One Hour Photo
邦題 | ストーカー | |
レーベル | 20th CENTURY FOX HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2002年 | |
上演時間 | 96分 | |
監督 | マーク・ロマネク | |
出演 | ロビン・ウィリアムス、コニー・ニールセン | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語 DOLBY DIGITAL 2.0ch スペイン語、フランス語 |
|
字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
孤独な写真現像屋のサイ・パリッシュ。彼は店の常連である、ヨーキン一家の写真の現像を続けているうちにヨーキン家に対して自分がその一員であるかのような錯覚を覚え始めていた。しかし、ヨーキン家の夫の不倫の事実を知ったことや、あまりにヨーキン家に対して偏ったサービスを続けていたことが災いして店を首になってしまったことから、彼は徐々に常軌を逸した行動を起こし始める。
レビュー
ロビン・ウィリアムスが「インソムニア」に続いて悪役を演じた作品、ということで話題になったこの「ストーカー」ですが、観ていると根っからの悪役というよりは彼の孤独感がやむにやまれぬ邪悪な行動に走らせてしまった、という印象が強い気がします。
元々多彩な芸風を持つ彼ですが、この作品ではかなり抑えた演技をしていますので、主人公サイの持つ孤独感がことさらに強調され、むしろ同情すらしてしまいます。物語では彼の背景はあまり描かれていませんが、どこかの露天で買った古ぼけた写真を「自分の母の写真だ」とうそをついているところを見ると、もはや彼には両親ですらこの世を去っていて本当に天涯孤独の身になっているのかもしれません。当然交友関係も一切描かれていませんので多分友人ですらいないのだろうな、と想像されます。
そんな彼が写真を通して幸せそうなヨーキン家に感情移入していくのも納得できるというものですが、そのヨーキン家自体が実は家庭崩壊の一歩手前だったという構図はなんともいえないものがあります。主人公が求めてやまなかった幸せっていったいなんだったのか、と考えさせられてしまいます。実際自分も(両親は健在ですが)現在一人暮らしですし、うつ病発病以来症状の状態によってはかなりの孤独感を感じるときがありますので、主人公に感情移入しながら観ていました。実際のところサイのような孤独を抱えた人々というのは現代の社会においてはかなり多いのではないのかというように思います。
そんな感じで観ておりますと、どうもこの作品の邦題である「ストーカー」というのは当たっているようで当たっていないタイトルだな、という気がします。原題の「One Hour Photo」(つまりスピード現像店ということですね)のほうがその意味合いも含めて意味深なのかなという気がします。実際サイとヨーキン家の接点はわずか1時間にも満たない写真の現像だけなのですから。
画質は、背景が真っ白、というシーンが多く、妙に印象に残ります。クリーンなんですが、作品(というか主人公の心)の寒々しさを増しているかのような印象を受けます。その他のシーンでも自然な色調というよりは妙に黄色がかったシーンが多く、これは褐色した写真の意味合いを持たせているのかなという感じです。サウンドは派手な内容でもないですから音楽の広がりはあるものの派手な鳴り方はしません。それでもクライマックスではかなりの重低音が鳴り響いたりしますのでちょっとびっくりします。
そういえば、作品途中で出てくるヨーキン家の子供が持っているおもちゃが「新世紀エヴァンゲリオン」のフィギュアだったのにはニヤッとさせられました。アメリカの子供の間でも「エヴァンゲリオン」って人気だったのでしょうか? ちょっと気になるところです。
コメント