CAPTAIN MARVEL(4K UHD Blu-ray)
邦題 | キャプテン・マーベル | |
レーベル | BUENA VISTA HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2019年 | |
上演時間 | 124分 | |
監督 | アンナ・ボーデン、ライアン・フレック | |
出演 | ブリー・ラーソン、サミュエル・L.ジャクソン、ベン・メンデルソーン | |
画面 | 2.39:1/HDR10 | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 / DOLBY DIGITAL PLUS 7.1ch フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、日本語 | |
字幕 | 英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、スペイン語、広東語、オランダ語、韓国語、北京語、ノルウェイ語、スウェーデン語 |
あらすじ
惑星ハラに住んでいるクリー人のメンバーの一人、ヴァースは過去の夢の断片に悩まされていた。クリー人はスクラル人と戦争を行なっており、ヨン・ロッグがヴァースの上官として接していた。クリー人が頼るべきインテリジェンスは、ヴァースにとって夢の断片と関連する物だった。ある日、スクラル人に潜入していたソー・ラーというクリーの諜報員が正体がバレたので危機に陥っているという情報を得て、ヨン・ロッグと配下の戦士たちはソー・ラー救出に当たるが、それはスクラル人の罠で、ヴァースはスクラル人に捕まってしまう。スクラル人はヴァースの記憶を探していたが、ヴァースはいつの間には手にしていたパワーを使ってスクラル人から脱出をし、1995年の地球に落ちていった。その地球でニック・フューリーやコールソンと出会ったヴァースは、自身の夢の断片を探すべく、彼らの協力を得て、資料を探る。その結果、ヴァースが夢に見ていた初老の女性はローソン博士と言い、彼女の研究に参加することで、驚異的パワーを手にしたことを知る。さらに詳しい情報を得るべく、ヴァースはかつて地球でパイロットの仲間だったマリア・ランボーと再会し、彼女がパイロットであること、ローソン博士の実験に参加していたことを知る。地球にはすでにスクラル人が潜入し、ヴァースたちの前に現れるが、実はクリー人の敵であるはずのスクラル人は、クリー人に迫害され、安住の地を探して戦いを繰り広げていたことを知る。次第に状況を理解するヴァースだったが、ヨン・ロッグがヴァースを追跡して秘密を探ろうと暗躍し始める。
レビュー
マーベル・シネマティック・ユニバースの第21作目に当たり、ここにきてまた新たなヒーロー誕生物語を描いているのが、この「キャプテン・マーベル」であります。原作者のスタン・リーがこの映画の制作中にこの世を去ったため、オープニングのMARVEL STUDIOSのトレイラーはヒーローの姿ではなく、スタン・リーを追悼するという描き方をしています。映画製作費は1億6千万ドルかかっていますが、北米の興行収入だけでも4億ドル以上を稼ぎ出し、大ヒットを記録しています。映画評論家の評価は水準以上を記録していますが、Rotten Tomatoesでの観客の評価は、「女性が主役のスーパーヒーローなんか認めない」という人たちが映画を見もしないで低評価を投稿しまくった結果、かなり低い評価を与えられる結果になっています。そのため、Rotten Tomatoesは投票の方式を変えて、映画を見た人だけが投票できるように仕組みを変えざるを得なかったという逸話があります。
前述のように、この「キャプテン・マーベル」は、女性であるヴァースが主人公、キャプテン・マーベルになるまでの成長物語として活躍をするという男女平等を訴えかける映画になっています。マーベル・シネマティック・ユニバースでは他の作品で女性ヒーローが複数登場しますが、決して彼女たちは主人公になることはなく、女性もヒーローになれるという意味合い程度でしか存在していません。フェイズ4の「ブラック・ウィドウ」で、これまで他の作品で活躍をしてきたブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフが主人公の映画が2021年7月に公開される予定ですが、この映画を除くと、初めてマーベル・シネマティック・ユニバースで女性を主人公のヒーローにした映画になります。
舞台設定も現代ではなく、1995年の地球を舞台に、過去の記憶の断片に悩まされるヴァースが、自身の過去を探し、次第にヒーローとして成り上がっていく様が描かれていて、興味深いものがあります。ヴァースをサポートするのが若き頃のニック・フューリーであり、彼がヴァースと共に、ヴァースの過去を調査するというのが、物語の中心になっています。そのヴァースの過去は、幼い頃から「女のくせに」という嘲の言葉を浴び続けてきており、それでも挫けないヴァースの姿を描くことで、自立した女性という姿を描写しています。
その一方で、クリー人とスクラル人との戦争の中、ヴァースはクリー人が正しいと思い込んでいて、スクラル人と戦いを繰り広げているのですが、実はスクラル人は安住の地を求めて戦いを繰り広げているだけで、当初の敵であるという認識から、途中で善悪が逆転する展開になっています。スクラル人はヒューマノイドであれば、何にでもシェイプシフトできる能力を持っているので、地球人に化けてヴァースの行方を追いますが、それもヴァースの秘密を知って助けを求めるためであり、最終的にはヴァースはスクラル人のために戦いをするという展開になっています。
ヴァースの断片的過去から、彼女はローソン博士の実験に協力をしていますが、ローソン博士が地球人ではなく、クリー人のマー・ベルという女性であり、彼女がスクラル人のために秘密の研究をしていることが次第に明らかにされます。その秘密の研究をヨン・ロッグが奪い取ろうとして宇宙船同士のドッグファイトを繰り広げ、墜落した宇宙船に搭載されていたエネルギー源をクリー人に渡さないために、ローソン博士がエネルギー源を破壊することから、その影響を受けたヴァースが強大な力を得るという展開が次第に明らかにされます。
ヴァースは、記憶の断片と過去の記録から、パイロット仲間であるマリア・ランボーとその娘、モニカと再会し、次第に自分の過去を取り戻していきます。彼女たちの存在は重要で、ヴァースがキャロル・ダンヴァースという名前であることなども、マリアとモニカと再会したことで、取り戻していきます。モニカは、フェイズ4の「ワンダヴィジョン」で大人になった姿で再登場し、事件の真相に迫るという役割を演じていて、シリーズのつながりを感じさせるところがあります。
映画が1995年の地球であることから、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の影響を受けていませんが、エンドクレジット中のおまけ映像では、キャプテン・アメリカとブラック・ウィドウ、ウォーマシンが登場し、サノスの生命体半分化の影響を受けて生命体がどんどん減っていく様をなすすべもなく見続けている中、ニック・フューリーがチリとなって消える前に通信を取ろうとしたキャプテン・マーベルと連絡が取れ、アベンジャーズの目の前にキャプテン・マーベルが姿を表すという「アベンジャーズ エンドゲーム」に向けた助走を描いています。
映像は4K/HDR10での収録になります。ソース・フォーマットは6.5Kで撮影されているのですが、マスター・フォーマットは2Kでまとめられていますので、4K UHD Blu-rayはアップスケール4Kでの収録になっています。ただし、解像度は十分に保っていて、魅力的です。色彩もカラフルな映像を提供していて、HDR10での効果を発揮していると言えます。音響はDOLBY ATMOSでの収録になっていて、広大なサラウンド空間を作り出しています。スクラム人の声が頭上から聞こえてくるなど、DOLBY ATMOSの効果を最大限発揮しているシーンもあります。
この「キャプテン・マーベル」4K UHD Blu-rayは、輸入版ではありますが日本語字幕、吹き替え音声を収録しているので、プレイヤーの言語設定を日本語にしておくと、日本語字幕、吹き替え音声で楽しむことができます。新作映画の4K UHD Blu-rayで日本語字幕、吹き替え音声を収録しているディスクはあまり多くはないので、貴重なディスクであると言えます。
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