NATURAL BORN KILLERS(Blu-ray)
邦題 | ナチュラル・ボーン・キラーズ | |
レーベル | WARNER HOME VIDEO | |
制作年度 | 1994年 | |
上演時間 | 122分 | |
監督 | オリヴァー・ストーン | |
出演 | ウディ・ハレルソン、ジュリエット・ルイス、ロバート・ダウニー・Jr. | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | Dolby TrueHD 5.1ch 英語 / DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
ミッキーとマロリーのカップルは、旅行く先で次々に人殺しをしていた。マロリーは、実家にいる時に父に乱暴され続けていたが、肉屋のミッキーと出会ったことで、家族を殺害し、二人は結婚をして、人殺しを始めたのだった。そのミッキーとマロリーを取材するマスコミのゲイルという男がいた。彼の担当する番組の効果もあり、ミッキーとマロリーは一躍人気者になる。しかし、この二人がインディアンに助けられたものの、彼を殺したことで罪の意識を感じ、ガラガラヘビに噛まれたことで、ドラッグストアに行く羽目になり、警察に逮捕される結果になる。1年後、ゲイルはスーパーボウルの終了後、刑務所にいるミッキーに対して独占生中継のインタビューを敢行する。その結果、刑務所内は暴動が起き、その隙をついて、ミッキーはマロリーを救助し、刑務所内から脱出を図る。ゲイルは当初人質扱いであったが、彼も人殺しの快感をその暴動内で感じ始めていた。
レビュー
センセーショナルな映画を放ち続けるオリヴァー・ストーン監督が、当時新進気鋭の映画作家として登場したクエンティン・タランティーノのストーリーをもとに、映像化した作品がこの「ナチュラル・ボーン・キラーズ」です。映画公開時には賛否両論を巻き起こし、かなり話題になった映画であると言えます。
この映画の特徴は、物語よりまず、その映像視覚効果にあると言えるでしょう。とにかくカラーとモノクロ、フラッシュバックのような視覚効果、昔のテレビドラマ風の画質、果てはアニメまで、とにかく映像の効果が半端ない映画に仕上がっています。すでに公開から20年以上経っていますが、それでも今見ても、斬新な映像効果を上げているかと思います。
しかし、20年経過して、マスコミによる主人公たちへのヒーロー像という効果は、多少薄れているのかもしれません。今やインターネットが主役に踊りつつあり、テレビの効果が少しずつ下がってきている結果、ゲイルのようなマスコミが悪党をヒーローに仕上げる、というストーリーは多少現実的ではない、という感じはします。
主人公であるミッキーは、あくまで純粋な殺人鬼であると言えますが、妻であるマロリーの方は、性的虐待をする父親から解放されたことで、殺人鬼に走った、という見方ができます。カットの中で、マロリーの父親の顔が何回も登場するのは、そういう関係性があるのでは、という感じはします。
一方で、ミッキーとマロリーの純粋なラブドラマとしての顔を持っているかと思います。この二人の愛が揺るぎないのは、物語冒頭からずっと描かれていて、その辺はクエンティン・タランティーノの原作が影響しているのでは、と推測してしまいます。後半の刑務所脱出シーンでも、この二人の関係は変わらないところがあります。
「アメリカン・マニアック」という番組を作っているゲイルが、ミッキーとマロリーを視聴率目当てに追いかけていきますが、彼が後半、ミッキーにインタビューをするシーンと、その後の刑務所脱出シーンで、重要な役割を果たしているかと思います。彼の考え方が、次第にミッキーの純粋な殺人に感化されていくのは、結構見所であるかと思います。しかし、ゲイルの最後も、悪が勝つという結果にしかならず、この映画は徹底的にアンチモラルな映画であると言えるでしょう。
ミッキーたちを追いかけ、逮捕する刑事スカグニティも、結構刑事にしては異常な精神構造の持ち主で、情婦を殺害したり、刑務所にいるマロリーに手を出そうとしたり、この人もモラルがないなと感じます。映画として、モラルを持った人が登場しないというのは、ある意味面白く、この映画を特徴付けているかと思います。
刑務所所長は、体面を気にする人で、自身の保身のために結構きわどいことをしている印象を持ちます。演じるトミー・リー・ジョーンズが、オーバーリアクションで演じていて、かなりインパクトを与えるものがあります。でも、最終的には何もできない、というオチが待っていますが。
以前レーザーディスクで鑑賞した時と、少し印象が違っている気がします。Blu-rayでは、ディレクターズ・カットになっているので、バイオレンスシーンが何分か増加している感じがします。映画を見ていて、「これは子供には見せられないな」という感じが以前鑑賞した時よりも、さらに強くなった気がします。
原作はクエンティン・タランティーノですが、そのストーリーがどこまで生かされているかは、ちょっと気になるところです。というのも、ネットの話では、この映画のストーリーをめぐってオリヴァー・ストーン監督と、クエンティン・タランティーノが衝突を繰り広げた、ということが書いてあり、ストーン監督は、この映画のリベンジ的な内容で「U-TURN」という映画を製作しているからです。そういう意味では、タランティーノ映画というより、ストーン監督の意志が強く出ている映画だと思います。
映像について語るのは、この映画に関しては、難しいところがあります。あえて画質を落としたり、ノイズを載せたりしている箇所が多々あるため、映像の質を語るのが困難だからです。ただ、カラーの画面で見る限り、ノイズ・リダクションを効かせてフイルム・グレインを取り除いているのでは、と思わせる画質だと思います。音響は、劇場での音響はDOLBY DIGITALですが、極端にサラウンドに回す音響効果を作っていないと思います。ただ、サラウンド的には不満のない音場感はあります。Blu-rayの初期のディスクのためか、最近あまり見かけないDolby TrueHDで収録されていて、それはそれで面白いと思います。
なお、このディスクは輸入盤ではありますが、日本のプレイヤーで再生した場合、日本語字幕が表示される世界共通仕様になっています。なので、鑑賞は日本語字幕で鑑賞しています。メニュー画面や、特典映像もすべて日本語字幕付きなので、鑑賞はしやすいと思います。
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