CHICAGO/シカゴ/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

CHICAGO

CHICAGO DVDジャケット 邦題 シカゴ
レーベル MIRAMAX HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2002年
上演時間 113分
監督 ロブ・マーシャル
出演 レニー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、リチャード・ギア
画面 1.85:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語 / DTS 5.1ch 英語
字幕 英語、スペイン語

あらすじ

 ダンサーを夢見るロキシーは、とある男と不倫までしながらコネを作ろうとしたが、男になじられ、相手を殺してしまう。殺人犯として囚人になったロキシーは、どんな犯罪者でも無罪にするという弁護士のビリー・フリンに弁護を依頼、裁判を通じて自分を有名人に仕立て上げていこうとする。

レビュー

 2002 年度のアカデミー賞 6 部門を制覇したのがこのミュージカル作品、「シカゴ」です。ミュージカル舞台版の映画化ということで、かなり趣向を凝らした作品作りになっています。

 ミュージカルの映画というと、大抵は物語のストーリーと、ミュージカル部分が分離しがちな面があり、舞台版に比べると物語への感情移入度が低くなりがちですが、この作品に関していうと、編集の巧みさと、ストーリーの組み立てがうまい為、物語にわりかし入り込みやすくなっているのではないかと思います。特にミュージカルシーンが唐突に出てくるのではなく、主人公の心の心情部分をミュージカルにしたり、裁判シーンをミュージカル仕立てにしたりといった点にそういった側面を見る事ができるような気がします。

 ストーリー自体は、有名人になりたい主人公が、己の殺人事件自体を利用して有名になっていくというもので、それにキャサリン・ゼタ・ジョーンズ扮するベルマ(こちらも妹殺しをしている)が絡んでくるというもので、よく考えると女の醜い欲望がぎらぎら渦巻いたストーリーなのですが、男のこの手の犯罪物と違ってミュージカルコメディ仕立てにしたためか、いやらしい感じがしません。人間の欲望がぎらぎらしたものは観ていて時々頭が痛くなるくらいですが、これは楽しく見る事ができます。

 物語の途中、よくリチャード・ギア扮するビリーが「それがシカゴだ」と言っていますが、この作品を観ている限り、シカゴでは、己の欲望が強ければ、黒でも白になるというような感じがします。そういった意味でも女の欲望がぎらぎらしているというのは当然のことなのでしょう。また、これはシカゴに限らないのでしょうが、センセーショナルなことがあれば、マスコミは何にでも飛びつく、といった風刺にもつながっているようにも思います。クライマックスで、ロキシーが無罪となったと同時に別の殺人事件が発生するとそちらにマスコミが飛びつくといったところなどは、まさに「それがシカゴだ」といいたくもなります。(それまでは散々ロキシーのことを話題にしていたのにもかかわらずですよ。)

 出演者のミュージカル部分の演技は見事なものです。実のところこのシーンをぼーっと観ているだけでも楽しいです。音楽も秀逸で楽しいですし、出演者自らが踊り、歌うというのは、ハリウッドの俳優・女優陣の底力を見せ付けられる思いです。普通の俳優・女優ではここまで見事な踊りや歌を披露することは難しいでしょう。実際演技が確かな人でも音痴な人はいるのでしょうし、踊れない人も多いと思います。そういった意味では主人公三人は、すばらしい、の一言につきます。(余談ですが、俳優のジョージ・クルーニーは、あまりに音痴だったので「オー・ブラザー」で歌を歌うシーン、すべて吹替えられてしまったという逸話もあるくらいですから、すべての俳優が歌って踊れるわけではないですね。)

 映像はミュージカルシーンを中心にとても華やかな映像表現をしております。とてもカラフルな印象の強い映像です。サウンドは、DTS で鑑賞しましたが、音楽自体を全チャンネルに割り振っている為、劇場で観ているような感覚に襲われます。つまりホールトーンが再現されているわけです。音響だけでも聴き応えがあると思います。

 そういえば近年観たミュージカル映画というと、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を思い出しますが、これも主人公の空想の世界をミュージカルシーンにしていてうまい作りだなと思ったことがあります。(ただし、この作品、現実世界の映像がずっと手ぶれ映像なのでめまいを起こしてしまい、とても嫌いな映画なのですが。) この「シカゴ」もある種似たような手法を使っているかな、と観ながら思っていました。

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