ハート・オブ・ストーン(DOLBY VISION/Netflix)|Apple TVで観た映画のレビュー
配信仕様
No Image | 原題 | HEART OF STONE |
レーベル | Netflix/Skydance | |
制作年度 | 2023年 | |
上映時間 | 122分 | |
監督 | トム・ハーパー | |
出演 | ガル・ガドット、ジェイミー・ドーナン、アーリヤー・バット | |
画面 | 2.39:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
イギリスの諜報局MI6は、イタリアで武器商人を捕える任務を負っていた。メンバーの一人であるストーンはIT担当で他のメンバーを武器商人のいる秘密の部屋に潜入させる仕事を請け負っていたが、作戦が失敗しかけるとIT担当の任務から一転、独断でメンバーを救助し、武器商人を捕える任務を遂行する。実はストーンは引退した諜報員で構成される秘密組織チャーターのメンバーの一人であり、特殊任務を請け負って敵対する人物や組織を壊滅させる仕事をしていたのである。そんなストーンの行動を追尾して、チャーターの組織を壊滅させようとするケヤという若い女性と接触したストーンは、ケヤを捕えるべくMI6に情報を流し、MI6のメンバーと共に任務遂行を行うが、MI6のメンバーの一人であるパーカーが裏切ってメンバーを殺害し、ストーンに追跡装置を植え付ける。パーカーもかつては特殊任務を負っていたが、チャーターによって殺されそうになり、その復讐に燃えていたのである。パーカーはケヤと組んでチャーターが行動の指針にしているAI、ハートを奪取し、自身の復讐のためにハートを使おうとしていた。ストーンはパーカーとケヤの企みを防ぐべく単独行動を行うが、ハートはパーカーとケヤによって奪われてしまい、チャーターの存在そのものの危機に襲われる。ストーンはハートを取り戻し、チャーターの維持に努めようと孤軍奮闘する。
レビュー
DCコミックのスーパーヒーロー物である「ワンダー・ウーマン」で一躍人気俳優になったガル・ガドットを主役に抜擢し、スパイ・アクション映画として制作されたのが、この「ハート・オブ・ストーン」です。NetflixとSkydanceがタッグを組んで制作したNetflixオリジナル映画であり、劇場公開はされていません。視聴者からの評判は芳しくなく、Rotten Tomatoesの批評家評価は28%、観客評価も57%と惨敗しています。
スパイ・アクション物の映画ということで、どことなく「007」シリーズを彷彿とさせる映画に仕上がっていますが、主人公であるストーンのバックグラウンドがほぼ描かれていないので、ストーンが昔のスーパーヒーロー物のヒーロー的な描き方になっていて感情移入できず、スーパーウーマンとしての活躍をただ楽しむだけの内容になっています。最近のスーパーヒーロー物の映画ではヒーローのバックグラウンドがきちんと描かれる場合が多く、ヒーローに感情移入できる部分も多いのですが、この「ハート・オブ・ストーン」ではストーンがマシンのように活躍してしまうので応援できかねる部分があります。
また、ストーンが所属するチャーターという秘密組織と、チャーターが行動の指針にしているAI、ハートの存在は結構大袈裟で馬鹿馬鹿しい設定になっています。ハートの行動確率に沿わないと活動できないチャーターという組織のあり方そのものに結構問題があるような気がしてなりません。それを破るのがストーンなので、その差異が際立っています。そして、クライマックスではチャーターという組織は何も動けていません。パーカーによって生死の境を彷徨っているからであり、組織としてのあり方としてどうなのよ?と疑問すら湧いてきます。
ストーンが対峙するのは、過去に両親を殺されたケヤという若い女性と、かつて特殊任務を請け負っていたもののハートが無かった時代のチャーターによって殺されかけたパーカーというMI6の裏切り者になっています。しかし、この二人のヴィランとしての輝きはあまりなく、そもそも存在感があまりないため、どう見ていても彼らのヴィランとしての魅力に欠けるきらいがあります。そんな彼らに立ち向かうストーンがあまりに無敵なので、ハラハラ度合いが少なく、アクション映画として成立しかねている面は否めません。
ただ、アクションシーンだけはそれなりに楽しめる映画にはなっているかと思います。派手なガンファイトから爆発シーンまで、求められるシーンはてんこ盛りで入っているので、ストーリーの出来の悪さを除けば、単に2時間という時間、頭空っぽにして観ることはできるかと思います。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターデータは4Kですのでネイティヴ4Kでの収録になっています。デジタルカメラで撮影されたようで高精細な解像度を誇っていますが、意図的だろうと思いますがグレインノイズを乗せています。それが多少フィルムっぽい印象を残します。DOLBY VISIONによるHDR効果は素晴らしく、輝度や暗闇の暗部階調、鮮やかな色彩が表現されています。
音響はDOLBY ATMOSでミックスされています。あからさまなオーバーヘッドサウンドはないものの、視聴者を取り囲むかのようなオブジェクトの配置には唸らされるものがあります。銃撃シーンでは視聴者の周囲で銃弾が弾けますし、視聴者の目の前で爆発があったり、人物のセリフが視聴者の斜め前に出現したりと、効果的なオブジェクトの使用をしています。
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