THE MAN WHO KILLED DON QUIXOTE(Blu-ray)
邦題 | テリー・ギリアムのドン・キホーテ | |
レーベル | SCREEN MEDIA FILMS | |
制作年度 | 2018年 | |
上演時間 | 132分 | |
監督 | テリー・ギリアム | |
出演 | アダム・ドライヴァー、ジョナサン・プライス、オルガ・キュリレンコ | |
画面 | 2.40:1/アナモルフィック | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語 | |
字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
スペインで監督のトビーはドン・キホーテをテーマにしたCMを撮影していた。しかし、撮影はトラブル続きでうまくいかない。トビーは昔に「THE MAN WHO KILLED DON QUIXOTE」というモノクロ映画を撮影していて、その頃は野望に満ちていた。その時の映画に出演していた人たちを探すトビーだったが、ドン・キホーテを演じていたハビエルという老人は、自分がドン・キホーテだと思い込んでいて、トビーのことを相棒のサンチョと勘違いし、トビーと共に正義の戦いに身を投じる動きをしていく。トビーは困惑するが、アンジェリカという若い女性と再会したことで、次第に事態を飲み込んでいく。CMスタッフはトビーとドン・キホーテを撮影に巻き込んでいくが、その展開は現実と架空の世界を行き来する困惑した世界になっていた。
レビュー
「未来世紀ブラジル」や「バロン」等の映画で制作会社と揉めたことで知られるテリー・ギリアムが1989年から製作をはじめ、2017年まで時間をかけて映像化した映画が「このテリー・ギリアムのドン・キホーテ」です。映画としての出来はあまり良いものとは言えず、劇場公開もひっそりと行われ、興行収入もわずかで、批評家からの評価も観客の評価も微妙な出来になっています。
小説として有名なドン・キホーテの話をテリー・ギリアムが現在の世界とリンクさせて制作した本作ではありますが、1989年から2017年まで制作がかかったのには訳があり、撮影セットの破損や、ドン・キホーテを演じていた老俳優の死去など、数々のトラブルを抱えていたためです。そのトラブルにより一時は映画制作が止まってしまい、その顛末がドキュメンタリー映画「ロスト・イン・ラ・マンチャ」として映画より遥かに前の時期に公開される始末です。
その制作の滞りがあったせいかは知りませんが、できた映画は俳優を一新しており、ドン・キホーテを「未来世紀ブラジル」の主人公を演じたジョナサン・プライスが、トビーを「スター・ウォーズ」のカイロ・レンで知られるアダム・ドライヴァーが演じることで、成立している状態になっています。しかしながら、盛り上がりに欠け、延々と単調なストーリー展開を繰り広げるため、見ていて厳しいものがあります。
ドン・キホーテの物語自体が彼と同一視している一人の男の空想ものであることから、本作も大胆な解釈はしながらも自分がドン・キホーテと思い込む老人ハビエルとそれに振り回されるサンチョことトビーの姿を描いていきますが、テリー・ギリアムの現実と架空の世界を行き来する特徴的なストーリーはこの映画でも健在ではあります。登場人物も現実の世界と架空の世界で2役を演じていて、見ている観客はその2つの世界を行き来することになります。
ただ、トビーが世界観に取り込まれず、徐々にドン・キホーテの存在を認識していく様がテンポ悪く、見ていて焦ったいものがあります。映画自体が単調な展開であるので、どこまで観客が入り込めるのかが難しいところがあり、ようやくクライマックスあたりになって少しだけ面白いという認識を得るものと思います。トビーのCM監督としての自立と、過去からの認識についての話でもあり、トビーがどうドン・キホーテと付き合っていくかが物語の中心をなしていると思います。
映像は2.40:1のワイドスクリーンで収録されており、色乗りは十分にあります。コントラストが豊富で、見ていて鮮やかな映像に引き込まれるところがあります。ただ、解像度としてはあまり高くない印象を受けました。音響はdts-HD MA 5.1chでの収録ではありますが、サラウンドは控えめな感触を受けます。もちろん環境音など、サラウンドは効果的に鳴っているではありますが、それがこれ見よがしな感じは受けないところがあります。dts:Nueral Xで視聴すると比較的イマーシヴな音響効果は得られます。
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