FIST OF FURY(Blu-ray)
邦題 | ドラゴン怒りの鉄拳 | |
レーベル | SHOUT! FACTORY | |
制作年度 | 1972年 | |
上演時間 | 106分 | |
監督 | ロー・ウェイ | |
出演 | ブルース・リー、ノラ・ミャオ、ロバート・ベイカー | |
画面 | 2.35:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 2.0ch 北京語、広東語、英語 dts-HD MA 5.1ch 北京語、広東語、英語 |
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字幕 | 英語 |
あらすじ
中国のカンフーの師匠が、突然死去した。彼の一番弟子であるチェンは、死に際に間に合わず、師匠の死が信じられなかった。他の弟子が師匠の死を病死であると考える中、チェンだけは師匠が何者かに殺されたと信じ込んでいた。そのような中、日本人道場の弟子たちが、チェンたちの道場を訪れる。彼らは「東亜病夫」という看板を持って、チェンたちを挑発する。他の弟子たちが戦いを我慢する中、チェンだけは日本人道場鈴木に戦いを挑んでいく。しかし、その戦いは、さらなる悲劇を持ち込んでいくことになる。
レビュー
ブルース・リーの香港での映画主演第2段がこの「ドラゴン怒りの鉄拳」です。「燃えよドラゴン」を除けば、ブルース・リーの出演作の中では、一番評価の高い映画になっています。
舞台は第2次世界大戦前の上海になっています。ブルース・リー演じるチェンのカンフーの師匠は、実在の人物で、実際に謎の死を遂げています。その話を膨らませて、チェンの復讐話と、日本人の横暴を描いたのが、この「ドラゴン怒りの鉄拳」になります。日本人から見ますと、主役のチェンと敵対する悪役が日本人なのは、複雑な心境になります。ましてや、今回視聴した2017年現在では、日本と中国の関係が良くないというのも含めると、チェンを応援したいが、チェンが戦うのは同胞である日本人というところに引っかかりを感じてしまいます。
物語は、師匠の死が暗殺だと見抜いたチェンが、師匠を殺した犯人である日本人の武術家鈴木と、その弟子たちとの戦いを描いたものになりますが、チェンが怒りを爆発させ、鈴木の弟子たちと戦うたびに、却って自身の仲間たちが傷ついていくという皮肉にも似た展開になっているところが、キーポイントだと思います。
そして、自身の仲間だと思っていた料理人が日本人と通じていたり、日本人道場の翻訳者が嫌味ったらしい演技をしているところが、物語に深みを与えていると思います。それを知るのはチェンだけで、仲間たちは、後追いでそれを知っていくのであるが、その時には既に手遅れの状態になっているところが、印象を強くしています。
日本人武術家の鈴木を演じているのは、日本人の俳優橋本力ですが、彼の存在感は結構悪役っぽくて、敵としては過不足ないと思います。また、彼に従う武術家として、ロバート・ベイカー演じるペトロフが、チェンに立ちはだかる存在として、印象を強く与えています。ただ、ブルース・リー演じるチェンの相手として強敵かといえば、そんなでもない位置付けにあるともいえます。チェンの格闘術が強すぎて、ペトロフにしろ、鈴木にしろ、一方的にやられる状況になっているところがあります。
ブルース・リーの出演作としては珍しくノラ・ミャオ演じるユアンとのラブ・シーンもあり、チェンの人間性を感じるところがあります。チェンとユアンは結婚を誓い合った仲ですが、チェンの師匠に対する想いが強すぎて、最終的にはユアンの心配に応えることができなくなっているところが、悲劇的かな、と思います。
ラストのシーンを含め、チェンの破滅に向かっての行動が映画の本質でありますが、それゆえに、悲劇性がストーリーを経るごとに強くなっているところであります。また、物語としては日本人と中国人の関係性も、大きくフィーチャーされていて、それが物語に深みを与えていると思います。
画質ですが、1972年の映画ということもあるのか、あまり良好とは言えません。物語冒頭の雨のシーンなどは、Blu-rayの能力を持ってしても解像度が足りずにノイズ状になっていますし、全般的に解像度は不足していると思います。室内のセット撮影が多いせいもあって、色乗りも今ひとつという印象を受けます。音響は北京語の5.1chサラウンドで視聴しましたが、特性がナローレンジで、またサラウンドもそんなに効果を発揮している感じはしないです。一応サラウンドに音を振っている感じはしますが、環境音だけであり、格闘シーンのサラウンド感はあまりないと言えます。
なお、このBlu-rayの映像特典として、別バージョンのオープニングとエンディングが収録されており、日本劇場公開版のオープニングとエンディングを見ることができる、という魅力のあるコンテンツが収録されています。マイク・レメディオスなる中国人が歌っている珍しいバージョンです。
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