STAR TREK:GENERATIONS(4K UHD Blu-ray)|ジェネレーションズ/STAR TREK|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
邦題 | ジェネレーションズ/STAR TREK | |
レーベル | PARAMOUNT PICTURES HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 1994年 | |
上映時間 | 117分 | |
監督 | デヴィッド・カーソン | |
出演 | パトリック・スチュワート、ジョナサン・フレイクス、ブレント・スパイナー | |
画面 | 2.39:1/DOLBY VISION | |
音声 | Dolby TrueHD 7.1ch 英語/Dolby TrueHD 5.1ch ドイツ語/Dolby Digital 5.1ch スペイン語、フランス語、日本語 | |
字幕 | 英語、フランス語、ドイツ語、日本語、スペイン語、デンマーク語、オランダ語、フィンランド語、ノルウェー語 |
あらすじ
23世紀。カークが船長を務めない新しいエンタープライズBが進水式を迎えた。カーク、チェコフ、スコットはエンタープライズBの進水式に呼ばれた。そして、スペースドッグを出航するのだが、緊急通信が入る。避難船がネクサスと呼ばれるエネルギーリボンにつかまって、遭難寸前だったのである。艦の装備が万全ではないエンタープライズBは、救難信号を他の船に任せようとするが、他の船は近くにおらず、エンタープライズBが救助に赴く。しかし、エネルギーリボンの力場は強く、避難船は木っ端微塵に爆発してしまい、救助できた難民はごくわずかだった。エンタープライズBの艦長、ハリマンは明らかに艦長としての力量が不足していて、カークが現場で臨機応変に対応するが、エンタープライズB自体もエネルギーリボンに捕まって脱出できなくなる。それをスコットが脱出方法を考えだし、カークがそれを実行することでエンタープライズBはエネルギーリボンから脱出できるのだが、その際の事故でカークの生死は不明になる。また、エネルギーリボンから逃れた難民の中には、「ネクサスに帰してくれ」と要望するものが現れた。その中にはガイナンもいた。
それから78年後の24世紀、エンタープライズDの中ではウォーフの少佐昇進祝いを取り行っていたが、ピカードは個人的に入った通信を目にして、自分の殻に閉じこもる。ピカードの肉親である兄と甥のレネが火事で死亡したというのである。肉親を失ったことで、ピカードの血筋は自分が最後になり、心を閉ざしてしまったのである。
その最中、アマゴサ星系の観測基地が何者かに襲われた。エンタープライズDはそばに駆けつけ、調査を開始する。観測基地にはソランという学者が生存していた。しかし、ソランは何か隠していた。観測基地にはトライリチウムという物質が隠されていて、ロミュランの死体もあった。
エンタープライズDのアンドロイドであるデータ少佐は、ウォーフの昇進祝いで粗相をしでかしたことで、自分には感情を持つことが必要と悟り、感情を持つことのできるチップを頭脳に埋め込む。当初はチップのおかげで感情というものを楽しんでいたデータだったが、次第に感情の波に飲み込まれ、制御できなくなる。制御できない感情の波の中、ラフォージと観測基地の調査をしていたデータは、ソランの攻撃を受け、何もできないままラフォージを誘拐されてしまう。そして、ソランはアマゴサ星系をトライリチウムの入った魚雷で破壊する。
ソランには何か狙いがあると考えたピカードは、感情のコントロールのできないデータを叱咤しながら、ソランの企みを検討する。ソランは23世紀に遭遇したネクサスと呼ばれるエネルギーリボンの進行コースを変えて、自分が再びネクサスに取り込まれることを望んでいた。しかし、そのためには惑星系を破壊し、2億人以上の住民をも巻き添えにする行為だった。それを阻止するべく、ソランの狙いであるベリディアン3号星に向かう。
ソランはクリンゴンと手を組んで、ベリディアン3号星に来ていた。クリンゴンはトライリチウムを手に入れるのが目的でソランに協力していたのである。そこにエンタープライズDも現れ、誘拐されたラフォージと引き換えにピカードはクリンゴン船に乗り移る。そして、ピカードはソランの野望を止めるべく、惑星に降りてソランと交渉を始めるが、ソランの決意は堅かった。
エンタープライズに帰ったラフォージだったが、ソランの手によってバイザーに細工がされていて、エンタープライズDのシールド周波数がクリンゴンにバレてしまい、エンタープライズDはクリンゴンの攻撃を受ける。辛くもクリンゴン船を撃破したエンタープライズDだったが大破してしまい、惑星に不時着せざるを得なくなる。
ソランの野望を止めようと奮闘するピカードだったが、野望の阻止はできず、ソランと共にネクサスに取り込まれ、星系は木っ端微塵になり、2億人の住民も犠牲になる。ピカードはネクサスに取り込まれて自分が経験できなかった家族を持つという体験をするが、幻であることを悟り、ソランの野望をもう一度止めようと考える。そのためには生死不明だったネクサスに取り込まれたカークの力が必要だった。
レビュー
人気テレビドラマ「新スター・トレック:ザ・ネクスト・ジェネレーション」の劇場用作品の第1作が、この「ジェネレーションズ/STAR TREK」です。テレビドラマ終了後すぐに制作され、劇場公開された作品であり、興行収入は製作費の倍以上を稼ぎ出しています。ただ、評価はあまり芳しくはなく、Rotten Tomatoesの批評家評価は47%、観客評価も57%と低迷しています。
テレビドラマの放送終了後直後に制作された映画という事もあるのでしょうが、合計4本制作された「新スター・トレック:ザ・ネクスト・ジェネレーション」の劇場用映画の中で、最もテレビドラマの雰囲気に近いテイストの作品になっているのが特徴です。その関係もあってか、登場するキャラクターや設定がテレビドラマから引き続きの部分が多く、一見さんにはわかりづらい物語になっています。エンタープライズがBが登場したり、Dが登場したり、クリンゴンとの敵対関係とか、テレビドラマを見ていて「スター・トレック」の世界観を理解していないと、物語についていけない部分が多分にあります。
ただ、「スター・トレック:宇宙大作戦」の主役であったカーク船長が物語のキーポイントになり、ピカード艦長と共同戦線を張って、ベリディアン3号星を破壊しようと目論むソラン博士の野望を食い止めるという展開は、時空を超えた共演になり、見どころは豊富です。今回、カーク船長が殉職してしまうのは、「スター・トレック」の時代が変わっていく象徴とも言え、当時のファンの間では賛否両論でしたが、劇場公開30周年を迎えて改めて鑑賞しますと、その後の「スター・トレック」のフランチャイズも含め、カーク船長の殉職は納得できるものになっています。
物語的には、人生のやり直し、または失った家族の絆というものにフォーカスを当てたストーリーになっています。ネクサスというエネルギーリボンの中では、時間も空間も自分の意思のまま変更できる場所ですので、自分の望む世界が実現しますが、それが本当に幸せな世界なのか、という問いかけをしています。ソランはその世界に戻ることを望んでいたため、何億人という人々を犠牲にしてもネクサスに行こうとしますが、ネクサスを体験したカークにしろ、ピカードにしろ、艦隊の誓いや自身の信念というものを大切にして、ネクサスでの出来事は幻であり、自分の人生に実際に起きたことではない、と認識して現実を大切にしようとしています。現実に起きた楽しいことも悲しいことも全てをありのまま受け入れていくのが人生である、という真理に近いようなテーマがこの映画には見え隠れしています。
また、今回の映画では人気キャラクターのデータ少佐が感情というものを持ち、それに振り回されてしまうところが面白い部分でもあると同時に、まさに人間が持つ感情の複雑さを端的に示しています。そのデータ少佐も最後は感情との折り合いをつけられるようになっていくところは、見どころの一つでしょう。テレビドラマを通じて、データ少佐は人間になりたがるピノキオ的存在なのですが、彼の成長を描くことで「人間とは何か」という哲学的問いかけを放っています。
今作はテレビドラマではなく映画ですので、予算のかけ方が違い、迫力のあるSFXシーンは多数あります。また、テレビドラマ版で大活躍をした主役宇宙艦、エンタープライズDが初めてスクリーンに登場し、この1作だけでスクリーンから姿を消す重要な作品でもあります。次作以降は新型のエンタープライズEがスクリーンに登場しますし、エンタープライズDが再び勇姿を見せるのは、配信ドラマの「スター・トレック:ピカード」の最終シーズンまで待たされることになります。エンタープライズDと同型の艦は「スター・トレック:ディープ・スペース・ナイン」にしばしば登場していましたが。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。4K UHD Blu-rayを作るにあたって35mmフィルムマスターから4KのDIを作成したとIMDbにありますので、ネイティヴ4Kでの収録になっています。35mmフィルムの解像度の限界があるためでしょうが、映像が少し甘いです。グレインノイズはわずかで、気になる程ではありません。DOLBY VISIONによる色彩管理は、フィルム特有の色合いの再現に貢献していて、極端な明暗さはありませんが、映画のフィルムを見ている感覚を感じさせてくれます。色彩もフィルムトーンで統一されています。
音響はDolby TrueHD 7.1chで収録されています。通常4K UHD Blu-rayはdts-HD MAで音響が収録されることが多いので、珍しい例だと思います。チャンネルベースのサラウンドでありますが、音の配置は視聴者の周囲を見事に取り巻くように設計されていて、見ていて没入感を味わえます。7.1chなので天井方向に音は存在しませんが、AVアンプの設定をDOLBY SURROUNDモードにすると、全般的にアンビエントな音響が天井方向にも伸びていて、音に包まれる感覚が強くなります。
なお、このディスクは全世界対応ディスクですので、ディスク再生時に日本語を選択すると、メニュー画面から日本語で表示され、字幕を日本語で選べたり、テレビドラマで人気のあった日本語吹き替えも収録されるという便利な仕様になっています。今回は英美音声、日本語字幕で見ましたが、機会があれば日本語吹き替え音声ででも鑑賞したいところです。
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