MIGHTY JOE YOUNG(1949)
邦題 | 猿人ジョー・ヤング | |
レーベル | WARNER HOME VIDEO | |
制作年度 | 1949年 | |
上演時間 | 94分 | |
監督 | アーネスト・B.シュードサック | |
出演 | テリー・ムーア、ベン・ジョンソン、ロバート・アームストロング | |
画面 | 1.33:1/スタンダード | |
音声 | DOLBY DIGITAL 1.0ch 英語 | |
字幕 | 英語、フランス語、スペイン語 |
あらすじ
アフリカでジルは現地人から幼いゴリラを購入する。彼女はゴリラに「ジョー」と名付け飼うことにする。それから12年後、ニューヨークにオフィスを構えるナイトクラブのオーナー、オハラは、グレッグとともにアフリカに赴き、ナイトクラブの展示物を物色する。そうした状況下でジョーがオハラたちに攻撃をして、ジョーの迫力に負けたオハラはハリウッドにジョーとジルを招待し、興行を行うことにする。しかし、檻に入れられたジョーは気力をなくし、また酔った客の暴動に怒り、ナイトクラブで暴れてしまう。警察はジョーを射殺しようとするが、オハラたちはジョーとジルをアフリカに帰そうとする。その途中で孤児院の火事に出会った彼らは、子供の救助に奔走することになる。
レビュー
アメリカで発売されたDVD-BOXセット「THE KING KONG COLLECTION」の最後の一本がこの「MIGHTY JOE YOUNG」です。1949年の制作で、当時としては優れた特殊効果で作られた作品です。2013年に亡くなったレイ・ハリーハウゼンが特殊効果に加わっていることもあり、アカデミー賞の特殊効果部門を受賞しています。1998年にはリメイク版も制作されていますが、リメイク版は劇場公開が遅れたうえに興行的にも失敗しています。
この作品も「キング・コング」と同様の見世物小屋的要素の多い作品だと思います。巨大なゴリラが未開の地からアメリカに連れられてきて、観客の晒し者になるというところは基本パターンで一緒だろうと思います。しかしながら、「キング・コング」が最後悲劇的に終了したのに比べると、こちらはハッピーエンドの終わり方だと思います。
ジョーが幼いころのジルに飼われて、それからずっと彼女と一緒に暮らしていて、ジルと心を通わせているというのも物語の大切な要素の一つだろうと思います。ジルがジョー一筋なために、ジルに関心を寄せるグレッグとジルの関係が、ちょっと弱い感じはあります。ジル的にはグレッグもいいけれどジョーの方が大切、というところなのだろうと思います。
ナイトクラブで金を稼ごうとするオハラも憎めない人物です。ジョーを見世物の目玉として稼ごうというところは、嫌味な人間かと思いきや、実はいい人物だというのがクライマックスのジョーとジルをアフリカに帰そうとする作戦の中で明らかにされ、好印象を与えます。
観客がジョーに感情移入できるように、ナイトクラブのお客が嫌味なように設定されているのが、ポイントかと思います。シャンパン無料をかけたコイントスとか、ジョーにアルコールを飲ませて憂さ晴らしをする泥酔した客とか、観ていて気分が悪くなってきます。こういう人物たちを配したことにより、ジョーとジルの「故郷に帰りたい」という要望が観客にも伝わるようになってきます。
クライマックスはジョーとジルをアフリカに帰すべく、港までの逃避行をすることかと思いきや、実は孤児院の火事に出くわし、ジルとグレッグ、ジョーが取り残された子供たちを救助するという実にいい役を置いています。このシーンだけなんとモノクロの画面が赤い着色をした画面に切り替わり、物語のテンションを上げていきます。観客にスリルを味わせるための着色だと思いますが、予想外の効果を与えています。
画質はモノクロ画面ですが、基本的に良好かと思います。当然合成シーンなどで、シーン自体の画質の違いが見えてしまったり、多少ブロックノイズが見られるシーンもありますが、そんなに極端に悪いシーンはないと思います。また、クライマックスの火事のシーンは赤い画面で、こちらも良好な色調をしています。ただ赤いフィルターをかけただけではないような気がします。音響は1.0chモノラルの音響で、セリフ主体の音だと思います。聴きやすいとは思いますが、高音質は期待しない方がいいかと思います。
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