QUENTIN TARANTINO’S DEATH PROOF/デス・プルーフ in グラインドハウス/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

QUENTIN TARANTINO’S DEATH PROOF

DEATH PROOF DVDジャケット 邦題 デス・プルーフ in グラインドハウス
レーベル genius products
制作年度 2007年
上演時間 113分
監督 クエンティン・タランティーノ
出演 カート・ラッセル、ロザリオ・ドーソン、ジョーダン・ラッド
画面 2.35:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語、イタリア語、スペイン語
字幕 英語、スペイン語

あらすじ

 映画のスタントマンをしていたスタントマン・マイクは若い女性の乗る車ばかりを狙って事故を起こしていた。狙いは若い女性を殺すこと。ビルボードに載っているラジオDJ、ジュリア達若い女性の一団と酒場で会話したあと、マイクは彼女達の乗る車にクラッシュし、彼女達を皆殺しにする。しかし彼も大けがを負ってしまう。10数ヶ月後、映画スタントマン、ゾーイ達の一団を見かけたマイクは彼女達をターゲットに狙う。しかし今回はうまくいかずに逆に彼女達の逆襲に合う。

レビュー

 映画オタクのクエンティン・タランティーノが、盟友のロバート・ロドリゲスとともに製作したかつての名画座のような2本立て映画、3本立て映画の雰囲気を残した「グラインドハウス」の1本として製作したのが、この「デス・プルーフ in グラインドハウス」です。劇場公開板より長尺のアンカット板としてこのDVDでは収録されています。

 基本的にはタランティーノが若い頃よく見たB級映画の雰囲気を復活させるべく製作されているものと思いますが、タランティーノ独特の無駄な会話が今回も多く、観ていて話が進行しないなという感じはします。それは特に前半、ラジオDJ、ジュリア達の会話が酒場で延々と続けられるというところと、サウンドトラックが酒場に置いてあるジュークボックスのみで繋げられているところにそれを感じます。だから、前半の山場であるマイクのジュリア達の抹殺シーンは、かなりどきつく、観ていて爽快感すら感じます。

 で前半が終わり、後半どうなるのかと思うと今度は登場人物が変わりますが、結局はやっぱり会話主体なので物語が進まないという感じはします。ただ、今回は主役になる女性がスタントマンのゾーイ達に変わり、そう簡単にマイクの餌食にはならないところが、話の展開として面白く、その後のカーチェイスシーンが生きてくるという感じがします。

 マイクの若い女性を抹殺するというのが自身の趣味なのかどうなのかは分かりませんが、とにかく不気味な感じで、演じるカート・ラッセルが顔に傷を作ってまで熱演をしています。その辺りが面白いと思うのですが、主役はマイクではなく、マイクと相対する女性達が主役であるというところがやっぱり話を作っていると思います。

 ラスト辺りのアクションシーンは結構痛快で、マイクが不気味である分、それを撃退する女性達の活躍が拍手喝采に繋がっていると思います。エンディングが突然「THE END」で終わったかと思うとさらに実はちょっと追加シーンがあるというのも「何だ、これ?」とあっけにとられる感触があります。

 映像も凝っていて、前半のシーンは大体がフィルム傷とかゴミがずっと乗っているいかにも名画座向け映画という雰囲気をさらけ出しています。時々映像がジャンプするというのもあったり、後半最初がモノクロシーンでカラーになると突然鮮明になるというのも面白い効果を出していると思います。

 画質は前述の通りにわざと傷とかを乗せているためにあまり鮮明とは言えませんが、実はDVDにしては解像度も色乗りも十分で、高画質なのだと気づかされます。音響は5.1chサラウンドですが、あまりサラウンドはせずにどちらかというとモノラル音声風になっているところがミソです。物語後半になるとサラウンドも効果出してくるのですが、それまではあまり効果ありません。

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