ENTER THE DRAGON(Blu-ray/CRITERION)
邦題 | 燃えよドラゴン | |
レーベル | CRITERION COLLECTION | |
制作年度 | 1973年 | |
上演時間 | 99分 | |
監督 | ロバート・クローズ | |
出演 | ブルース・リー、ジョン・サクソン、ジム・ケリー | |
画面 | 2.35:1/SDR | |
音声 | LPCM 1.0ch 英語 | |
字幕 | 英語 |
あらすじ
少林寺でカンフーの訓練をしているリーは、ブレイスウエイトというイギリスの諜報機関の職員の訪問を受ける。ブレイスウエイトによれば、少林寺の門下生であったハンという男が、独自の帝国を作って、麻薬の生産をしていると言われているが、その証拠がなくて手が出せない状態にあった。ブレイスウエイトは、何年かに一回開催されるハンのマーシャルアーツのトーナメントにリーが参戦して、ハンの麻薬生産の証拠を押さえて欲しいという。リーはそれを承諾し、ハンのトーナメントに参加する。前回のトーナメントは3年前で、その時にハンのボディガードであるオハラの手によって、リーの妹は自決を迫られる事態に陥っていた。それを知ったリーは2つの目的を持ってトーナメントに参加することになる。トーナメントには借金をしているローパーや、黒人空手使いであるウイリアムズといった面々も参加していた。リーは、トーナメントに参加しながら、ハンの麻薬生産の証拠を抑えようとするが、警備は厳しく、リーの行動を抑えられなかったハンの手下たちは、次々に処刑されていった。リー、ローパー、ウイリアムズたちはトーナメントで勝っていくが、その過程でハンの麻薬生産の秘密に触れていくことになる。そして、リーは宿敵オハラと対峙することになる。
レビュー
香港で大成功を収めたブルース・リーがハリウッドに呼ばれ、自身最大のヒットを記録し、世界中にその名を轟かせることになる傑作映画が、この「燃えよドラゴン」です。奇しくも、この「燃えよドラゴン」が公開された時にはブルース・リーはこの世を去っており、遺作となってしまっています。Rotten Tomatoesの批評家評価では95%、観客評価も91%と極めて高い評価を得ている作品です。クライテリオン・コレクションからリリースされた「BRUCE LEE:HIS GREATEST HITS」中に収録されていて、これは快挙であります。というのも、「燃えよドラゴン」の香港以外の配給会社はワーナー・ブラザーズであったため、権利関係で「燃えよドラゴン」を含む全作品をセットにしたBOXセットはこれまでリリースされたことがなかったからです。
また、このクライテリオン・コレクションに収録されている「燃えよドラゴン」は、珍しく劇場公開版を収録しています。レーザーディスク時代にはこの劇場公開版を収録していましたが、DVD以降はディレクターズ・カット版での収録になり、劇場公開版をホームシアターで鑑賞する機会が失われていたからです。もちろん、クライテリオンのことですから、特典ディスクの中にはディレクターズ・カット版の「燃えよドラゴン」も収録するという凝った仕様にはなっています。
この「燃えよドラゴン」は、ブルース・リーの思想が100%発揮されている映画として、特筆に値する映画であるといえます。物語冒頭でリーの門下生が訓練するシーンで、「考えるな、感じろ」というセリフは名台詞として後世に伝えられています。ハンの島に行く途中でトーナメントの参加者から決闘を挑まれたリーが、「戦わずに勝つ方法」を実践するシーンも、ブルース・リーの思想を体現しているといえます。また、ブルース・リーのカンフー・アクションは物語冒頭の少林寺でのバトルや、ハンのトーナメントでのオハラとの戦いにおいて、その魅力を存分に見せています。
映画はリーの他にもローパーやウイリアムズといった空手使いたちも物語に関与して、必ずしもリーのワンマン映画にはなっていないのですが、ブルース・リーのカンフー・アクションが素晴らしすぎるため、ローパーやウイリアムズの空手がスローすぎる印象を受けてしまい、迫力に欠けるきらいはあります。それでもこの二人のマーシャルアーツは頑張っている方だと思いますが。
リーは、クライマックスでハンと直接対決しますが、ハンもしたたかなキャラで、リーを結構苦しめます。少林寺の名誉を汚したハンに対して、リーは怒りの鉄拳を打ち込みますが、ハンもそう簡単にはやられず、リーに傷を負わせるくらいに反撃を行っています。それでも最後はリーの勝利になるのですが、最後の戦いが鏡の部屋での勝負になっていて、実物と幻影の差でリーが苦戦する様は、見ていてハラハラさせるものがあります。それをどう回避するかがこのクライマックスの見どころではないかなと思います。
「BRUCE LEE:HIS GREATEST HITS」の「燃えよドラゴン」だけは、他のブルース・リーの作品と異なりワーナー・ブラザーズ管理の元マスターが製作されたためか、2KマスターでのBlu-ray化がされています。2Kマスターではありますが、フィルムの状態もあってか、フィルムの粒子は結構見えていて、ざらついている印象があります。それでも色管理は最適で、鮮やかな色彩を提供しています。音響はPCM 1.0ch 英語でのモノラル音声での提供になっています。特典映像のディレクターズ・カット版は5.1chサラウンドも提供していますが、劇場公開版の本作はモノラルです。ただ、モノラルでも音の厚みは十分感じられていて、迫力ある音響が楽しめます。
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