プロミシング・ヤング・ウーマン(4K UHD/iTunes Movies)|Apple TVで観た映画のレビュー
配信仕様
No Image | 原題 | PROMISING YOUNG WOMAN |
レーベル | UNIVERSAL STUDIOS HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2020年 | |
上映時間 | 113分 | |
監督 | エメラルド・フェネル | |
出演 | キャリー・マリガン、ボー・バーナム、アリソン・ブリー | |
画面 | 2.39:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
キャシーはかつて医大生だったが大学を中退し、コーヒーショップで働いていた。30歳にもなるのに実家暮らしで、しばしば泥酔したフリをしてクラブに行き、介抱をするフリをしてSEXをしようと目論む男性に対してキツイ仕返しを繰り返していた。そんなキャシーの前に、医大生だった頃の同期のライアンという男性が現れる。ライアンは小児科医として働いていて、キャシーに対してアプローチをかけてくる。キャシーは、医大生だった頃、幼い頃からの友達であったニーナが、キャシーがいない時にパーティに出かけ、泥酔してしまい、同じく医大生だったアル・モンローという男性にSEXを強要され、それを学校に訴えても却下されてしまい、キャシーとニーナは医大を中退するという事件を過去に秘めていた。そして、ニーナは既にこの世を去っていた。ニーナの恨みを晴らすため、キャシーは医大生だった頃の仲間に復讐を図り、近日結婚するというアルに対しても復讐を誓うが、ライアンとの交際によりその怨念は薄れかけ、アルへの復讐を辞めにしようと考え始める。しかし、同期の一人がニーナに起こった事件の様子を撮ったビデオを見せられ、ライアンもその場で笑って静観していたことを知り、再びアルへの復讐を誓うことになる。
レビュー
新型コロナ感染拡大期の2020年冬に公開され、その作品内容からアカデミー脚本賞を受賞した傑作スリラーが、この「プロミシング・ヤング・ウーマン」です。公開時期が時期だったため興行収入は低調でしたが、観客からの評価は高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は90%、観客評価も87%と高水準の評価を得ています。
物語はキャシーという30歳の実家暮らしの女性を主人公にして、泥酔した女性を介抱するフリをしながらSEXに持ち込もうとする男性に対して正義の鉄槌を食わせるというところから物語は始まり、キャシーがなぜ、そんなことを繰り返しているのかが、物語が進むにつれわかってきて、視聴者はそのキャシーの行為に対して共感し、感情移入を起こして映画で出てくる男性に対して復讐を行うキャシーに同調するような仕掛けになっています。
キャシーが泥酔した女性を介抱するフリをしてSEXに持ち込もうとする男性に対して正義の鉄槌を下す行為を繰り返しているのは、キャシーが医大生だった頃に幼い頃からの友人であったニーナが、キャシーがいない時にパーティに出て泥酔し、同期生だったアル・モンローという男性にSEXを強要されてしまい、誰もそれを止めるものもなく、ニーナが学校に告発しても却下され、ニーナも、彼女のそばにいられなかったために事件を止められなかったキャシーも医大を中退せざるを得なくなったという辛い過去を持っているからです。これは、男性側の勝手な自己弁護であり、物語自体が男性優位の世の中に対して、異議申し立てを行っている作品であると言えるかと思います。
正義の鉄槌を男性に喰らわせているキャシーの目の前に、かつての医大の時の同期生だったライアンが現れたことから、キャシーの復讐の念が揺らいでいくのですが、この辺りは意外と真面目なラブストーリーになっていて、物語がどの方向に転ぶのかわからないという不安感を視聴者に抱かせる上手い演出かなと思います。
しかし、キャシーの同期生だった女性から事件の様子を撮影したビデオを渡され、真相を知ってしまったキャシーは、ライアンにも愛想をつかし、当初の予定通り、アルに対して復讐を果たすべく、行動します。アルは近々結婚する予定で、医者でもあり、幸せの絶頂にいたわけですが、キャシーはその幸せを完全にぶち壊そうと画策します。
ただ、クライマックスの展開は想定外の話に持っていかれ、キャシーの復讐は果たせぬまま終わってしまいかねないところだったので、視聴者側から見ても結構無念な部分を感じつつ、どうラストに繋げるのか気になっていましたが、ラストでキャシーの復讐がきちんと果たされ、アルがニーナへのSEX強要に対する報いを受ける終わり方には、スカッとするものがあります。
物語は、男性の女性に対する敬意のなさを指摘している部分があり、性のはけ口としてしか女性を見ていない男性に対して反省を促す内容に仕上がっていると思います。それを真面目なドラマというよりは結構エンターテインメントとして成立させているのには、素晴らしいものがあります。少しホラーっぽい部分もありますし。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。DIが2Kの解像度しかないので、この配信の4Kもアップスケール4Kとなっています。ただ、解像度としては2Kではあるものの、十分なものを持っており、映画を楽しむのには問題はないと思います。色彩管理はDOLBY VISIONで行われ、ナチュラルな色彩を放っていると言えます。意識的に画面が明るいとか、逆に暗いとかいうシーンはないのですが、リアリティのある映像になっていると思います。
音響はDOLBY ATMOSでミックスされていて、BGMが頭上で響き渡ったり、クラブの大音量の音楽が部屋中に反響したり、自然の中の環境音が三次元に広がったりと、イマーシブになっているかと思います。また、オブジェクトの使い方もうまく、臨場感あふれる音場感を構築していると思います。
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