Ed Wood/エド・ウッド/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

Ed Wood

Ed Wood DVDジャケット 邦題 エド・ウッド
レーベル TOUCHSTONE HOME ENTERTAINMENT
制作年度 1994年
上演時間 127分
監督 ティム・バートン
出演 ジョニー・デップ、マーティン・ランドー
サラ・ジェシカ・パーカー
画面 1.85:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
字幕 英語、スペイン語

あらすじ

 若きエド・ウッドは、映画監督で成功を夢見る男だった。彼は新進の映画プロダクションのプロットを戴き、自身の女装趣味を合わせて、一本の映画を撮ってしまう。そして彼はかつてドラキュラ役で一世を風靡したものの、今は干されているベラ・ルゴシと出会い、彼を主演にした映画を撮ることになる。しかし、エドには予算がなく、出資してくれる女優を主演女優にそえることで何とかリカバリーする。そのために同棲していた彼女には、彼の元を去られてしまう。ベラは、長年モルフィネ中毒で苦しんでいたが、病院もお金がないために追い出されてしまい、ほどなくこの世を去る。残ったフィルムを元に、今度は教会をだまくらかしたエドは、新作の撮影に力を入れる。

レビュー

 ハリウッドの鬼才ティム・バートンがその映画作家としての才能を初めて批評家に認められた映画が、この「エド・ウッド」です。1994年のアカデミー賞では、ベラ・ルゴシを演じたマーティン・ランドーが助演男優賞を受賞しています。

 ティム・バートンが対象にした映画監督は、なんと最低映画監督の異名を戴くことになるエド・ウッドです。彼は「グレンとグレンダ」という性倒錯者を主役にそえた映画、「怪物の花嫁」というZ級の映画、そして一番有名な「プラン9・フロム・アウター・スペース」という映画を撮影したことで知られています。そして「プラン9・フロム・アウター・スペース」では最低映画作品の汚名を着せられています。

 この映画ではその3本の映画を撮影、制作する過程の物語を描いています。一番エド・ウッドが光り輝いていた時の話であり、映画的にはドラマでありながら若干のコメディーを含まれています。また、エド・ウッドとベラ・ルゴシの友情とベラ・ルゴシの干されてしまった悲しみをも描いた、すばらしい出来の物語であるともいえます。

 エド・ウッドという人は変わった人であり、性的にはノーマルなタイプでありながら、何故か女性の衣類を着ると落ち着くという癖を持った人物であります。その彼が時に普通の姿で、時に女装した姿で映画を撮っていくのは、おもしろおかしみがあります。また彼は映画の製作の理論が全く通用しない人物でもあります。普通映画で保険として撮っておく別カットを全く使わず、1回だけの撮影で全てを済ませてしまう特徴は、彼ならではだと思います。

またエド・ウッドはオーソン・ウェルズを敬愛しており、彼が若くして「市民ケーン」を撮影したことをうらやましく思っております。そんなエド・ウッドですから、「プラン9・フロム・アウター・スペース」の撮影時のごたごたで一時現場を離れバーに行った時に、オーソン・ウェルズと出会い、サジェスチョンを受ける姿に感銘を受けるものがあります。この辺は完全に創作だと思うのですが、エド・ウッドの人生の目標がアドバイスをくれるというところに物語の重要な本質があると思います。それは「自分を確立しろ」というものだと思います。

 一方でベラ・ルゴシの晩年の落ちぶれ方も、この映画で描かれる悲哀であるといえるでしょう。若かりし頃はドラキュラ役で一世を風靡したベラ・ルゴシも、エド・ウッドに出会うまでは完全に干された晩年を送り、映画に出演することすらかなわなかった訳ですから、悲しいものがあります。しかもモルフィネの中毒に落ち入っており、人生がめちゃくちゃにされています。そんなベラ・ルゴシがエド・ウッドに出会い、最低映画といえども主役を演じることが出来たのは、せめてもの救いではないかなと思います。

 その他にもエド・ウッドの撮影に参加するバンパイラとか、トー・ジョンソンといった個性豊かなキャラクターが登場し、映画に花を添えています。トー・ジョンソンなどは元プロレスラーということで、はっきり言って演技になっていないのですが、そのキャラ故に愛されるキャラになっています。

 映像は映画の雰囲気を出すためか、完全モノクロ映画になっています。DVDにしては解像度も十分ですし、白黒のトーンも悪くないと思います。一カ所金網越しにカメラが動くシーンだけブロックノイズが見られましたが、その他に不満のない映画になっていると思います。音響は5.1chサラウンドですが、あまりサラウンドは鳴り響いていないと思います。基本センタースピーカーで、時々音楽でフロントスピーカーという鳴り方をしています。音楽はバートンの盟友ダニー・エルフマンではなく、ハワード・ショアが担当しています。これは一時期バートンとエルフマンが喧嘩別れしていたことに起因しています。

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