ダンケルク(4K UHD/iTunes Movies)
No Image | 原題 | DUNKIRK |
レーベル | WARNER BROS. HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2017年 | |
上演時間 | 106分 | |
監督 | クリストファー・ノーラン | |
出演 | フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ロウデン | |
画面 | 2.20:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY DIGITAL PLUS 5.1ch 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
第二次世界大戦の最中、イギリスとフランスの連合軍はドイツに押されていて、フランスのダンケルクまで撤退していた。彼らに残された道はドーバー海峡を渡ったイギリスに戻ることだったが、救援の駆逐艦はドイツ軍のUボートに撃沈され、援軍はなかなか来なかった。イギリスのチャーチル首相は民間の船まで動員して、イギリスの兵士を救援しようと企む。そして、その護衛として空軍のスピッツファイアーをダンケルクまで飛ばせる作戦にも出た。しかし、援軍を待つイギリス、フランス連合軍はドイツの攻撃に怯え、士気は落ちていた。
レビュー
デジタルカメラ全盛の時代に、フィルムによる映画製作にこだわるクリストファー・ノーラン監督が、70mmとIMAXでフィルム撮影を行い、第二次世界大戦のイギリスでは有名な「ダンケルクの戦い」を3つの時間軸を交錯させることで描き出したのが、この「ダンケルク」です。映画としては成功を収め、またIMAXフィルムで上映された劇場もあったことから、映画ファンの中にはフィルム上映を求めて海外まで出かけて鑑賞するという強行軍をこなした者までいたぐらいです。
映画は「ダンケルク」の連合国軍の撤退を描いたものになっていて、それが地上にいる兵隊の1週間、民間の船による救援の1日、空軍による援護を描いた1時間と、3つの時間軸が複雑に交錯していく描き方をしていて、単調になりがちな撤退を面白く描いているところがこの映画の特徴になっているかと思います。ただ、映画を見ている側としては同一の時間軸に見えてしまうところがあり、その辺が監督の意図したものではなかったかなと思います。
また、ダンケルクからの撤退をメインに描いているためか、ドイツ軍の攻撃が意外と少ない描き方をしていて、明確な登場シーンが割と少ないものとして描かれているのも特徴です。3つの時間軸の主人公たちもドイツ軍に追われたり、追いかけたりしているのですが、ドイツ人の姿が見えないため、その恐怖感は少ない感じがします。
兵士側の1週間の時間軸では主人公は絶えず逃げようと努力しますが、ようやく救援船に乗り込んだかと思えば、ドイツ軍に攻撃されて沈没し、またダンケルクの浜に戻ってきたりするのは、絶望感を表すものとして、インパクトがあるものになっています。有名俳優が演じているわけでもないので、主人公たちが名もない一兵士であるという立ち位置が明確になり、その脱出劇がインパクトあるものになっています。
民間船の1日の時間軸では、イギリス船のダンケルクまでに向かう道筋が描かれますが、途中で沈没した船から生き延びた兵士がダンケルクに向かうことを明確に拒否し、そのために悲劇が起こるところがリアリティあると思います。この兵士の強迫観念がとても印象深く、彼のとった行動により悲劇が起こる様は現実的な描写をしていると思います。
空軍によるダンケルク援護の1時間は、イギリス機とドイツ機のドッグファイトがメインの話になりますが、これも本物の飛行機を飛ばして撮影しているところと、フィルム撮影しているところで現実感があり、イギリス機が次々に撃墜されていく様は、「ダンケルク救援に間に合うのか?」というスリル感を味合わせています。
映像は4K UHDでかつDOLBY VISIONで収録されていますが、どうも4K UHD Blu-rayとはマスターが違うようで、iTunes Moviesの配信版はIMAXシーンのフルスクリーン収録をせず、2.20:1の70mmフィルム画角で収録されています。とはいうものの、元が解像度の高いフィルムなので、映像は素晴らしい解像度を誇り、臨場感が最高に味わうことができます。色合いは原色がくっきりはっきり出ているような色調をしていて、DOLBY VISIONのハイコントラストな映像と相まって、映像に取り込まれるような感覚を味わうことができます。音響はDOLBY DIGITAL PLUS 5.1chでの収録なのですが、かなり空間的サラウンドをなしていて、音が視聴者を包み込むようなデザインをしています。音量自体はかなり小さいのですが、ボリュームを上げて視聴すると音が漂う感触を味わえます。
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