CARRIE(Blu-ray/2013)/キャリー/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

CARRIE(Blu-ray/2013)

No Image 邦題 キャリー
レーベル 20th CENTURY FOX HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2013年
上演時間 100分
監督 キンバリー・ピアース
出演 クロエ・グレース・モレッツ、ジュリー・グリア
ジュリアン・ムーア
画面 2.35:1/アナモルフィック
音声 dts-HD MA 5.1ch 英語
DOLBY DIGITAL 5.1ch フランス語、スペイン語
字幕 英語、スペイン語

あらすじ

キリスト教の狂信的なマーガレットに育てられたキャリーは、学校でもいじめられていた。ある日シャワーを浴びていたキャリーは初潮を迎えてしまうが、その知識がないためにクラスメイトに馬鹿にされ、その様子をビデオに撮られてネット上にアップされてしまう。教師のデジャルダンは首謀者であるクリスらを罰したが、クリスは反発しそのために高校最後のパーティーであるプロムへの参加を拒絶されてしまう。キャリーがいじめられていることに心痛めたクラスメートのスーは、自分のボーイフレンドであるトミーにキャリーをプロムに誘うようお願いする。一方クリスはキャリーを更にいじめようと、プロムにある仕掛けを行う。初潮とともに超常能力を獲得したキャリーはマーガレットとの確執の上にプロムに出席することになるのだが、そこにクリスの過酷ないじめが待っていた。

レビュー

ブライアン・デ・パルマが監督してヒットを記録した「キャリー」のリメイク版、と言うよりは原作者のスティーヴン・キングのデビュー作であり、スマッシュヒットを記録した小説の2回目の映画化が、この「キャリー」であります。スマッシュヒットした映画ではありますが、期待されたほどではないと言うのが感想です。

原作やブライアン・デ・パルマ版と大きく違うのは、主役のキャリーを演じている女優であるクロエ・グレース・モレッツが、美少女であるということでしょうか。確か原作では垢抜けない少女がプロムで見違えるように美女になるという展開だったように思いますが、今回クロエ・グレース・モレッツがキャリーを演じていることで、最初から美少女というちょっと違った印象を受けることになります。

もちろん、垢抜けないいじめられている時のキャリーをクロエ・グレース・モレッツが演じている時は、猫背で、何かを恐れている様な仕草を演じていて、確かにあまり美少女ぶりを見せないという雰囲気はよく出ていると思います。これは彼女の演技力の高さを物語っているのではないかと思います。それでも、やっぱりいじめられる孤独な少女という設定が削がれている感はあります。

その一方でキャリーの母を演じたジュリアン・ムーアの気違いぶりはかなりきていると思います。この母ならキャリーがいじめられる様な境遇に置かれているのも間違いはないと思います。物語自体がいくつかのパートに別れていると思うのですが、キャリーと母マーガレットとの依存と確執というのが物語のテーマではないかと思うので、その辺はよく現れているかと思います。

キャリーをいじめるクリスとその友達の関係もなかなか面白いと思います。この作品自体が学園ホラーというジャンルになると思うのですが、アメリカの学生時代は日本以上にいじめが過酷と聞いたことがあります。その辺の様子がよく現れているのではないかと思います。初潮を迎えたキャリーが混乱する様子をスマートフォンで撮影し、YouTubeにアップロードしてしまう様は、現代的にアレンジされているなと思いました。これは結構陰湿ないじめであると思います。

そうした中、キャリーは超能力に目覚めていくのですが、彼女の不幸なところはその能力を完全にはコントロール出来ない、というところだろうと思います。物語中盤からキャリーの超能力が次第に発揮されていくのですが、彼女自身が自分に自信がないために、その能力を完全に把握出来ていないという点が、クライマックスの不幸を導いてしまうことになります。

キャリーがいじめられていることに心痛めるクラスメートのスーが、ボーイフレンドに「キャリーをプロムに誘ってほしい」と頼むシーンは、ちょっとスーのキャラが立っていないために、何となく唐突な感じを受けます。また、ボーイフレンドであるトミーもキャリーに相応しいキャラであるとは思えないので、彼女をプロムに誘うというシーン自体が、ちょっと無理がある様な気がします。そのトミーもプロムでの悲劇であっけなく最後を迎えてしまうので、あまり重要なキャラではないかなと思います。

プロムでの悲劇の後、超能力の制御を失ったキャリーは、その力をフルに発揮してしまい、大惨事を起こしてしまいますが、これはさすがに現代のSFX効果が威力を発揮して、なかなか見応えあると思います。ただ、キャリーをいじめ抜くクリスもキャリーにやり返されるのですが、そのシーンはちょっと物足りない感じがします。もう少し残虐なシーンである方がキャリーのいじめに対する報復という超能力の発揮が、魅力を放っているように思います。

ラストは劇場公開版とBlu-ray特典である別バージョンのシーンの両方見ましたが、劇場公開版は、ブライアン・デ・パルマ版をなぞった様なエンディングであると思います。別バージョンのエンディングはまた雰囲気が違い、スーが関係するラストになっていて、こちらの方がリアルに感じますが、多分こちらの別バージョンは試写会で不評だったものと思われるので、結局は劇場公開版で採択されたものと思います。

映像はごく普通の画質であると思います。高解像度という感じもないですが、色調はまともですし、いい感じに映像が提供されているとは思います。ただ、豚の血のシーンは、何か作り物という感触を受けました。音響は結構サラウンドとサブウーハーを活用しているサウンドです。観客を驚かせる重低音と、サラウンドがいい感じに鳴っていて、魅力を放つています。

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