ザ・フォーリナー/復讐者(HD/Netflix)/Apple TVで観た映画のレビュー

ザ・フォーリナー/復讐者(HD/Netflix)

No Image 原題 THE FOREIGNER
レーベル STX ENTERTAINMENT
制作年度 2017年
上演時間 110分
監督 マーティン・キャンベル
出演 ジャッキー・チェン、ピアース・ブロスナン、オーラ・ブラディ
画面 2.40:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
字幕 日本語

あらすじ

 イギリスに住む中国人のクワンは、娘を学校で拾い、衣服店に連れていく。しかし、銀行をテロで爆破したテロリストの惨劇に遭遇し、娘を失ってしまう。クワンは復讐を誓い、イギリスの警察や元テロリストで現副首相のリアムに対し、犯人の名前を言うようしつこく迫る。しかし、警察もリアムも犯人を探している最中で、クワンに情報を教えられなかった。クワンは、かつて在籍していたアメリカの特殊部隊の経験を生かし、リアムの部下に対して攻撃を開始し、犯人をこの手で始末しようと行動を開始する。その行動に対してリアムたちはクワンを始末しようとするが、クワンを仕留めることはできなかった。そうこうするうちに、リアムは事件の真相に迫り、仲間たちの跳ねっ返りの行動を知ることになる。そして、銀行以外にもテロを起こそうとしていることを知る。その情報をクワンも知ることになり、クワンの復讐に拍車がかかる。

レビュー

 アクションスターとしてハリウッドでも活躍するジャッキー・チェンを主役に備え、原作であるスティーヴン・レザーの「チャイナマン」を映画化し、娘をテロで失った父親がテロに対して復讐を誓うアクションスリラーが、この「ザ・フォーリナー/復讐者」です。興行収入は僅かに製作費を下回り、失敗作とみなされていますが、批評家、観客の評価はそんなに悪くなく、内容としてはそれなりの出来になっています。

 久しぶりにジャッキー・チェン主演の映画を見ましたが、ジャッキー・チェンの老いた姿にかなり驚きます。ジャッキーの歳を考えれば当然ですが、彼が60歳代という設定にかなりインパクトを与えます。そんな歳のジャッキー扮するクワンが、テロによって死亡した娘の復讐に立ち上がる姿に、「アクションができるのか?」という疑問すら感じてしまいます。しかし、シーンは少ないものの、アクションシーンはいつものジャッキーなので、安心して見ることができます。

 とはいうものの、ジャッキー映画でお約束のコメディタッチのアクションではなく、本格的マーシャル・アーツでの格闘シーンなので、笑いを取れるようなシーンはありません。ジャッキー映画にしては珍しくシリアスな展開の話になっています。ジャッキー扮するクワンが戦うたびに負傷し、それを自身で治療する姿を見て、いつものジャッキー映画とは違う、という印象を与えてくれます。

 主人公はクワンなのですが、元テロリストで現副首相であるリアムの方にもスポットライトが当たっていて、もう一人の主人公と言ってもいいかと思います。かつてはアイルランドの独立を目指してテロ行為を行なっていたリアムですが、今はその思いを伏せてイギリスの副首相として活躍しています。そんなリアムにとっては、今回のテロ行為は自身の立ち位置を危うくするものであり、望まない行為であるといえます。リアムもテロの首謀者を探し始めますが、クワンの活動の方が優っているために、一足遅れての行動になってしまいます。

 話がアイルランドのテロの話なので、イギリスとアイルランドの関係をよく知らないと、話が複雑に感じるところもあります。アイルランドの流血事件も引き合いに出されていて、イギリスとアイルランドの複雑な関係が物語に見え隠れしています。クワンはそれに関係なく自分の娘を殺したテロ実行犯を探して行動をするのですが、イギリスとアイルランドの関係を知っていると、より物語に深く入り込めると思います。

 物語後半に行くに連れ、クワンの行動が法律違反になり、イギリス警察のターゲットになっていくようになりますが、それをクワンがどうかわしていくのかが、物語のラストに繋がっているといえます。イギリス警察もテロを未然に防ぐという行動を起こしていて、それを実行するところにクライマックスの面白さがあり、クワンの私的制裁が成就するきっかけになります。ラストは深い余韻を与えるものになっています。

 画質はHD画質でSDRでありますが、解像度は比較的良好な映像を届けてくれます。また、色合いもイギリスやアイルランドの陰鬱な空気感を直に伝えるものになっていて、リアリティがあります。流石にHDRではないので、ものすごいカラフルな色調というわけでもないですが、色乗りはしっかり出ていると思います。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chですが、意外とイマーシヴな音響効果を発揮しているところです。音響が視聴者を包み込むようなサラウンドを提供していて、音響効果だけでも映画の面白さを発揮しているといえます。

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