SWEENEY TODD:THE DEMON BARBER OF FLEET STREET
邦題 | スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 | |
レーベル | DREAMWORKS HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2007年 | |
上演時間 | 116分 | |
監督 | ティム・バートン | |
出演 | ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム・カーター、アラン・リックマン | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語、スペイン語 | |
字幕 | 英語、フランス語、スペイン語 |
あらすじ
美しい妻と赤ん坊と共に幸せな生活を送っていた理髪師のバーカー。彼は妻に横恋慕をするターピン判事の罠にはまり、ロンドンを追放されてしまうが、15年後若いアンソニーと共にロンドンに戻ってくる。パイを提供する店の主ラベットの厚意で建物の2階に理髪店を開いたバーカーはスウィーニー・トッドと名前を変え、ターピンへの復讐を待つが、チャンスがないばかりか自分の過去を知る人物に遭遇してしまい、とっさに彼を殺してしまう。トッドとラベットは、殺した人肉でパイを作り、パイ屋は盛況を極めるが、なかなかターピンはやってこずにトッドはやきもきする。一方ターピンは、トッドの娘ジョアンナを実の娘のように育てていたが、彼女は部屋に閉じ込められていて、アンソニーと交流することができなかった。アンソニーは何とかしようとトッドを頼るのだが。
レビュー
監督ティム・バートンとジョニー・デップのコンビで数々の作品を発表していますが、元々はブロードウェイミュージカルである「スウィーニー・トッド」を映画化したのが今作「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」です。記憶が確かなら、ティム・バートンの映画の中で初めてのミュージカルになるのではないかと思います。(「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」はミュージカルだが、ティム・バートンの監督作ではないため、ちょっと除外)
ティム・バートンというと、大抵の作品にひとつのテーマがあり、それは「社会からはみ出したものの孤独」を描いていたと思うのですが、今作「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」も元々のストーリーがあるのにもかかわらず、それを少しだけですが描き出しているような気がします。
それは主人公であるスウィーニー・トッドの自分の幸せを奪われた悲しみや復讐心に現れているように思えます。物語途中でトッドはパイ屋の女主人ラベットと結婚するにもかかわらず少しも幸せな顔をせず、終始しかめっ面をしている点からもそれが伺えると思います。
一方でティム・バートンのもう一つの側面でもある「奇妙なジョーク」という点でも少しだけ再現されていると思います。トッドが客を次々と殺害するシーンなどは見ていてどぎついシーンであるにもかかわらず、ジョークとしか思えない仕上がりになっている点からも明らかだと思います。
トッドは愛する妻と子どもを失った悲しみからターピン判事に復讐を誓うのですが、それがなかなか訪れないという点が物語の肝だと思います。だから見ていて「一体いつ、トッドは復讐を果たすのだろう?」とハラハラしながら作品に没頭することができます。
物語で最初そう重要ではないと思われていた少年トビーが最後に重要な役になるというのも物語的には面白いと思いました。そこに至る過程でトッドが行った殺人の一つがトッド自身の過ちを犯していたところなどは結構悲劇的だと思います。それでもその辺が若干ブラックユーモア的なのは、ティム・バートンの作風によるものではないかと思います。
トッドと交流するアンソニーとトッドの娘ジョアンナの交流は結局最期まではっきりとせずに、ジョアンナが実の父トッドの行っている行為を見るというシーンもその後どうなっていくのかを描かないので、ちょっと不足気味かなと思いましたが、物語の視点が基本的にはトッドとラベットなのだろうと思います。ラストシーンは、結構印象に残るシーンですが、物語的には少々収束不足気味かなとも思います。
本作は、いつもコンビを組んでいる音楽監督のダニー・エルフマンが参加せず、スティーヴン・ソンドハイムが担当しています。そのせいかいつものティム・バートンのダークさとは違った形のダークさが溢れているような感じがします。ミュージカルということで、一種の魅力を生じています。
画質はダークなロンドンを再現しているようで、暗い青に傾いた画質をしていますが、良好ではあります。ただ途中自然が出てくるシーンは画質が荒れていて、物語から浮いていると感じました。全編ダークなシーンで統一したほうがいいと感じる場面ではあります。音響はミュージカル映画ということもあって、サラウンドが全開のシーンが多いです。効果音もそれなりになっていますが、歌うシーンでのサウンドの拡がり感は半端ではないです。劇場で見ているような感覚を覚えます。
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