2012
邦題 | 2012 | |
レーベル | SONY PICTURES HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2009年 | |
上演時間 | 158分 | |
監督 | ローランド・エメリッヒ | |
出演 | ジョン・キューザック、キウェテル・イジョフォー、アマンダ・ピート | |
画面 | 2.40:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語 | |
字幕 | 英語、フランス語 |
あらすじ
地質学者のエイドリアンは、太陽のフレアの異常が地球に影響を及ぼし、地球が2012年に破滅を迎えることを察知する。彼はアメリカ大統領に進言し、大統領は各国の党首と協調して、人類の一部を救出するためのノアの箱舟の建造に取り組みだす。2012年、災害は始まり、地震や火山の噴火、津波等が次々に地球のあちこちで起こり始める。ライターのジャクソンもその異常を独自に察知し、元妻や彼女の恋人、自分の子供を救うべく奔走する。そのうちに彼はノアの箱舟の存在を知り、災害の起こるアメリカを脱出して、チベットに向かうのだったが、そこでも様々な障害に見舞われる。
レビュー
2009年に「マヤの暦」の通り2012年に地球が滅亡を迎える、という設定を生かして制作されたディザスター・ムービーがこの「2012」です。現実世界ではマヤの暦の通りに世界の滅亡の日を迎えましたが、特に何事もなく過ぎていき、無事に生活していますが、映画のほうでは地球の大半は滅亡し、生き残った一部がノアと呼ばれる巨大船に乗り込み、新たな希望となるという設定になっています。映画自体はヒットしましたが、制作費がかかりすぎで北米だけでは回収できなかったという現実もあります。
映画の最初はテンポよく話は進んでいき、「これは結構いけるかな」という期待に胸ふくらます展開を見せています。2009年に地質学者のエイドリアンが地球の変動を察知するところから次々に話が展開していき、あっという間に2012年まで行くところは、いい感じに進んでいるなと感じさせる出来になっています。
しかし問題なところもあり、その問題の一つは地球が災害に見舞われ、破滅していく様が物語前半で描かれてしまい、そこで話がぶつっと切れる感じがするのが残念なところです。後半はノアの箱舟探しと、サヴァイヴァルの話になっていきますが、このあたりの展開がなんか嘘くさい感じがして、「トンでも映画だな」と感じてしまったところが駄目なところだと思います。
登場人物も様々なキャラが出てきますが、あまり人物描写ができていないのか、死んでいく様を描いても感情移入できずに、ただ画面からいなくなりました、という感じになってしまっているのが残念です。ジャクソンと元妻の恋人であるゴードンとの葛藤なんかもっと詳細に描いていてもいいような気がしますが、おざなりな感じで、クライマックスの展開でも少々つまらない感じになってしまっています。それはこの二人だけではなく、アメリカ合衆国大統領とその娘の関係でもそうですし、他のキャラについても言えます。
人物描写ができていない割には上映時間が長いというのも欠点の一つかと思います。後半のノアの箱舟を巡る展開は、前半で素晴らしい特殊効果で地球の破滅を描いたために余計物足りない感じがしてしまいます。その辺が冗長な感じがするところも今一つの出来になってしまったところだと思います。
逆に素晴らしいのは前半の特殊効果を駆使した地球の破滅です。テレビの映画情報番組でもさんざん放映されていましたが、カリフォルニアの地面が崩壊していき、その中を必死でジャクソンら一家が逃げ延びるシーン辺りは、サラウンドと相まって、魅力的な映像を提供していたと思います。アメリカが崩壊していく中、どうジャクソンらが逃げ延びるのかという視点で物語を見ていると、前半の展開はちょっと大げさな感じはするものの、面白いと思います。
もう一方の主人公はエイドリアンだと思いますが、彼は人道主義でもあり、後半のノアの箱舟の収納人員を巡る責任者との対立では、引き立つ立ち位置にいたと思います。ただの学者ではなく、人間味あふれるキャラだと思います。ただ、彼の意見が結果として何人かの主要キャラを殺してしまうのですから、なんかご都合主義的展開だなと思わなくもありません。
画質は、色乗りが濃い感じを受けました。ちょっと作られたような濃さです。多分CGを多用していると思われるのですが、その辺の粗はあまり感じずに物語に没頭できる映像であるとはいえます。音響はさすがにディザスター・ムービーにたがわずに素晴らしいワイドレンジの音と、サラウンド感を提供しています。映像と相まって、映画に没頭できる魅力的なサウンドデザインがされているかと思います。ただ、前半の破滅のシーンが素晴らしい分、後半はちょっとデザインが落ち着いてしまったなと感じなくもありません。
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