ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019)(4K UHD/iTunes Movies)
No Image | 原題 | LITTLE WOMEN |
レーベル | SONY PICTURES HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2019年 | |
上演時間 | 135分 | |
監督 | グレタ・ガーウィグ | |
出演 | シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、フローレンス・ピュー | |
画面 | 1.85:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
南北戦争中のアメリカ、マーチ家の次女ジョーは、小説家になって一家の稼ぎを引き受けようと、小説を出版社に持ち込む。編集長は彼女の短編小説を読み、いくつかの修正を施したあと、買い取ることにする。マーチ家は、父が南北戦争の北軍に従軍牧師として参戦していて、家には母親と4人の娘、メグ、ジョー、ベス、エイミーが健気に生活していた。彼女たちは仲良く暮らしながら、父の帰りを待っていた。そして、マーチ家の4姉妹に男性たちが接近し、淡い恋を実らせていたりもしていた。しかし、ジョーは当時としては珍しく、女性が活躍できる場を求めて、ローリーの求愛を拒み、小説家として生計を立てていこうと決めていた。ある時、マーチ家の父が家に戻り、家族が賑やかになる。そして、ベスは近所の貧しい家に食料を届けに行き、猩紅熱にかかってしまう。病気のため、若くして命を落とすベスだった。エイミーは叔母と共にヨーロッパに修行に行き、ローリーと結婚する。メグは社交界で出会った男性と結婚する。ジョーはその様子を見て、自身の体験を元にした長編小説を書き、出版社の編集長に送り届ける。編集長はそれを却下していたが、彼の子供たちが続きを読みたいとせがんだことから、本の出版を決める。そして、ジョーにも恋が芽生えていた。
レビュー
ルイザ・メイ・オルコットの1868年出版の自伝的小説「若草物語」の8回目の実写映画化で、主人公をジョーにして、彼女の視点から物語を語らせるというこれまでとは変わった展開にしたのが、この「「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019)」です。古典的名作を現代風解釈で映像化しているのが特徴で、映画は興行収入で108百万ドルと大成功を収めています。また、Rotten Tomatoesの評価も批評家評価が95%、観客評価が92%と、極めて高い評価を得ています。
原作小説があることから、物語はそれを大きく逸脱することはないのですが、ニューヨークに出て、出版社に自分の小説を売り込むマーチ家の次女ジョーの行動を現代の展開とするならば、それ以前のマーチ家の生活を描いたシーンは過去の展開になっており、現代の展開が正常な色彩であるとすると、過去の色彩は暖色系の色彩が強い映像になっており、それが物語にアクセントをつける要素になっています。
また、その過去の暖色系の物語は、実はジョーが書く「若草物語」のストーリーの映像版といってもよく、ジョーの自伝的小説であるという色彩を強く打ち出しているところがあります。マーチ家の4姉妹の生活が、波乱万丈に飛んでいるところがあり、自伝的小説の元ネタとしては、アクセントがある内容になっています。その内容は、ニューヨークの出版社の編集長には理解できなかったものですが、彼の子供たちには理解できるものであり、子供たちの要求を受けて本を出版するという展開が待ち受けています。
マーチ家の生活は、これまでの「若草物語」で描かれた展開と大きく異なるところはないです。原作小説があるために物語を変えることはできなかったと言えるのですが、長女のメグの結婚にしろ、三女ベスの死、末娘エイミーのヨーロッパ修行とローリーとの結婚と、この辺の描写は視点がジョーからのものになっているという以外は変更がないです。ジョーが自立した女性として描かれているところが、元々の物語とは違う展開かなと思います。
ただ、ラストでジョーが恋に落ちるシーンと、ジョーが書いていた「若草物語」のラストでのジョーの自立した女性という設定は、ハッピーエンドで終わるところがあり、独身=自立した女性ではない、という図式を証明しているところがあります。頑なに恋に落ちるのを防いでいたジョーが、最後には一人の男性と恋に落ちる展開は、男性の付属品としての女性という昔の図式ではなく、対等な関係である、という図式を描いているところが斬新であります。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターフォーマットが4Kですので、ネイティブ4Kでありますが、高精細かと言われると、ちょっと違うかなと思います。ピントが甘いシーンも散見されますし、若干グレインノイズも見え隠れします。色彩は、前述のようにニューヨークで自身の小説を出版しようとするジョーの生活を現代としていて、このシーンはクリアな映像を提供していますが、過去のマーチ家の出来事は暖色系の色彩を提供していて、色使いに効果を感じるところであります。音響はDOLBY ATMOSで収録されていますが、映画の性格上、派手なサラウンドはしていないように感じます。環境音やオーケストラのサウンドが空間に広がる感覚を覚えますが、アクション映画等で使われるような三次元サラウンドを期待すると裏切られるところがあります。穏やかなサラウンドであると言えるでしょう。
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