DAYS of HEAVEN(4K UHD Blu-ray/CRITERION)|天国の日々|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
邦題 | 天国の日々 | |
レーベル | CRITERION COLLECTION | |
制作年度 | 1978年 | |
上映時間 | 94分 | |
監督 | テレンス・マリック | |
出演 | リチャード・ギア、ブルック・アダムス、サム・シェパード | |
画面 | 1.85:1/DOLBY VISION | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語 | |
字幕 | 英語 |
あらすじ
1910年代半ばのシカゴでビルは鉄工所で働いていた。しかし、仕事をめぐって鉄工所の現場監督と揉めて彼を殺してしまう。
ビルはガールフレンドのアビーと幼い妹のリンダと共にシカゴを離れて、テキサスの広大な農場に逃亡する。
テキサスの広大な農場は穀物の収穫期を迎えていて、アメリカ各地から穀物を収穫する農民を集めていた。ビルも穀物を収穫する農民の一人となり、農場で働いて賃金を得ることになる。
農場に集まった農民の一人である若者は、アビーに気があり、彼女と交際するようになっていく。アビーはビルとの関係に苦しんでいくことになる。
農場の収穫期は終わりを告げ、農民たちも賃金をもらって故郷に帰っていく。しかし、ビルとアビー、リンダ、若い農民は農場にとどまった。
アビーと若い農民は結婚をするが、アビーとビルの関係は切れなかった。ビルと若い農民の間には緊張感が走り、ビルは若い農民に対して殺意を抱く。
季節は流れ、再び農場では穀物の収穫期を迎えて、各地から農民をかき集めていた。しかし、この年は穀物に害虫が大量発生し、穀物を食い潰そうとしていた。農民たちは害虫を駆除しようとするのだが、その結果穀物に火が燃え移ってしまい、農場は火焔の炎に包まれる。その時にビルと若い農民の間に取り返しのつかない事件が起きる。
レビュー
哲学的な映画を取ることで知られるテレンス・マリックが1978年に制作した映画が、この「天国の日々」です。1978年のアカデミー賞で撮影賞を受賞した作品であり、興行収入は制作費をかろうじて上回る成績を残しています。評価は高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は94%、観客評価も89%と好成績を上げています。
物語は、1910年代半ばにシカゴで人を殺したビルとその妹、ガールフレンドがテキサスの農場に逃げ込み、そこで穀物の収穫をすることで人生をやり直す話ではありますが、哲学的な映画を作ることに長けているテレンス・マリックですので、物語の筋よりはテキサスの広大な風景をじっくりと描き、その広大な自然の中で右往左往するちっぽけな人間の営みを浮かび上がらせる描写にしています。
物語はビルの妹であるリンダのモノローグによって進められていて、登場人物に感情移入するような設定にはなっていません。あくまでテキサスの大自然の中での登場人物の行為を突き放したかのような映像表現でストーリーを語っています。
物語自体はシカゴの鉄工所で現場監督を殺めたビルがテキサスの農場に逃げ込み、そこで生活のやり直しを図るという内容ですが、それにビルのガールフレンドであるアビーとテキサスの農場にいた若い農民との間に恋が芽生え、ビル、アビー、若い農民の三角関係を描くという絡みも含めています。ただ、人を殺めたビルの罪の意識の描写は強くは描かれず、ビルとアビー、若い農民の三角関係も第三者的視点で描かれるために、感情移入できないようになっています。
映画の本筋はテキサスの大自然を緻密に描写することに主観が置かれていて、それは完全に成功しています。特にシーンの多くが夕暮れ時であることから、日が沈む時の淡い光の輝きの描写は素晴らしいものがあり、映像美に酔いしれるところはあります。
この作品は、ドラマ部分よりは映像に対する没入感を与えることに主眼が置かれていて、そのために視聴者は素晴らしい映像に取り込まれていきます。映像に対する没入感は半端ではないと言えます。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターは35mmフィルムですが、監督であるテレンス・マリックやカメラオペレーターであったジョン・ベイリー、編集者のビリー・ウェーバーの監修の元テレシネを行っていて、ネイティヴ4Kで収録されています。テキサスの大自然の描写は35mmのフイルムの限界解像度まで表現されていて、高精細です。フイルムグレインはほぼ現れず、クリアな映像を堪能できます。DOLBY VISIONによるカラーグレーディングも素晴らしく、前述の夕暮れ時のわずかな光の輝きの描写は驚嘆するところです。
音響はdts-HD MA 5.1chで収録されています。オリジナルはDOLBY STEREO 4.1chですのでリミックスされています。基本は視聴者の前方で音の配置や移動がされることの多いサラウンドですが、シーンによっては視聴者の後方にも音像が移動する場面もあります。また、これもシーンによりますが重低音が響き渡る場面もあり、5.1ch化した恩恵はあります。
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