SICARIO(Blu-ray)
邦題 | ボーダーライン | |
レーベル | LIONS GATE HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2015年 | |
上演時間 | 121分 | |
監督 | ドゥニ・ヴィルヌーヴ | |
出演 | エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン | |
画面 | 2.40:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 / DOLBY DIGITAL 5.1ch スペイン語 | |
字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
FBI捜査官のケイトは、その捜査能力を買われ、国防省に編入することになる。アメリカではメキシコとの国境近辺で麻薬の密輸取引が行われており、その組織壊滅に向けて動いていたのである。国防省のマットの指揮のもと、ケイトは作戦に動き出すが、彼女と共に行動するアレハンドロという男が謎の動きをしていた。彼は麻薬組織に家族を殺された過去を持っていた。メキシコの麻薬組織はディアズという男のもと、国境をトンネルを作り、そこを経由して麻薬をアメリカに送り込んでいた。それを壊滅するのが国防省の目的だった。
レビュー
「メッセージ」や「ブレードランナー2049」でその映像センスを買われている監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴが、それらの作品の前に制作をした映画がこの「ボーダーライン」です。アメリカとメキシコの麻薬戦争をテーマにした映画で、アメリカ国内上映時にはスマッシュヒットを放ち、制作費を軽く回収する興行収入を上げている作品であります。
映画はバイオレンス色の強い、アメリカとメキシコをまたぐ麻薬戦争を壊滅する特殊組織を描いたものになっています。物語冒頭はFBI捜査官のケイトが誘拐犯を射殺するシーンから始まり、ケイトという女性の気の強さを表しているものになっています。その後、彼女の捜査能力を買った国防省は、ケイトをスカウトして麻薬戦争の壊滅を目論む特殊組織に編入させるところから物語が本格化していきます。
メキシコというと、なんとなくアメリカへの不法移民とか麻薬密売といった印象を持つ国ではありますが、この映画はその中でも麻薬の密売について描いたものになっていて、それがメキシコという国の治安の悪さを浮かび上がらせているものになっています。警察官ですら悪事に手を染めるものになっていて、メキシコという国の実態が垣間見えるものになっています。物語中盤でメキシコの街で銃撃戦が頻繁に起こっているシーンがありますが、それを印象付けるものになっていると言えます。
映画はメキシコの麻薬密売組織を描いていますが、そちらの正体はなかなか描かれず、アメリカの特殊部隊の描き方の方が緻密であります。それに戸惑いを隠せないケイトの立ち位置が、この物語のキーポイントであると言えます。ただ、クライマックスになりますと、ケイトよりも謎の男、アレハンドロの方が中心に描かれ、主役であるはずのケイトの立ち位置があれ?という感じになっています。ラストもケイトの不安定な状況が中心になり、映画が一件落着で解決、というわけでもない展開なのは好感が持てます。
映像はデジタルカメラで撮影されたようで、映像の鮮明さや、色乗りは十分に感じられるものになっています。メキシコの埃っぽい色使いがよく再現されていると思います。また、クライマックスで意識的に特殊部隊が使用するカメラの主観映像になり、モノクロだったりグリーンだったりするのも、緊迫感を感じさせるものになっています。音響はDOLBY ATMOSではありますが、意外と音響が鳴っていないシーンが多いです。セリフ中心ではありますが、銃撃シーンや、サウンドトラックが鳴っている時には、音に包み込まれる感覚が十二分に味わえます。低域もよく再現され、迫力があります。
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