TEARS OF THE SUN
邦題 | ティアーズ・オブ・ザ・サン | |
レーベル | COLUMBIA TRISTAR HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2003年 | |
上演時間 | 121分 | |
監督 | アントワン・フークア | |
出演 | ブルース・ウィリス、モニカ・ベルッチ、トム・スケリット | |
画面 | 2.40:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語 | |
字幕 | 英語、フランス語 |
あらすじ
アフリカはナイジェリアで内乱が始まった。反乱軍は、国内を占拠、現大統領一家を皆殺しにする。その事態の中、アメリカ軍は、ウォーターズ大尉にケンドリック医師の救出を命じる。始めは簡単なレスキュー作業に過ぎなかったはずなのだが、ウォーターズが反乱軍の虐殺を目の辺りにし、軍の命令に逆らって、ケンドリック医師のみならず彼女の患者たちも救出しようとしたことから、任務が過酷なものになった。自力で国境越えを図ろうとする彼らに対し、反乱軍が追いかけてくる…。
レビュー
当初の予定では、「ダイ・ハード 4 」のスクリプトとして考えられていたというこの作品ですが、思いのほか重々しい作品ではなかったかな、というのが第一印象です。もっとアクションシーンが多いかと思いましたが、全般的には逃避行のシーンが多いなというのが印象に残ります。ただ、その分クライマックスの戦闘シーンは現場の混乱そのままが描かれているかのように迫力のあるシーンに仕上がっていると思います。
最初観ていて、ブルース・ウィリス演じるウォーターズ大尉の行動には少々疑問を感じなくもありませんが(上官の命令に逆らって行動するところなど)、そうしないと物語がわずか 30 分で終わってしまうので、やむを得ないところかな、という気がします。ただその動機付けが少々弱いように思えます。一度はケンドリック医師をヘリコプターに乗せ、救出任務自体は成功に終わるのに、帰路の途中、自分たちが最初に赴いた村と人々が虐殺されている現場を目のあたりにし、また引き返して、彼女の患者たちをも救い出そうとするところなどは、人情的には共感できますが、軍人としてはやってはいけない行為なのではないかな、と思います。この辺は、もう少し別の動機付けがほしかったなという気もしないでもありません。
また、反乱軍が主人公たちを追っていく理由も最初はよく理解できなかったのですが、これは途中で分かります。しかし、その辺の描き方も今ひとつな感じなので、納得性が弱いかな、というのが率直な感想です。前述の部分と合わせてこの辺がしっくり行っているともっと面白い展開になったのではないかな、と思います。追っ手から逃げるというハラハラ感を出すことが出来るのですから。
戦闘シーンは、その辺のもやもや感を吹き飛ばすかのようにかなり激しいシーンになっておりまして、この部分は楽しむことが出来ます。とはいうものの誰がやられて誰が生き残っているのか、という部分が画面を観ていても分からなくなってしまうのにはちょっと困ってしまうところがあります。同じアフリカ・ソマリア内戦を描いた「ブラックホーク・ダウン」でもそうでしたが、最近の戦争映画は誰がどうなっているのかよく分からない、でもなんだかすさまじい銃撃戦や手榴弾の投げ合いになっている、というようになってきてしまっているような気がします。一部ではこれを「プライベート・ライアン」症候群というようですが、そうでなくても最近の MTV 出身監督は画面展開が分かりにくい作りをしてしまいがちですので、この辺は何とかならないかな、と思います。
しかし根本的に物語が判りづらい最大の要因は、どうも馴染みのないアフリカの情勢を物語にしている点かな、という気がします。これは作り手の問題ではなく、観る側(つまり僕)の知識の問題かなと思っているのですが。
映像は、すばらしい、の一言です。ジャングルの中ということもあって木々の緑が美しく映えています。また、戦闘シーンの炎や光は(多分 CG も多用しているとは思いますが)、はっきり、くっきりしています。音響はもちろんアクション映画ですので、全チャンネルから環境音や機関銃の音、爆発音など、その場にいるかのような感覚にさせてくれます。
しかし、この作品を最後まで観て、「いったいこの脚本でどうしてダイハードシリーズの候補になるんだ ? 」という気がしてしまったのは気のせいでしょうか。(多分プロットのほんの一部だけが生かされているんだと思いますけど。)
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