THE HURT LOCKER
邦題 | ハート・ロッカー | |
レーベル | SUMMIT ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2008年 | |
上演時間 | 130分 | |
監督 | キャスリン・ビグロー | |
出演 | ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ | |
画面 | 1.78:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、スペイン語 DOLBY DIGITAL 2.0ch 英語 |
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字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
2004年のイラク、バグダッドで、アメリカ軍は治安維持に努めていた。しかし、街のあちこちで爆弾テロが勃発し、アメリカ軍は、爆弾の処理に追われていた。アメリカ軍のジェームズは、爆弾の処理のプロで、まだ爆発していない爆弾の処理を請け負っていた。ジェームズたちは、爆弾を処理する際に周囲に注意していたが、それでもテロによる襲撃にあい、何度もピンチに陥る。敵か難民か分からないアラブの人たちの中、決死の作業が繰り返されていた。
レビュー
2009年のアカデミー賞で、作品賞を始め、6部門を受賞した評価の高いイラク戦争を舞台にした映画がこの「ハート・ロッカー」です。作品としての評価はそれなりに高い本作ではありますが、興行収入としては、制作費をようやく回収できる程度のヒットしかしていない作品でもあります。
イラク戦争を舞台にしていると言っても、本格的な戦争を描いているわけではありません。アメリカ軍の爆弾処理班であるブラボー中隊のメンバーである、ジェームズ、エルドリッジ、サンボーンといった現場メンバーたちが、テロによる爆弾を処理していく様子が、ドキュメンタリータッチで、描かれているのが特徴です。サウンドトラックも最小限に抑えられ、荒れた画面と、手振れのカメラが、リアリティを増しているのがこの映画の中に観客を吸い込ませる要素になっています。
ジェームズたちは、爆弾を処理していますが、主役であるジェームズは、爆弾処理のプロトコルを無視して、自身の感で爆弾を処理して行きます。その辺の緊迫感は、かなり高いものがあり、「いつかジェームズたちに悲劇が起こるのでは」という予想を立たせて行きます。実際にはエルドリッジが後半で映画から退場しますが、死んだわけでもなく、主人公たちはなんとか生き延びるところが、映画としては救いかな、と思います。
この映画が怖いのは、敵が全く見えない点であると言えます。誰が爆弾を地面に埋めたのか、とか、自殺テロといった攻撃に対して、首謀者が見えないので、ジェームズたちの身辺の危機が増していると思います。爆弾処理の間、中隊は周囲を索敵しますが、アラブ人たちが遠巻きにそれを見つめている、というシーンがかなりあります。そのアラブ人たちが敵なのか、単なる市民で爆弾処理を眺めているだけなのかが判別できず、恐怖感を煽っているかと思います。
また、映画のリアリズムを増すシーンとして、シーンのカット割りで主役や爆弾といったカットとは別に、歩く猫とか、ヤギといったシーンの本筋とは無関係なショットを入れることによって、より迫真感を増しているところが感じられます。映像のマジックといったところでありますが、そういう何気ないシーンの連続で、映画のテンションが高くなっている点はあるかと思います。
爆弾テロ自身がこれほどまでテンション高い映画も珍しいと思いますが、主人公たちの生死がかかっているかと思うと、その緊迫感は納得できるものであると思います。その中で、仲間たちの張り詰めた関係は、主人公を助けるのか、危機に陥れているのか、一歩間違うと危ないものになっているかと思います。
映像はSD画質なので解像度はそれなりでしかありませんが、DVDにしては、妙にざらついた映像で、映像のリアリティを発揮していると思います。カメラワークがあえて手振れを起こしているシーンも多々あり、映像のリアリテイを増しているかと思います。音響は5.1chサラウンドですが、誇張したサラウンドにはなっていません。しかし、十分な音響効果を発揮しており、爆弾の爆発シーンでは、重低音も響き渡る内容になっています。サウンドトラックがあまり鳴っていないので、緊迫感を演出していると思います。
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