CIVIL WAR(4K UHD Blu-ray)|シビル・ウォー アメリカ最後の日|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
邦題 | シビル・ウォー アメリカ最後の日 | |
レーベル | LIONSGATE ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2024年 | |
上映時間 | 109分 | |
監督 | アレックス・ガーランド | |
出演 | キルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、ケイリー・スピーニー | |
画面 | 1.85:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語/DOLBY DIGITAL 5.1ch スペイン語 | |
字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
アメリカが2つに分裂し、大統領のいる側と、テキサス・カリフォルニア連合軍が率いるウエスタン・フロント側とで内戦が繰り広げられていた。ジャーナリストであるリーとジョエル、サミーは、大統領に単独インタビューを敢行しようとしていた。そのためニューヨークからワシントンD.C.に向けて車で移動を開始する。
リーたちジャーナリストには、ジェシーという若い女性も参加していた。ジェシーは群衆が水を求めて暴動を起こした際にリーによって助けられ、それに恩義を感じてワシントンD.C.への旅に同行する決意をしていたのである。ジェシーもカメラマンであったが、リーのようにどんな状況でも沈着冷静に写真を撮る技を持ち合わせていなかった。
リーたちは内戦の続くアメリカを縦断していく。あちらこちらで内戦に遭遇し、そ度に生命の危機に陥るリーたちだったが、リーはどんな時でも写真を撮り続け、それに感化されていったジェシーも次第に内戦を写真に撮る術を学んでいく。
旅の途中で同じくジャーナリストのトニーがリーたちを追い越していく。トニーの車に乗り移ったジェシーだったが、途中で大統領側の兵士に囚われてしまう。リーたちもその場に遭遇し、兵士との諍いを解消しようとするが、兵士は「どのアメリカ人なんだ?」と痛烈にどちらの側についているかを見極め、トニーは殺されてしまう。リーやジョエル、ジェシーも兵士に殺されそうになるが、サミーの機転により、命を助けられる。しかし、その行動のせいでサミーは死亡してしまう。
サミーを失ったことで意気消沈するリーたちだった。彼女たちはフロントラインに到着するが、すでにウエスタンフロントは大統領のいるワシントンD.C.を攻撃すべく準備していた。内戦はすでにウエスタンフロント優勢で進み、大統領の命を奪うことで勝利しようとしていた。
レビュー
「エクス・マキナ」や「アナイアレイション-全滅領域-」などで知られるアレックス・ガーランド監督の新作が、この「シビル・ウォー アメリカ最後の日」です。映画通を唸らせる作品を次々に量産しているA24が過去最高の制作費を投じた作品であります。興行収入としては制作費は上回っていますので成功作といえます。評価は水準よりは高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は81%、観客評価は70%をマークしています。
物語は架空のアメリカを舞台にしていますが、現実のアメリカ自体がトランプ元大統領の政策によって国内が二分化されてしまっている現実を知ってしまいますと、この映画で描かれるアメリカ国内の内戦が実は架空の話ではなく、真実の話に見えてきてしまうところに恐ろしさを覚えるところです。この映画を鑑賞した2024年10月6日現在は次期大統領選挙に向けての選挙戦が繰り広げられていますが、トランプ元大統領が再び大統領になるべく活動していますので、再びアメリカ国内が民主党側と共和党側に分裂してしまい、国内情勢が不安定化している状況にあります。
映画の中で描かれる大統領はまさにトランプ元大統領を擬人化したようなキャラであり、逆にテキサス・カリフォルニア連合軍のウエスタン・フロントは民主党的組織のように見えてきてしまいます。現実における共和党対民主党の対立が、映画の中では実際の内戦として描かれているところに、リアリティを感じるところであります。
映画では、リーが主人公として描かれていますが、実はジェシーの存在が次第に大きくなっていきます。ジェシーは最終的には主人公なのでは? と思わせる存在に成り上がっていきます。リーはジャーナリストでありながら、最後の大統領側とウエスタン・フロント側との内戦状態では何もできない状態に陥ってしまいます。その対比としてジェシーがジャーナリストとして活躍していますので、その描写から、主人公の変更を感じ取りました。
この映画は妙にリアルな描写に長けていますが、BGMがあまり流れないところに要因がありそうです。映画の中でボーカル入りの歌は数多く流れるのですが、それは映画の演出を盛り上げる要素ではありません。緊迫した内戦の様子はセリフと効果音だけで展開されています。そのため、ドキュメンタリー的演出で描写されています。また、リーやジェシーが撮影した写真のカットも随所に挿入されますので、それもドキュメンタリー的演出を強く感じさせるものになっています。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。DIは4Kでまとめられていますので、ネイティヴ4Kでの収録になっています。ネイティヴ4Kですので、映像は高精細であり、アメリカの広大な国土をあますところなく描写しています。また、DOLBY VISIONによる色彩表現も明るい画面が多いこともあって、現実的な描写に徹した映像表現になっています。そのため、臨場感を高める効果を発揮しています。最近では珍しい1.85:1のビスタサイズでの提供ですので、アメリカの広大なランドスケープが堪能できます。
音響はDOLBY ATMOSでミックスされています。無音の状態が多いので、DOLBY ATMOSのミックスで効果があるのかという疑問も残るのですが、内戦のシーンでは銃撃音が視聴者の周囲で弾け飛びますし、車やヘリコプター、砲弾の移動シーンではオブジェクトが臨場感豊かに移動しているのが確認できます。特に、内戦のシーンでは、頭上を含めた包囲感が抜群であり、恐怖を感じる音場になっています。
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