首里劇場 最後の内覧会|沖縄旅行2023年10月
2023年10月6日-8日
初めに
沖縄の那覇市首里にある沖縄最古の映画館「首里劇場」が取り壊されるので、最後の内覧会を開催する、という話を聞いたのは2023年9月25日の夕方だった。SNSのXで首里劇場調査団の平良竜次さんをはじめとして何名かの方が告知をしていて、首里劇場 最後の内覧会は10月7日の土曜日13:00-18:00まで開催されるという。
2022年10月に2年ぶりに沖縄に旅行に行き、その時に外観だけだが首里劇場は見ている。その後、平良竜次さんが製作した「首里劇場ノスタルヂア」という短編ドキュメンタリーを見たり、當間早志監督が作った「やちむん」のドキュメンタリー映画「一生売れない心の充備はできているか」を鑑賞したりして、首里劇場に対する関心は高まっていた。すでにその時点で取り壊しの話は出ていたが、今回、2022年4月に亡くなられた首里劇場の金城館長の御遺族の方の意向により取り壊しが正式に決まったとのことである。
首里劇場の内覧会は時々開催されていたのも知ってはいたが、自分が住んでいる福岡から那覇の首里に見学に行くのは費用や時間の面でなかなか難しかった。しかし、9月25日の夕方の最後の内覧会開催の報を受けて、「ぜひ、一度は内覧会に参加して首里劇場の歴史を見学したい」と思い、慌ててiPhoneで飛行機のチケット予約とホテルの確保に走った。10月7日の午後に開催なので、10月7日の朝の便で行ければいいかと思ったが、10月7日-9日は3連休なので、各航空会社の那覇行きの便は軒並み満席でチケットが確保できなかった。様々な航空会社を当たり、福岡出発日を10月6日の夕方の便に変更したところ、Peach Aviationの福岡-那覇便が確保できた。帰りは8日の朝の便を確保でき、飛行機のチケットは手配できたので、ホテルも東横イン 那覇旭橋駅前が2泊確保できた。
10月6日の夕方の便を確保してしまったため、仕事との兼ね合いを懸念したのだが、幸い10月6日の仕事は14:00まで会議があっただけでその後は空いていたので、そこに時間年休を申請し、福岡空港に行く時間を確保できた。これで、首里劇場 最後の内覧会に行く準備ができた。
2023年10月6日
福岡から那覇に移動
10月6日は仕事は在宅勤務でこなしていた。予定通り会議が14:00に終わり、時間年休を取得したので、14:30に仕事を切り上げた。Peach Aviationの飛行機のチェックインは出発時間の90分前からなので少し自宅でくつろいで、15:30に家をでた。福岡空港には16:30に到着し、無事チェックインもできた。手荷物検査場を通過してからクレジットカードの特典である空港ラウンジで飛行機の出発までコーラを飲んでくつろいでいた。
Peach Aviationの18:05福岡空港発の飛行機は、使用機材の到着遅れのため、出発時間が15分ほど遅れた。週末というのもあるし、3連休の前の金曜日というのもあるが、飛行機は満席で大混雑していた。飛行機がターミナルを離れても離陸まで20分ほど待たされてしまったが、那覇空港には予定より10分程度の遅れで到着した。
ここ数年、Peach Aviationの飛行機は敬遠していた。那覇空港の離発着ターミナルが日本航空や全日空といった大手航空会社の離発着に使うターミナルではなくて、専用バスで行く、離れた倉庫のようなところにできている専用ターミナルを使っていたので、空港内の移動で結構時間を取られていたからである。ただ、今回、那覇空港が数年前に機能拡張したせいか、Peach Aviationの離発着ターミナルも他の航空会社と同じになり、空港内の移動が楽になった。これは意外だった。
那覇空港からは宿泊ホテルである東横イン 那覇旭橋駅前まではゆいレールで移動した。ホテルに着いたのは20:45ごろで、お腹も空いていた。まずはチェックインして部屋に荷物を置いてから遅い夕食に出かけた。
沖縄大衆食堂「三笠 久米店」でポーク玉子を食べる
食事は旅行前に目処はつけていた。ホテルから歩いて数分のところにある「三笠 久米店」という沖縄大衆食堂である。「三笠」と言えば「三笠 松山店」が有名なのだが、この「三笠 久米店」は系列店でもなんでもないとのこと。たまたま同じ店名ということである。この店を選んだのは値段と料理、そして24時間営業という便の良さをかってのことだった。
ここでオリオンビールとポーク玉子を注文した。沖縄に来たら食べたい料理はいろいろあって目移りしていたが、結局ポーク玉子にしてみた。飛行機の移動で疲れた体にはオリオンビールとポーク玉子は美味しかった。
2023年10月7日
首里城復元の様子を見学
首里劇場 最後の内覧会は午後開催なので、午前中は時間があった。去年の時にも観光したが、今回も首里城を観光することにした。去年と違うのは、消失した首里城正殿の復元の様子が間近で見られるという点と、お土産コーナーに首里城復元の時に出た廃材を使った檜のスティックが限定で売られているので、それを目当てに行ったのである。土曜日だというのに首里城正殿の工事現場は動いていて、関係者が図面を書いていたし、すでに一部支柱は立ち始めていた。お土産の檜の廃材のスティックも買えたので、それだけで満足。去年見に来た時に写真や動画はたくさん撮ったので、今回は工事現場程度しか撮らなかった。
10月31日閉店の沖縄大衆食堂「あやぐ食堂」でゆし豆腐定食を食べる
首里城を見学した後、少し休憩し、11時過ぎに首里の沖縄大衆食堂「あやぐ食堂」に向かった。Xでこの食堂が2023年10月31日をもって閉店になると聞いたからである。材料費の高騰でメニューの値段と釣り合わず、閉店を決意したという。ネットでは閉店を惜しむ声が数多く聞かれていたので、僕もいい機会だからと店舗に向かったが、見通しが甘かった。入店を待つ人の行列がすでに出来ていて、結局入店まで1時間かかってしまったのである。店舗で食事する人もいるのだが、テイクアウトの客も多く、厨房は大忙しだった。僕は「ゆし豆腐定食」を頼んだが、ご飯にゆし豆腐、刺身、チキンカツ、マカロニサラダ、キャベツの千切り、たくあんと、すごいボリュームだった。そして、味は良かった。ゆし豆腐のうまさが胃に沁みた。
首里劇場 最後の内覧会
「あやぐ食堂」で予想外に時間を食ったので、首里劇場の最後の内覧会は、オープン時間の13:00ちょうどに行くことになった。で、首里劇場の近くまで行ってびっくり。ものすごい人だかりである。首里劇場調査団の方々がXや沖縄のマスコミに対して宣伝を繰り広げていたのは知ってはいたが、ここまで人が集まるとは思いもしなかった。それでもなんとか外観から内観、様々な宣伝看板、ステージ、幕など歴史を感じさせる代物をしっかり写真とビデオに収めた。僕自身も自分が客席に座っている写真を撮ってもらい、いい記念になった。
多くの人のいる中、Xでたまに「いいね」をいただく平良竜次さんと當間早志監督、「やちむん」の奈須重樹さんにお声がけをし、いくつかの世間話を交わさせてもらった。僕が福岡から行く、ということはXで告知していたので、なんとなく三名の方々も認識していただいていたようである。那覇やその周辺に住む方々が見学に来るのならわかるのだが、沖縄県外から見に来る人は多くはないので、印象に残っているようであった。でも、お三方も見学者が多すぎで会場コントロールできない感じで、パンク気味に感じられた。
當間早志監督と会話している中で、映画「一生売れない心の準備はできてるか」の舞台裏話で、映画に登場する女性ダンサーのジーナさんが、首里劇場のあまりに汚いトイレを平然と用を足しに使った、という話や、ステージが2016年のライブの時からすでに破損していて、奈須重樹さんやジーナさんがよく転ばずステージングできたな、と言った話も聞けて、かなり興味深かった。確かに首里劇場のトイレは汲み取り式なのでかなり汚い。僕も実際に見て、「これはすごい…」と驚いたほどなのて、ここを平然と使えるしかも女性がいたことにびっくりである。
14:30からは當間監督、奈須重樹主演の映画「一生売れない心の準備はできているか」の宣伝も兼ねて、なんと首里劇場で奈須重樹さんがギター一本の弾き語りでステージを披露した。「まるで名画座のように」という新曲で、首里劇場を歌った歌である。SNS拡散OKの声をいただいたので、iPhoneで演奏をビデオ録画させていただいた。
僕が見学している時にスタッフの方の話を聞くと、14:20現在ですでに300人もの見学者がいた、とのことで「そんなに首里劇場の最後の内覧会に見に来た人いたの?」と驚いたのだが、18:00の終了後のXでのポストを見ると、トータルで1169人の来場者があったそうである。来場者もそうだが、沖縄のテレビ局も総集結して取材を繰り広げており、劇場の内外をじっくり撮影したり、見学者にインタビューを敢行したりして、結構熱気に溢れていた。僕はインタビューは受けなかったし、沖縄のテレビ局のニュースも見ていないので、どうだったのかわからないが、多分YouTubeにニュースが掲載される可能性はあるので、掲載されたら見てみようかと思う。少なくとも、10月8日付の琉球新報では、ニュースとして記事が掲載されていた。
A&W国際通り店で休憩
奈須重樹さんのステージが終わったら、首里劇場を後にして、県庁前のA&Wに向かった。「あやぐ食堂」の1時間入店待ちと、首里劇場見学でかなり疲労したので、ルートビアおかわりで休憩しようと思ったのである。幸い店内は空いていたので、FaceBook等に書き込みしながら、ルートビアを3杯も飲んでしまった。かなり水分が体の中から抜け去っていたので、ルートビアのおかわりサービスは助かった。
「一生売れない心の準備はできてるか」をシネマパレットで鑑賞
夕方、久茂地にあるパレットくもじの9階にある映画館「シネマパレット」に足を向けた。2023年9月22日から当初2週間限定で、首里劇場を舞台に開催された2016年のやちむんのライブと奈須重樹さんへのインタビューで構成された音楽ドキュメンタリー映画「一生売れない心の準備はできているか」を上映していたのだが、これが1週間上映延長して、10月12日まで上映されることになったのである。この話が出たのも2-3日前で、首里劇場 最後の内覧会を見学して、かつその首里劇場が舞台の映画を見られる、という幸運に胸躍らさせていた。映画そのものは2022年の秋に福岡で一回観ているが、今回普通の映画館上映にあたり、映倫の認可を受けて、かつ映像をBD-RからDCPに変換し、音響も2chステレオから擬似的に4.0chサラウンドにアップグレードしていて、より映画らしくなっていた。そして、映像本編も2022年に見た時より字幕が増えて、バンドメンバーの氏名が表示されたり、バックグラウンドの説明が入っていたりして、さらに改善されていた。
お客もほとんどが首里劇場 最後の内覧会に参加した人ばかりで、大いに楽しんだのではないかと思う。僕も2回目の鑑賞だが、やはり優れた音楽ドキュメンタリー映画だと思う。
映画が終わった後、當間早志監督と、奈須重樹さんが舞台挨拶をして、奈須重樹さんはミニライブで3曲歌った。當間早志監督は、「当初はやちむんのライブの記録のつもりで映像を撮影したのですが、首里劇場解体の話の運びになって、別の意味合いを持つ映画になってしまいました。記録するのは大切だと思います。」という趣旨の話をされていた。奈須重樹さんのミニライブは3曲披露された。楽曲は以下の通りである。
- やっぱり蜜が好き
- 恋とライブと弁当は足りないぐらいが丁度いい
- まるで名画座のように
舞台挨拶とミニライブは写真、動画撮影OKだったし、SNSの拡散もOKとの話だったので、一部撮影させていただいた。舞台挨拶とミニライブも終わり、映画鑑賞は終わった。出口で當間早志監督と、奈須重樹さんと少し会話出来、クリエイターとのやりとりで感銘受けるところがあった。
再び夕食は「三笠 久米店」で味噌汁を食べる
映画が終わったのが19:15ぐらいで夕食どうしようと思ったが、どこか店探すのに疲れたので、前日と同じく「三笠 久米店」に足を向けた。前日に気になったのに食べなかった味噌汁を食べようと思ったのである。沖縄で味噌汁とメニューにあったら、ラーメン丼のような器に野菜やポーク、落とし卵などがてんこ盛りで入っているかなり量の多い代物である。日本本土の味噌汁の基準で考えると、驚く代物である。疲れたのでオリオンビールと味噌汁で夕食を済ませ、満足した。味噌汁は結構美味しい。
2023年10月8日
夏の沖縄から初冬の福岡に帰宅
10月6日に那覇に着いた時に、「10月8日は那覇大綱挽が開催されます」というポスターを見て、「しまった。10月8日の帰りの飛行機を朝の便じゃなくて、夕方の便にすればよかった。」と思ったのだが、時すでに遅し。残念なことに那覇大綱挽は見学できなかった。ただ、10月7日の首里一帯の見学や映画を見たりしたことで、結構体力的に疲労がきていたので、朝の便で福岡に帰るのは、ちょうどいいとは思っている。
帰りの便は那覇を9:40に出発する便だったのだが、何を勘違いしたのか、9:20出発だと思っていて、ホテルを8:00前にチェックアウトし、那覇空港に向かってしまった。那覇空港で飛行機のチェックインをして、ようやく出発時間が9:40だと気づく始末。
空港ラウンジに行こうかとも思ったが、若干時間的に中途半端なこともあり、手荷物検査場をさっさと通り過ぎ、搭乗ゲート付近の席でラジオ局にメールを書いて時間を潰していた。
その後、トイレに行ったり、お土産屋で沖縄の塩を買ったりしているうちに、搭乗時間がきて、Peach Aviationの福岡空港行きの便に搭乗した。連休の中日の朝の便ではあるが、搭乗客はかなり多い。若干空席もあったようだが、満席に近かった。
飛行機は予定時間通りに離陸し、順調に飛行していった。飛行機の中で昨日撮影した写真や動画をずっとチェックしていたが、割りとうまく撮影できていたので、ホッとする。
福岡空港には11:30に到着。外気温が16度しかなく、那覇の30度と比較して14度も低いので愕然とする。雨も降っていて、最後だけちょっとがっかり。天気予報では10月7日の那覇の天気は雨が降り続く、という予報だったので、10月7日の実際の天気は薄日も差す曇り空で推移したのは、幸運だった。雨も降ったみたいだが、「一生売れない心の準備はできてるか」を見ている時だったようなので、影響はなかったし。
福岡空港から地下鉄に乗って自宅に帰宅。無事旅行から帰ってこられたので、一安心した。今回の旅行は出発のわずか2週間前に手配をしたので手間はかかったし、費用もかかってはいるが、良い体験をしたと思っている。
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