トゥモロー・ウォー
No Image | 原題 | THE TOMORROW WAR |
レーベル | AMAZON STUDIOS | |
制作年度 | 2021年 | |
上演時間 | 138分 | |
監督 | クリス・マッケイ | |
出演 | クリス・プラット、J・K・シモンズ、イヴォンヌ・ストラホフスキー | |
画面 | 2.39:1/HDR10 | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
ダン・フォレスターは、妻や娘とクリスマス・パーティを開いていた。娘にはダンの父親からクリスマスカードが届いていたが、ダンと母を捨てた父親をダンは許しておらず、カードを捨ててしまう。ダンは元陸軍軍人だったが、今は高校の講師をしていて、研究所の仕事の面接を受けていたが、残念なことに落選する。パーティの最中、サッカーを中継していたテレビの画面が乱れ、サッカー会場に未来から来た人類が現れる。未来人の話によれば、今から30年後の未来ではエイリアンの襲撃に遭い、人類が絶滅する寸前だった。そのため、未来人は現在に現れ、軍人や民間人に戦いに参加するよう依頼する。話を信じた世界は、軍人をまず未来に送り込んだが、生還率がとても低かった。そのため、民間人も徴兵され、未来へと送られた。ダンにも徴兵の招集が来て、未来へと旅立つ。しかし、タイムトラベルに誤動作があり、未来ではダンとともに未来に送られた民間人が、次々に死んでいった。ダンは、未来で研究していた薬を回収する役割を持つが、エイリアン、別名ホワイトスパイクがダンたちに襲いかかり、彼らは危機に陥る。ギリギリのタイミングで命拾いをしたダンは、未来で成長した娘であるミューリと出会い、ホワイトスパイクを倒す研究をするための作戦に参加する。
レビュー
元々は劇場公開を目論んで制作されたものの、新型コロナウイルスの影響で劇場公開ができなくなり、配給元のパラマウント・ピクチャーズから配給権を購入したAmazon Studiosが満を時して配信を開始したのが、この「トゥモロー・ウォー」です。人気俳優クリス・プラットを起用していますが、あまり評価は芳しいものではなく、Rotten Tomatoesの批評家評価では53%、観客評価では80%と今ひとつの出来になっています。
物語は、未来のエイリアンとの戦いに現代の人類が未来に行って交戦する、という物語ですが、エイリアンことホワイトスパイクとの戦いが、まるで「スターシップ・トゥルーパーズ」のエイリアンとの戦いを焼き直しで見ているようで、新鮮味がないのが、少々残念なところであります。ただ、CGによるホワイトスパイクの描写にはリアリティがあり、その強さが前面に出ているところは、面白い設定かなと思います。
また、物語がホワイトスパイクとの戦いだけでなく、未来に行ったダンが、成長してホワイトスパイクの研究をしている自身の娘、ミューリと再会し、彼女のホワイトスパイク殲滅薬物の研究を手伝うところから、親子の関係性をじっくり描いているのも特徴かなと思います。現代ではまだ子供のミューリが、未来では立派に成長し、ダンが知らないダンとミューリの関係を徐々に話していく様は、SFアクションものの中で、ややこしいタイムラインの世界を解読していくようで、面白いかなと思います。
しかし、未来の戦いでホワイトスパイクと決着をつけるのかと思いきや、実はクライマックスは現代で描かれるという、クライマックスが2回あるような展開にはちょっと驚くとともに、未来のミューリの運命が、現代のクライマックスのせいでなかったことにされるのは、タイムトラベルならではの矛盾性にもつながり、これでいいのか? と疑問を感じさせられるところでもあります。
物語冒頭で登場するダンの父親が、実はクライマックスで活躍するというのも、こちらも親子の関係性を描いているものと思われます。つまり、この映画ではダンを中心にして親子3代の関係性を描いているもので、それが綺麗に着地するところは、物語の展開としてありかなとは思います。エイリアンとの戦いだけを見ると他の映画の焼き直しにしか見えないこの「トゥモロー・ウォー」ですが、親子の関係を描いたタイムトラベルものであると見ると、それなりの新鮮味はあるかとは思います。
Amazon Prime Videoで配信されている作品の大半はHD画質でありますが、この映画はAmazon Originalであるためか、4K UHD/HDRで配信されており、それなりに綺麗な映像を提供しています。マスターフォーマットが4Kなので、ネイティヴ4Kでの配信になっていますが、思ったほど高精細の映像ではない感じはします。また、HDRでの色管理をしていますが、これも最大限の効果を出しているかと言われると、若干の疑問が浮かびます。音響は言語を英語に選択すると、DOLBY ATMOSでの空間オーディオの提供になります。これはSF映画ならではのイマーシヴ音響になっていて、天井から襲撃するホワイトスパイクや、包み込まれる爆撃音など、効果を最大限発揮しています。
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