BLADE RUNNER:THE FINAL CUT(Blu-ray)/ブレードランナー ファイナル・カット/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

BLADE RUNNER:THE FINAL CUT(Blu-ray)

BLADE RUNNER THE FINAL CUT Blu-rayジャケット 邦題 ブレードランナー ファイナル・カット
レーベル WARNER HOME VIDEO
制作年度 1982年/2007年
上演時間 117分
監督 リドリー・スコット
出演 ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング
画面 2.40:1/アナモルフィック
音声 Dolby TrueHD 5.1ch 英語
DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語
字幕 日本語、英語、フランス語、スペイン語、中国語、韓国語、ポルトガル語

あらすじ

2019年のロサンジェルス。人類はレプリカントと呼ばれる人造人間を作り出していた。人類はそれを重労働に使用していたが、ある時最新型のネクサス6型レプリカントが反乱を起こし地球に潜り込んできた。それを抹殺するためにブレードランナーが召集される。しかし最初に召集されたホールデンはレプリカントのリオンにやられてしまい、リタイアしたデッカードに指名がかかる。嫌々ながら事件を引き継いだデッカードはレプリカントの生みの親であるタイレルに会いに行くが、そこで自身がレプリカントとは知らないレイチェルという美しい女性と出会う。次第にひかれ合っていく二人だが、デッカードのレプリカント抹殺は困難を極めた。

レビュー

1982年の劇場公開時には話題にならずに興行的にも失敗という結果に終わりましたが、その後ホームビデオの発達と共にその作品のディテールの細かさが次第にマニアの間で話題になり、ビデオカセット、レーザーディスク、DVDと新しいメディアが登場するたびにその人気を高めていったカルト的な映画がこの「ブレード・ランナー」です。今回は劇場公開25周年を記念して、監督のリドリー・スコット自らが1982年当時の特撮の粗や、シーン的に矛盾している箇所、スタントで代用してしまったシーンの役者本人への演技の差し替えなどを行い、フィルムのクリーンナップとサウンドのリマスターを施した決定版となっています。

この「ブレード・ランナー」はいくつものバージョンがあることで有名で、この「ファイナル・カット」では、劇場公開版と異なり、主人公デッカードのモノローグがなくなっているのと、途中でユニコーンの夢のシーンが差し込まれていること、ラストの森林の逃走シーンをなくした「ディレクターズ・カット」を元にしています。監督のリドリー・スコットが監修をしたことで、決定版となっています。

それだけ色々なバージョンのあるこの「ブレード・ランナー」ですが、基本のメッセージは変わっていないと思います。それは多方面でもすでに色々書かれていますが、「人間とは一体なんなのか?」という考えても答えのでない問題に対して正面から取り組んだ作品だということです。それはこの映画の原作となったフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」でも提起されている問題でもあります。

物語中で描かれる人造人間のレプリカントは、人間をはるかに凌ぐ能力を所有していて、年数を得ることにより感情も芽生えてくるという設定になっています。その感情により暴走するのを止めるために生命の有効期限が4年と設定されていますが、物語で登場するバティーやプリス、リオンといったレプリカントは、次第に自分の生命の寿命を感じ取り、「死にたくない」という感情を持つことになります。そして家族を考えることで精神の安定を保とうとします。これは人間と全く同様の行動であり、人間とどこが違うのかという命題を持つことになります。

そしてそのレプリカントを抹殺する使命を負ったデッカードですが、彼も人間としては温かみに欠ける人物ではあります。もっとも「ディレクターズ・カット版」以降の作品ではリドリー・スコット監督自らが「デッカードもレプリカントだった」と説明していますので、温かみに欠ける人物だとしても納得の説明がつきます。

デッカードがレプリカントだという根拠はあるシーンの途中でデッカードの目が一瞬赤く光るということと、ユニコーンの夢を見るということにより説明されています。物語ラストでガフが残していった折り紙がユニコーンということから、デッカードの正体を暗示しているというのがその根拠ですが、デッカードがレプリカントだという場合、彼が抹殺対象にならなかったのは何故なのかという疑問も残ります。デッカードがレイチェルと同じく試作品という可能性もありますが。

一方でこの作品はデッカードとレイチェルのラブ・ストーリーという展開もあります。どちらも温かみに欠ける人物ですが、その二人が次第にひかれ合っていく様は、見ていてちょっと不思議な気もします。中盤のデッカードのレイチェルに対する半ば暴力的な求愛は、デッカードという人物と、レイチェルというレプリカントの反応を見る際にも関心をもたせるエピソードでもあります。

映像は2007年というBlu-rayとしては割合初期の時期の登場ですが、マスター自体をいじっているために意外と鮮明で、メリハリが付いていると思います。もともと細部に拘った作品ですので、家庭用メディアで再見するたびに再発見のある作品ではありますが、その細部がBlu-rayの高精細の映像でよく分かるというようになっています。音響はDolby TrueHD 5.1chをストレートデコードで視聴しましたが、この「ファイナル・カット」の為にリマスターをしているために、1982年の映画とは思えないワイドレンジの音響をしています。そしてサラウンドをかなり積極的に回していて、リアリティを感じさせる音場を創りだすのに成功しています。

なお、このBlu-ray、5枚組のディスクで他のバージョンも収録されているという豪華版ですが、「ファイナル・カット」だけは日本語字幕収録というちょっとだけ変わった仕様になっています。

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