FIVE CORNERS(Blu-ray)
邦題 | ファイブ・コーナーズ/危険な天使たち | |
レーベル | IMAGE ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 1987年 | |
上演時間 | 94分 | |
監督 | トニー・ビル | |
出演 | ジョディ・フォスター、ティム・ロビンス、ジョン・タトゥーロ | |
画面 | 1.78:1/アナモルフィック | |
音声 | PCM 2.0ch 英語 | |
字幕 | 英語 |
あらすじ
1964年のブロンクス。刑務所に入っていたハインツが出所してくる。彼はかつてリンダをレイプしようとして捕まっていたのだった。リンダのボーイフレンドであるジェームズはリンダを守ると宣言するが、事件のあった時には役に立たなくて、リンダは信用していなかった。リンダがレイプされようとした時、彼女を救ったのはハリーという若者だったが、彼はキング牧師の主張に感化され、非暴力主義に転向していたのだった。そしてハインツは再びリンダを物にしようと、行動し始め、次第にそれは狂気の域に入っていくのだった。
レビュー
今や大御所となってしまったスターたちを主役に迎え、1964年のブロンクスを舞台にドラマが展開する映画がこの「ファイブ・コーナーズ/危険な天使たち」です。この映画は日本劇場未公開で、ビデオでのみリリースされるというあまり知られていない作品の一つでありますが、かつてアメリカのクライテリオンというレーベルからレーザーディスクでリリースされたくらいなので、ちょっとした佳作となっています。
物語は2つのストーリーが並行して、最後にちょっとだけそれが交差するという展開になっています。ストーリーの一方はリンダとハインツ、ハリーの関係で、もう一方は若者の無軌道な話となっています。若者のほうの展開は、あまりストーリーの本質上、いらない展開のように思えますが、冒頭のストーリーと、最後のストーリーがこの若者のストーリーにちょっとだけ絡むので、なるほどと思うところはあります。ただ、唐突な解決法のような気もします。
メインの話であるリンダとハインツ、ハリーの関係もちょっとややこしいところがあります。彼らは顔見知りで、ハインツはかつてリンダをレイプしようとしていた罪で刑務所に入っていた。それを導いたのはハリーだが、ハインツが出所するころには警官である父が子供に殺されたので平和主義者になっていたという設定になっています。リンダもハインツを脅威には感じていますが、と言ってことさら恐怖に襲われている訳でもなく、物語中盤では彼の呼び出しに応じて、公園に夜中出ていくという一面も見せます。
物語前半は意外と淡々と進むので、ちょっと退屈に感じる場面がないわけでもありません。特に教師が矢で殺されるという展開はラスト付近まで何も明らかにされませんので、視聴者は放置されているように感じます。また、2つのストーリーがあまり緩急つけられていないので、それも退屈に感じる一因になっているかと思います。むろんここでは登場人物のキャラを描くというところでもあるのですが、描き方がちょっと物足りないなという感じもします。
その分ハインツが再びリンダを奪い去り、暴走を始める後半は登場人物のキャラが前半で描かれた分、面白さが増しているかと思います。ハインツが完全にサイコパスな状態になっているところなどは、演じるジョン・タトゥーロの狂気と合わせて魅力的ではあります。また、再び暴力によってハインツの暴走を止めようとするハリーの苦悩も感じ取れるところではあります。ただ、ラストの結果が意外だったので、唐突感は否めません。
映像はぱっと目に解像度が低いと感じるところがあります。フィルムの特徴がよく出ているといえばそれまでですが、Blu-rayとしては不満な映像になっています。また素材に起因するのか、結構フィルムグレインが多めで、また色乗りも少し浅い感じがします。少しモノクロ調に感じられるところがあります。音響はPCM 2.0chですが、実際はモノラル音声です。アンプのサラウンドを効かせて聴いたために、それなりの雰囲気を味わえますが、最新の映画に比べれば、多少は時代を感じるところも無きにしも非ずです。
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