YOUNG GUNS(4K UHD Blu-ray)|ヤングガン|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
邦題 | ヤングガン | |
レーベル | LIONSGATE ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 1988年 | |
上映時間 | 102分 | |
監督 | クリストファー・ケイン | |
出演 | エミリオ・エステヴェス、キーファー・サザーランド、ルー・ダイアモンド・フィリップス | |
画面 | 1.85:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語/PCM 2.0ch 英語 | |
字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
ニュー・メキシコのリンカーン郡で、牧場主のタンストールは追っ手から逃げるウイリアムという若者を匿う。タンストールは、学がない若者を自分の牧場に住まわせ、教育を施していた。タンストールの元に集う若者たちはレギュレーターと自らを呼び、ディックをリーダーにして、ドクやチャヴェス、チャーリー、スティーヴといった面々がいた。
レギュレーターのメンバーになったウイリアムだったが、彼の他人に対する反応は異常だった。誰に対してもすぐに拳銃を向けるのである。しかし、学はあるようで新聞の朗読は難なくこなせた。
新年の集いに出たレギュレーターたちは集いを楽しんでいた。ドクは中国人情婦であるイエンに一目惚れしてアプローチをかけるが、イエンはタンストールに敵対する牧場主、マーフィーのもとで働いていた。
そんなある日、タンストールの元にマーフィーの元にいた若者が逃げてくる。タンストールは彼もレギュレーターの仲間の一人に加えるが、程なくタンストールは、マーフィー一味の襲撃にあい、暗殺されてしまう。
悲しみにくれるレギュレーターは、タンストールの仇を打つ決意をする。そして復讐を始めるのだったが、ウイリアムが血気盛んにマーフィー一味を殺しまくるので、レギュレーターの立場が危うくなってくる。
逆にマーフィーはレギュレーターを抹殺しようと殺し屋を送り込み、殺し屋との戦いの中、リーダーであったディックは死亡してしまう。
ディックを失ったレギュレーターは、ウイリアムに引きずられるようにマーフィーへの復讐に走るが、彼らをサポートしてきたアレックスもマーフィーに狙われているのを知って、アレックスの家に駆け込む。しかし、それはマーフィーの罠であり、レギュレーターを抹殺するために一カ所に集めたのだった。ピンチに陥るレギュレーターだったが、ウイリアムだけはアドレナリン放出でマーフィーの罠を切り抜けようとしていた。
レビュー
1988年当時、人気若手俳優たちを出演させ、絶滅寸前になっていた西部劇を復活させたのが、この「ヤングガン」です。制作費に対して興行収入は3.5倍近い金額を叩き出し、成功の部類に入っています。しかし、映画の評価としては思ったほど高くなく、Rotten Tomatoesの批評家評価は43%と腐っています。観客評価は76%なので一般観客は楽しんで映画を見たことになりますが、映画批評家の間では低評価の烙印を押されています。
映画は、西部劇で有名なキャラクター、ビリー・ザ・キッドとその仲間たちが、自分たちを教育してくれていた牧場主のタンストールが敵対するマーフィーの一味に殺されたことで復讐を図る、という展開になっています。ビリー・ザ・キッドの話自体は実在の人物の話ですので、この映画の内容のうち幾分かは史実通りなのでしょうが、ビリー・ザ・キッドことウイリアム以外のキャラクターはどこまで史実通りなのかわからない部分はあります。
西部劇の復活を宣言した映画として有名ですが、その一方でこの映画はウイリアムとレギュレーターたちの青春映画としても成立しています。ウイリアムは別にして、レギュレーターのメンバーたちの恋愛模様とか、女性関係の話とかが描かれているので、西部劇で自分を養ってくれていた牧場主の死に対する復讐を図るという部分以外は、若者の青春をうまく取り込めた作品になっています。
ウイリアムを演じたエミリオ・エステヴェスは、実在のビリー・ザ・キッドに一番近いキャラクターになっている、と言われていて、そのウイリアムの狂気に満ちた佇まいは、痛烈な印象を残します。ウイリアムの行動が原因で事態が悪化していっているようにも見えますので、人物的に問題がある人だと思われても仕方ないです。逆にレギュレーターのリーダーであるディックがまともな人なので、ウイリアムとの対立は当然起こりうる話であり、そのディックが途中で死んでしまうことから、レギュレーターがウイリアムに引きずられていく様は、狂った展開だと言わざるを得ません。
映画は実在の事件である、リンカーン郡の戦いと称されるレギュレーターとマーフィー一味の戦いをクライマックスで描いていますが、絶体絶命のレギュレーターがどのようにピンチを切り抜けるのか、どのキャラクターが生き延びて、どのキャラクターが命を落とすのか、といった手に汗握る展開になっています。当然、ウイリアムは別の時点で命を落とす歴史がありますので、この映画のクライマックスでは生き延びるのですが、ウイリアムの気が狂ったかのような活躍は、キャラの凄みを感じさせるものがあります。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターは35mmフィルムですので、ネイティヴ4Kでの収録になります。ただ、4K解像度ではありますが、マスターであるフィルムの状態にもよるのでしょうが、精彩感のあるシーンと映像が甘いシーンが混在しています。フィルムグレインは極小なので、ノイズリダクションのかけすぎが原因のようにも感じられます。DOLBY VISIONによる色彩表現は、コントラストが高く、昼間のニュー・メキシコの太陽の下での影の表現が、通常だと潰れそうなところをDOLBY VISIONの効果により潰れずにディテールが再現されているところに効果を感じます。ニュー・メキシコという乾いた土地の描写のせいか、ドライな映像です。
音響はDOLBY ATMOSにミックスされ直されたサウンドトラックを持っています。オリジナルのDOLBY STEREO音源も収録されていますが、今回はDOLBY ATMOSのサウンドトラックで視聴しました。1988年の3-1サラウンドの音源を三次元の空間に広げるという作業は大変だっただろうと思いますが、拳銃の発砲音の広がり感や、ガラスの割れる音の臨場感、何もない大地での鳥の鳴き声の頭上方向への広がり感など、かなり丁寧にミックスをし直している感覚を受けます。オブジェクトになっている馬や野良犬の移動感や配置もナチュラルで、映画に没入しやすくなっています。
なお、この「ヤングガン」の輸入盤DVDでのレビューも掲載しています。よろしかったら一読ください。
コメント