precious:BASED ON THE NOVEL ‘PUSH’ BY SAPPHIRE
邦題 | プレシャス | |
レーベル | LIONS GATE HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2009年 | |
上演時間 | 109分 | |
監督 | リー・ダニエルズ | |
出演 | モニーク、ポーラ・パットン、ガボレイ・シディべ | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語 / DOLBY DIGITAL 2.0ch 英語 | |
字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
1987年のハーレム、太っていて貧困の高校生プレシャスは、父親に犯されたことにより望まない2回目の妊娠をしていた。母親はそれを知っており娘であるプレシャスに辛く当たる。数学の成績はいいものの他が駄目なプレシャスは、特殊学校へ行くよう担当教師から進言され、そこへ通うようになっていく。そこで教師であるレインと出会ったことで、英語の読み書きが出来るようになっていき、次第に希望を持ち始める。そんな中子供を出産。母親からも離れ、級友とも交流を持つようになるのだが…。
レビュー
2009年の様々な賞レースでノミネートや受賞をしたのが、この「プレシャス」です。原作付きの映画としてはかなり出来のいい映画で、ゴールデングローブ賞の最優秀助演女優賞を母親役のモニークが受賞しています。
原作本がどういうのかは僕自身は読んでいないので比較は出来かねるのですが、映画としてはもっと暗い内容になりかねないストーリーを脚本と映像のトリックを使って、意外と乾いた感じの映画に仕上がっていると思います。
太っていて学力もないプレシャスは、父親に犯されるというひどい状況に陥り、また母親からも虐待を受けるというかなり絶望的な状況にいるのですが、彼女は時折自分がこの状況から抜け出すべく空想の世界に浸るということにより、何とか現実と折り合いをつけていきます。
この空想の世界は結構映像的トリックを使っていて、ジャンプカットだとか静止画が突然動き出すといった撮影技術を用いて現実から離れる様子をトリッキーに映し出しているかと思います。
また、プレシャスのモノローグが物語全編を覆い、ストーリーが彼女の客観的な視点で語られることにより、その凄惨な内容が和らいでいるのではないかと思います。これがなかったら悲惨としかいいようのない映画であると言えます。
物語で高く評価されたのが助演の母親役を演じたモニークで、家事一切をやらないは、娘にやたらと攻撃的だわで、すごい存在だなと思います。普通に考えるとこういう親っていなさそうにも思いますが、日本でもよく虐待事件が起きている状況を考えると、別に映画に限らずにどこの世界でもあり得る話ではないかと思います。
プレシャスが特殊学校に行き次第に同級生や教師であるレインに心を開いていく様はこういう凄惨な映画の中では救いだと思います。レインの存在感もかなり強く、彼女がプレシャスたちに毎日の宿題として求める日記の存在が、彼女たちの成長を促しているのではないかと思います。
物語後半でプレシャスを襲う悲劇がつらいところでもありますが、クライマックスのケースワーカーと母親との押し問答でプレシャスが開放される様は、なにかホッとするものを感じさせます。物語としては子供達と歩いて行くシーンで終わりますが、この先プレシャスが成長していくのかはちょっと興味を感じさせます。
画質は、色調がきちんとしていて色乗りも十分です。フィルムの感じが良く出ていて、基本の色調としては白っぽい感じがします。これは屋外のシーンが多いことに由来していると思います。プレシャスの住む家のシーンは暗くて赤い色調をしていますが、これは閉塞感を出すためのものだろうと思われます。音響はほとんどモノラルで、セリフ重視というサウンドです。もちろん5.1chなのですが、サラウンドが活躍するシーンはないと言ってもよく、音楽が鳴るシーンもただのステレオになっている様子が多いようです。
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