家族にレイチェルを紹介したいためである。レイチェルはその話に同意するものの、ニックの家族について何も知らず、不安を抱えていた。シンガポールに着いたニックとレイチェルは、ニックの家族から歓迎を受ける。実はニックの家族は資産家であり、母のエレノアはかつてイギリスの会員制高級ホテルを買い取った経緯があるぐらいだった。レイチェルは戸惑いながらもニックの家族に接していくが、エレノアはレイチェルの家族を調査し、自分の息子に相応しい女性であるかを調べていた。そうこうするうちに、コリンの結婚式は近づき、レイチェルはニックの友達や家族と交流を深めていく。そこでレイチェルの助けになったのが、ニューヨークで友達だったペクだった。

レビュー

 ハリウッド映画には珍しく、登場人物の大半がアジア人、とりわけ華僑系の人々で締められたラブロマンス映画が、この「クレイジー・リッチ!」です。ケヴィン・クワンの世界的ベストセラー小説「クレイジー・リッチ・アジアンズ」を実写映画化したのがこの「クレイジー・リッチ!」であり、ハリウッドの映画としてはメガヒットを記録し、またRotten Tomatoesの批評家評価は91%と高い評価を得ています。観客評価は水準並みに落ち着いているのが、温度差はあるなと感じるところでありますが。

 この映画が特徴的なのは、前述のように登場人物の大半がアジア人、あえて書けば華僑系中国人を占めているという点ではないかと思います。これまでハリウッド映画は黒人や女性蔑視をしないように様々な黒人映画や女性映画を制作してきましたが、アメリカに移民をしたアジア人を主人公にした映画はほとんどなく、アジア人の活躍する映画といえば、ブルース・リーが出演した「燃えよドラゴン」ぐらいしか思い浮かばないくらい、アジア人蔑視の風潮が漂っていました。それが、アジア人が主役を務める映画を制作し、大ヒットを記録したことで、アジア人というマーケットがあることを改めて認識させられた映画であるというのが、ポイントであると思います。

 物語は、ニューヨーク大学で経済学の講師をしているレイチェル・チュウが、交際しているニック・ヤンとともにニックの故郷であるシンガポールに渡り、ニックの家族と接することで自分の立ち位置を改めて認識していくという物語になっています。ラブロマンス映画ではあるのですが、ニックの家族がレイチェルと接し、彼女の経歴を調査しているところなどは、華僑系中国人の家族の絆の強さを改めて認識させられる結果になっています。

 ニックの母であるエレノアは、レイチェルがニックにふさわしい女性であるかどうかを調査し、彼女がそうではないと決めつけるところが厳しい展開ではありますが、レイチェルが実の母と再会し、彼女とともにエレノアに対して麻雀で自分の意思を語るところは、見どころの一つであると言えるでしょう。そして、ニックが母の意見に従わず、レイチェルに対して変わらぬ愛を誓い合っているところなどは、物語の展開がハラハラさせられる中、筋が通っているといえます。

 ニックの親友であるコリンの結婚式の前に様々なパーティや、ニックの家族の食事のシーンなどがありますが、そのシーンで家族の絆の強さが白人とは違うアジア人特有の家柄を重視する風潮をよく表していると思います。たとえ当人たちが愛し合っていても、家柄がよくなければ結婚できないという思想は、日本でも昔はあった風潮ですし、白人には理解できない事柄であると思います。そういった部分を描いているところも、この映画の特徴になっていると思います。

 映像は4KでHDR10およびDOLBY VISIONで収録されています。ソースフォーマットは4Kで撮影されましたが、マスターフォーマットは2Kに落とし込まれていますので、アップスケールの4K映像になっています。2Kのアップスケール4Kではあるものの、解像度に不満を感じるところはなく、HDR10によるシンガポールの風景やパーティのシーンなどで、カラフルな色彩が様々に使われており、映像の魅力を感じるところであります。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chでミックスされています。劇場公開時にはDOLBY SURROUND 7.1chで公開されたこともあり、サラウンドはかなり効果的に使われています。EXOFIELD THEATERのDOLBY SURROUNDモードで鑑賞すると、擬似的に頭上に音が拡散する効果も得られ、ドラマにしては多彩なサラウンドを堪能することができます。

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