STAR TREK FIRST CONTACT/スタートレック ファースト・コンタクト/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

STAR TREK FIRST CONTACT

STAR TREK FIRST CONTACT DVDジャケット 邦題 スタートレック ファースト・コンタクト
レーベル PARAMOUNT HOME ENTERTAINMENT
制作年度 1996年
上演時間 111分
監督 ジョナサン・フレイクス
出演 パトリック・スチュワート、ブレント・スパイナー
画面 2.35:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語 / DTS 5.1ch 英語
DOLBY DIGITAL 2ch 英語、フランス語
字幕 英語、スペイン語

あらすじ

 惑星連邦最大の敵、ボーグが再び連邦領域に侵入し、地球制圧を図ってきた。連邦の旗艦エンタープライズ E は、最初艦長であるジャン・リュック・ピカードに対する不信感からボーグ侵略の阻止を命じられることがなかったが、ピカードの独断により、参戦をする。ピカードの指示により、ボーグキューブの破壊に成功する連邦だったが、中から出てきたボーグ・スフィアのタイムトラベルにより、地球がボーグの支配下に置かれてしまう。同じくタイムトラベルをしたエンタープライズ E は、ボーグの目的が 2063 年の地球人のワープ航法開発と、異星人とのファーストコンタクトを阻止することに気付く。ボーグの野望を阻止しようとするピカード艦長だったが、ボーグは、エンタープライズ E を乗っ取り、次第にピカード艦長は追い詰められていく。

レビュー

 映画版「スタートレック」の第 8 作目で、「新スタートレック:ザ・ネクスト・ジェネレーション」の映画版第 2 作に当たるのが、この「スタートレック ファースト・コンタクト」です。この作品は、「新スタートレック」のメンバーが出演する作品のうち、最大のヒットを飛ばしています。

 この作品は、TV シリーズ「新スタートレック」の人気エピソード「浮遊機械都市ボーク」の続編に当たる作品です。ですので、「浮遊機械都市ボーグ」のエピソードを観ているのと観ていないのでは、多少物語の感情移入度合いに違いが見られるものと思います。とは言うものの、「スタートレック」シリーズの中では、ボーグの設定が珍しく絶対的な敵として描かれているために、初めてこの作品で「スタートレック」を知った観客にもストーリー展開は分かりやすいものとなっているものと思います。ヒットしたのも、ボーグの圧倒的な強さを映画の中でも描いていて、敵役としては、申し分ない設定になっているのが成功の秘訣で秘訣であるかと思います。

 しかし、TV シリーズをずっと観ている身としましては、多少の不満もありまして、それはボーグとピカード艦長の関係についての描き方が、TV シリーズから少しずれてしまっているという点です。TV シリーズでは、「浮遊機械都市ボーク」のほかに「ボーグ・ナンバー 3」ですとか「ボーグ変質の謎」といったエピソードでもボーグのことを描いていて、その場面でピカード艦長は、多少なりともボーグを敵役としてみていない部分があったのに、映画版ではそういった部分をすべてなくしてしまって、最初のシーンから、ボークに拉致されたことの記憶にうなされているという設定になっていることに多少の違和感は覚えます。

 その後、ストーリーが進行するにつれ、ピカードのボーグに対する憎しみは次第に高まってきていて、最後のシーンでは、ボーグの侵攻を止めるのには艦の自爆しかないという段階になっても、ボーグと戦えという風に部下に命じてしまいます。しかし、それは、ボーグに対する憎しみのほかにも、自分の愛した艦エンタープライズを絶対に手放さないぞ、という強迫概念に捕らわれているようにも思えます。それは、地球で救った女性、リリーとのやり取りを見ていても明らかだろうと思います。

 リリーの忠告により、我に返ったピカードは、艦を捨ててボーグの侵攻を阻止しようとしますが、ただ一人だけボーグに囚われの身となったデータを救出するために艦に残ります。そしてボーグ・クイーンとの一騎打ちになだれ込むわけです。

 一方、ボーグ囚われの身となったデータは、ボーグ・クイーンの指図により、人と同じ皮膚を移植されて、より人間らしくなってしまいます。ピカード艦長の味方であったはずのデータは、ボーグ・クイーンとの関わりにおいて、一度はボーグの配下に陥ってしまいます。この辺は、前作「ジェネレーションズ」で感情チップを搭載したデータならではのエピソードといえるでしょう。とは言ってもこの感情チップも知らなくても楽しめる程度の設定ではありますが。

 話は、エンタープライズ号のボーグ侵攻と並行して、地球上では、ワープ航法を開発したゼフレム・コクレーンと彼のワープ船フェニックスの話が描かれてきます。オリジナルシリーズの 1 エピソードに出てきたゼフレム・コクレーンを、きちんと描いたのは今回が初のことです。惑星連邦のアカデミーなどで英雄的に描かれているらしいゼフレム・コクレーンですが、実際の彼は、金儲けのためにワープ航法を開発したと語っている通り、かなり俗物的な人物に描かれています。しょっちゅうアルコール(テキーラなど)を飲んでいるあたり、いかにも駄目人間というところで、その彼が人類初のワープ航法を体験し、エイリアンとのファースト・コンタクトを成し遂げるというのが、そのストーリーの面白さを強調しているものと思います。

 そのファースト・コンタクトをしたエイリアンというのが、ヴァルカン人というのもストーリー上にやっとさせられるところではあります。そのヴァルカン人にロックンロールを聞かせるところなどは、駄目人間として描かれていたゼフレム・コクレーンならではという気がします。

 この作品の後、TV で放映されていた「スタートレック:ヴォイジャー」では、ボーグが登場し、ヴォイジャーとボーグの丁々発止が繰り広げられることになり、また、「エンタープライズ」では、この作品の後ストーリーが紹介されてもいます。そういった意味では、重要なストーリーなのではないかと思います。

 映像は、少し暗めのシーンが多いせいが、落ち着いた雰囲気があります。輪郭が少しにじんでいるシーンもあったりしますので、クリアな映像というわけにはいきませんが、まずまずの映像を提供しているとは思います。音響は、DTS 5.1ch を 2ch ステレオで鑑賞しましたが、なかなかに迫力のある音響効果をしていました。

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