MISHIMA:A Life in Four Chapters(Blu-ray)/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

MISHIMA:A Life in Four Chapters(Blu-ray)

MISHIMA:A Life in Four Chapters Blu-rayジャケット 邦題
レーベル CRITERION COLLECTION
制作年度 1985年
上演時間 121分
監督 ポール・シュレイダー
出演 緒形拳、坂東八十助、沢田研二
画面 1.85:1/アナモルフィック
音声 dts-HD MA 2.0ch 日本語
字幕 英語

あらすじ

三島由紀夫は幼少の頃、母から引き離され祖母と暮らしていた。そして三島は虚弱体質だった。その反動から、三島は小説を書くことで人生の成功を得る。しかし、三島はそれだけでは飽き足らず、体を鍛え、生と死の狭間で心を揺れ動かすことになる。三島は私設軍隊「楯の会」を創設し、自身の主張を先鋭化していく。そして、1970年11月25日に自衛隊の市ヶ谷駐屯地に立てこもり、自衛隊隊員に向けてアジテーションを放つが、受け入れられず、切腹自殺を起こす。

レビュー

世界的に有名な小説家であり、また右翼的思想を持って活動を行なっていた三島由紀夫の人生と、彼の生み出した作品を交互に描くことで、三島由紀夫という人物を浮かび上がらせた映画がこの「MISHIMA:A Life in Four Chapters」です。製作総指揮が「スター・ウォーズ」を生み出したジョージ・ルーカスと「ゴッドファーザー」シリーズのフランシス・コッポラであり、監督に「タクシー・ドライバー」の脚本家であるポール・シュレイダーが担当しています。残念なことに、三島由紀夫の思想とその映像化が問題になり、日本では劇場未公開、かつビデオ化すらしていないため、輸入盤でしか鑑賞不能になっている作品でもあります。

作品は、4章に分かれており、それぞれ「美」、「芸術」、「行動」、「文武両道」の順で三島由紀夫の半生と、それぞれに関係する小説の映像化がされています。また、映画の構造として3つのセクションに分かれていて、カラーの鮮明な画像は1970年11月25日の三島由紀夫の自衛隊駐屯地の占拠、モノクロ画面が過去の三島由紀夫の人生、カラーですが解像度が甘い映像が三島由紀夫が生み出した作品の映像化、という仕掛けになっています。

単に三島由紀夫の人生を映画化しただけでなく、彼の生み出した作品が映像化されることで、三島由紀夫という人物がより浮かび上がる仕掛けになっています。また、三島の生み出した作品の映像化は、すべてセットの中で物語が進んでいて、箱庭的感覚を生み出すことに成功していると言えます。三島由紀夫がなぜ最終的に切腹自殺をすることになったかが、過去の人生と物語の映像化によって、浮かび上がってくる仕掛けになっていて、作品をよく読んでいない人にもわかりやすいようになっています。

映画は日本とアメリカの合作で、セリフはすべて日本語で収録されています。アメリカ向けには英語字幕がついていますが、日本語のセリフと字幕に差異が生じているのは興味深いところであります。三島由紀夫の思想はかなり危ないものがあると言えますが、その辺の描写がかなり強烈に出ているのは、この映画の特徴であると言えます。

映像はクライテリオンお得意の鮮明な描写で、フィルムの特徴がよく出ています。グレインはカラー映像ではかなり多めに出ていますが、解像度や色乗りは満足のいく映像になっています。日本の東京の映像は日本らしい映像で、アメリカ映画とは思えない色調をしています。音響はdts-HD MA 2.0chですが、元の素材がDOLBY STEREOなので、サラウンド感は十二分に発揮されています。ドラマなのでサウンドトラック中心ですが、サラウンドチャンネルにも音が回り込んでいます。

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