STAR TREK IV:THE VOYAGE HOME/故郷への長い道:スタートレック4/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

STAR TREK IV:THE VOYAGE HOME

STAR TREK IV:THE VOYAGE HOME DVDジャケット 邦題 故郷への長い道:スタートレック4
レーベル PARAMOUNT HOME ENTERTAINMENT
制作年度 1986年
上演時間 118分
監督 レナード・ニモイ
出演 ウイリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、デフォレスト・ケリー
画面 2.40:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
DOLBY DIGITAL 2ch 英語、フランス語
字幕 英語

あらすじ

 突如太陽系内に進入してきた謎のプローブ。このプローブの影響により惑星連邦の機能は特に地球を中心に半身不随状態に陥る。その頃クリンゴン艦を奪取したカークたちエンタープライズのクルーらは、自分たちが犯した連邦の規律違反の処罰を受けるべく地球に帰還しようとしていた。その途中このプローブや地球の事態を知ったカークらは、このプローブが 23 世紀に絶滅してしまったザトウクジラに向けてメッセージを発信していることに気づく。カークたちは事態を収集すべく、20 世紀後半の地球からザトウクジラの移送を行おうとタイムトラベルを敢行する…。

レビュー

 映画版の第四作目に当たる今回の作品は、やはり前作「ミスター・スポックを探せ!」の続編となります。しかし、物語自体はこの作品単独で見ても十分に楽しめるものとなっているため、前作と前々作のあらすじだけ知っていれば鑑賞にはさほど不都合はないものと思います。

 今回の作品は、なんとスタートレックの象徴とも言える宇宙艦エンタープライズが出てきません。正確にはラストに登場するものの、物語には全く関与しませんので、珍しい展開ではないかなと思います。その代わり 20 世紀の地球のシーンで原子力空母のエンタープライズが登場しているのはスタッフのお遊びといったところでしょう。

 今作はコメディ調であるという点、また舞台が 20 世紀の地球であるという点からしてもファンじゃない人が見ても割と楽しめる作品になっていると感じられます。スタートレックにおなじみの難しい SF 用語がさほど飛び出してこないし、1985 年頃のサンフランシスコが舞台になっていますので、SF が苦手な人にも親近感を感じさせる仕上がりになっているようです。

 そうした中でもスタートレック独特の現代の世界が抱える問題を提起しているところはさすがだと思います。今回は鯨を題材に自然保護という問題を提起しています。確か記憶に間違いがなければ当時日本の捕鯨が国際的に問題になっていた頃のことですので、どちらかと言うとこの作品も日本叩き、という面で観られていたような気がしますが、20 年近くたって改めてこの作品を見ると鯨だけでなく、自然保護の問題提起として観ることができるのではないかと思います。少なくとも僕自身はそう感じながら見ておりました。

 ただ問題提起は作品内に包括しているものの、後の TV シリーズである「新スタートレック」や「スタートレック DS9 」などに比べると弱い気はします。これは多分毎週放送される TV シリーズと、エンターテインメントとして 2 – 3 年に 1 度しか製作されない映画というフォーマットの違いも大きいのではないかと思います。ファンの間でもよく言われていることですが、スタートレックシリーズは映画よりは TV のほうがフォーマットとしてあっているような気がします。

 ふと気になったのがサブタイトルの “THE VOYAGE HOME”、邦題ですと「故郷への長い道」となっていますが、これ、何を差しているのでしょうか。書いていてふと気づいたのですが、カークたち一行にとっての家とは、宇宙艦エンタープライズそのものなのではないのではないでしょうか。どうも日本語のサブタイトルだけを見ていると、過去の地球に言ったカークたちが現代( 23 世紀)に戻ってくる、という意味にも取られかねませんが、個人的には前述のようにエンタープライズに戻ってくるということが長い旅なのではないかと思います。そう考えると、ラストにしか登場しないエンタープライズというのは結構大きな意味を持ってくるようにも思います。前作で破壊されてしまったエンタープライズが復活しているわけですし(正確には同形艦という設定だそうです)、家を失ったメンバーたちが再び自分たちのいるべき家に戻ってくるまでの話とも取れます。

 画質は、前作等と同じようなものかなと思います。ただ今回はロケーションが多いこともあって自然な色調にあふれているのように思います。また、DVD になって映像クオリティが上がってしまったせいか、SFX のあらが気になったシーンもありました。音響は、かなり効果的に全チャンネル使われています。制作年度辺りですと元々の DOLBY 4ch ステレオの使い方自体がかなりレベルアップしていたせいもあるのでしょう。音声マスターが良好だったのではないかと思います。

 蛇足ですがこの作品、冒頭にスペース・シャトル「チャレンジャー」号の事故でなくなった方々への献辞がささげられていますが、「チャレンジャー」が事故を起こした日は僕の誕生日だったので、当時かなりショックを受けたのを思い出します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました