THE WRESTLER
邦題 | レスラー | |
レーベル | 20th CENTURY FOX HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2008年 | |
上演時間 | 109分 | |
監督 | ダーレン・アロノフスキー | |
出演 | ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド | |
画面 | 2.35:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、DOLBY DIGITAL 2.0ch スペイン語 | |
字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
1980年代には絶大な人気を誇っていたプロレスラー、ランディーは、20年後の現代もレスリングを行っていたが、かつての人気もなくなり、小さなレスリング団体で興行をしている状況だった。レスリングだけでは生計を立てられないので、スーパーでのアルバイトもしているが、それでもトレイラーハウスを差し止めにあうなど、生活に困窮していた。そんな中、ランディーに20年前に行った試合のリベンジの話が飛び込んでくる。それに関心を寄せるランディーだったが、ある試合の後、突然倒れてしまい、心臓に負荷がかかり過ぎていて、もはやレスリングは出来ない体になってしまった。彼はクラブのストリッパー、キャシディや、疎遠になっている娘のステファニーに自分の支えになってもらおうとお願いするが、これまでの生活が祟って、助けてもらえない事態になる。そして彼は、生命の危機を抱えながら、レスリングのリベンジに挑むことになる。
レビュー
1980年代には人気だったものの、その後の迷走で人気を失ったミッキー・ロークが再び脚光を浴びるきっかけとなったのが、この「レスラー」です。興行的にもまずまずの成功を収め、数々の賞にノミネートされている作品でもあります。
物語は無理がたたって死の危機に瀕しているレスラー、ランディーの生き様を描いたものになっています。彼を三人称的に撮影した映像がメインで、孤独なレスラーという雰囲気を見事に表しています。かつては人気のあったレスラー、ランディーも今は小さなレスリング団体でレスリングを続けているという生き様を見せています。
その彼が無理が祟って病院に入院することから、話は変わってきます。一人で生きてきて、家族を放置していたランディーが、心不安になってストリッパーで少し親しいキャシディーや、疎遠だった娘のステファニーに自分の心境を伝えるところなどは、孤独から逃れようとするランディーの生き方の変化に違いないと思います。
しかしながら、実際にはランディーはそう簡単に生活のリズムを変えることは出来ません。結局もとの生活に戻ってしまい、娘には愛想を尽かされ、キャシディにも「客とストリッパー」という関係を強調される始末です。一旦はレスラーを引退したランディーは、スーパーのバイトを増やしますが、それもやっていられなくなってしまいます。この辺は不器用なランディーの生き様をよく表していると思います。
結局のところ、ランディーは20年前の試合のリターンマッチを引き受けることになり、自分の命をかけて試合に臨みますが、その少し前に客とストリッパーの関係であったはずのキャシディが彼を止めに入ります。しかし、それを振り切ってレスリングに挑む彼は、孤独な人生を全うしようと考えているのかもしれません。試合中何度も心臓に異変が起こりますが、最後の手前でキャシディが試合を観戦していないのを確認したランディーは、とどめに入ります。その結果がどうかは見る人に委ねられています。
映像が結構独特な編集をしていまして、ジャンプカットなどが使われているようです。それがこの作品の印象を強く残します。何と言うか乾いた、孤高の状態を表現するのに技法を使った感じがします。また、音楽もサウンドトラックとしてはわずかな使い方をしています。もちろんロックミュージック等が試合中とか、ストリップクラブ等では流れているのですが、基本音楽が鳴っていない印象があります。それがランディーの孤独感を表しているように思います。
画質は、元々の撮影フィルムが16mmフィルムということもあってか、かなりのフィルムグレインが見受けられます。色乗りは十分ですが、乾いた感じがします。DVDの情報量でフィルムグレインがはっきりしているというのは珍しいので、作品のトーンを決めています。音響は5.1chサラウンドで、ドラマにしてはかなりサラウンドも音響が回っています。試合のシーンなどは観客の声援やブーイングなどがリスナーを回り込み、臨場感を高めています。
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