BOHEMIAN RHAPSODY(4K UHD Blu-ray)|ボヘミアン・ラプソディ|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
ディスク仕様
邦題 | ボヘミアン・ラプソディ | |
レーベル | Twentieth Century Fox Home Entertainment | |
制作年度 | 2018年 | |
上映時間 | 135分 | |
監督 | ブライアン・シンガー | |
出演 | ラミ・マレック、ルーシー・ボーイントン、グウィリム・リー | |
画面 | 2.39:1/HDR10+ | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
1970年、ゾロアスター教の信者のもとに生まれ育ったフレディは、父親に反発して自由な生き方を模索していた。フレディはあるライブハウスで「スマイル」というバンドを知るが、「スマイル」のボーカルはライブ終了後脱退してしまう。そこにフレディがボーカルとして加入し、バンドの車を売ってレコードを作り始める。バンド名を「クイーン」に改名した彼らは、フレディの狂気のパフォーマンスが話題を呼び、人気が急上昇していく。そのフレディはメアリーという女性と知り合い、恋に落ちて結婚までするが、実はフレディはバイセクシャルな性癖の持ち主であり、バンドのサポートをしていたポールと関係を持ってしまったためにメアリーとは離婚せざるを得なくなる。「クイーン」は次のアルバムとして当時としては異例なロックオペラを採用し、その革新性に誰もが驚く。活動は継続していたが、1980年に入るとフレディのソロ活動の話が持ち上がり、フレディ自身の生き方への疑問からソロ活動を選択して「クイーン」のメンバーとは別れてしまう。その後のフレディの人生は破滅への道を歩んでいたが、その過程で生涯のパートナーとなるジム・ハットンと知り合う。1985年にアフリカの飢餓基金としてのチャリティ・コンサート、「ライブ・エイド」が開催されることになり、「クイーン」にも白羽の矢が立つが、フレディが「ライブ・エイド」のことを知ったのはかなり後のことで、そのライブに「クイーン」して出演するためにフレディは「クイーン」のメンバーに謝る。そして、「ライブ・エイド」当日がやってきて、「クイーン」として久々のライブステージに立つ。
レビュー
伝説のロックバンド、クイーンとそのボーカルであるフレディ・マーキュリーの半生を描いた伝記映画が、この「ボヘミアン・ラプソディ」です。クイーンの人気は欧米よりも日本の方が高いと言われていますが、この映画も日本で大ヒットを記録しています。チケットの売り上げは全世界で制作費の20倍近い売り上げを記録し、特に北米では4倍なのと比較すると、海外売り上げの比重が高いことがわかります。映画の評価としては批評家が辛口気味なのに対して観客の批評が高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は60%なのに対し、観客評価は85%とかなり偏重しています。
物語はクイーンの作った楽曲の制作裏話や、リードボーカルであるフレディ・マーキュリーの半生を描いた伝記映画として成立していますが、そのドラマ性がかなり面白く、また、クイーンの楽曲が割と親しみやすく知っている楽曲ばかりなため、純粋に音楽映画として楽しむことができます。特にライブシーンの描写は満足がいくものであり、クライマックスの「ライブ・エイド」でのクイーンの演奏シーンは圧巻の一言に尽きます。
その一方で、物語テーマとして「家族愛」がフィーチャーされているのも、親しみやすい要因ではないかなと思うところであります。主人公であるフレディ・マーキュリーが生涯をかけて探し続けた家族愛が、物語の結論としてクイーンのバンドメンバーとの絆と、生涯のパートナーになったジム・ハットンとのリレーション・シップに結実しているところは、大きな要因ではないかと思います。フレディ自身がバイセクシャルな性癖の持ち主であるという事実からバンドのサポートをしていたポールと関係を持ってしまいますが、それがフレディに心の平穏を与えるものではなかったという事実に落ち着きます。
フレディ自身がバイセクシャルなため、女性であるメアリーを愛し、結婚までしますが、フレディの性癖を知ったメアリーは失望し、離婚せざるを得ない状況に追い込まれます。それでもフレディのことを心配するメアリーという女性の存在は、フレディにとって救いでもあるかと思います。
フレディ自身はエイズに感染して、最終的にはエイズによりこの世を去っていますが、映画ではことさらそれを強調する部分もなく、割と淡々と描いていると思います。フレディに起きた悲劇の一つではありますが、映画のクライマックスが「ライブ・エイド」でのクイーンのパフォーマンスに焦点が当てられているために、エイズと戦うという要素は意図的に排除されているように思えます。
映像は4K/HDR10+で収録されています。映像マスターは2KのDIで保管されているために、アップスケール4Kでの収録になっています。ただ、割と精細感のある映像でアップスケール4Kだとしても不満は感じさせない描写になっています。劇場上映ではDOLBY VISIONで収録されているのですが、このディスクではHDR10+での収録になっていて、僕の視聴環境ではHDR10+の再生はできないのでHDR10での再生になってしまいますが、色彩の鮮やかさや、光の眩しさ等は魅力的な発色をしていて、映像に見惚れる感覚を覚えます。特にライブシーンでの色の描写は特筆すべき点があると思います。
音響はDOLBY ATMOSで収録されていて、この音響効果は素晴らしいものがあります。ライブシーンでの音の残響や観客の声援は三次元空間に広がり、まさに自分がライブ会場にいるかのような感覚を味わえますし、クイーンがレコーディングをしている最中の音源の移動感も没入感を感じさせるものになっています。劇場でもDOLBY ATMOSで視聴した経験はあるのですが、家庭用のDOLBY ATMOSでの試聴の方が臨場感があると思えます。
なお、この輸入版4K UHD Blu-rayは全世界共通仕様であり、4K UHD Blu-ray Playerの言語設定を日本語にしておくと、メニューや字幕、吹き替え音声に日本語が表れるようになっています。
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